熱は温度の高いところから低いところに流れるものですが。(江頭教授)
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今回はクイズです!
10℃の水と90℃のお湯が、200mLづつ(コップ一杯くらいですね)あります。断熱材に囲まれたコップに入っていて、そのままでは暖まったり冷えたしない、としましょう。そうそう、水とお湯では見たでは区別がつかないので水には青いインクを、お湯には赤いインクを入れて色をつけておきましょう。(インクの量は充分少ないとします。)
断熱材の一部を外して二つのコップを接触させると熱が伝わり始めます。充分時間が経つと、両者は同じ温度、10℃と90℃の平均である50℃になります。
以上、図で示すと下の様になります。
さて、ここで問題です。
水とお湯のコップが1個づつだと両方とも50℃になって終わりでつまらないですね。水(青の液)もお湯(赤の液)も2個づつ用意して、全部で4個のコップを準備しました。
熱の交換を行って、青の液を60℃(二つともです)、赤の液を40℃(これも二つとも)にすることは出来るでしょうか?最初は冷たかった青の液の方が、最初はお湯だった赤の液より温度が高くなる、そんなことが可能か、というのが問題です。
熱は温度が高い方から低い方に流れる。温度を逆転させることは不可能な気がしますが、本当にそうでしょうか。
答えは「可能です」というのは予測できたでしょうが、具体的な手順が分かったでしょうか。以下、手順を示しましょう。
ステップ1
まず、青の液の1個目(10℃です)と赤の液の1個目(90℃です)を接触させて熱交換を行います。どちらも50℃になって、ステップ1は終わりです。
ステップ2
今度は50℃になった青の1,赤の1をそれぞれ赤の2、青の2と接触させます。50℃と90℃のコップが接触すると平均の70℃に、50℃と10℃のコップが接触すると30℃になります。ステップ2の終わりには赤も青も30℃と70℃の液が一つづつあることになります。
ステップ3
今度は30℃の青い液のコップと70℃の赤の液のコップを接触させます。温度は50℃になります。このステップが終わると青は70℃と50℃、赤は50℃と30℃となりました。
ステップ4
最後のステップでは青の液のコップ同士、赤の液のコップ同士を接触させましょう。青は70℃と50℃の平均の60℃となりました。赤は30℃と50℃の平均で40℃となります。最初お湯だった赤の液よりも、最初水だった青の液の方が高い温度になっています。
はい、これで上に述べた温度が達成されましたね。
どうでしょうか。「熱は温度の高いところから低いところに流れる」のは確かで、ここに述べたステップ1~4はすべて「熱は温度の高いところから低いところに流れる」様になっています。でも、うまく工夫すると水が温かく、お湯が冷たくなる状況をつくれるのです。
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