「安全工学」の講義 番外編 3.11被災地の今 閖上地区(片桐教授)
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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。
今回は、8月14日に福島、宮城の被災地跡を見学に行った時の、片桐の個人的な意見と感想を述べます。
宮城県名取市の閖上地区は、NHKのヘリからの津波溯上の映像で,強い記憶を我々に残しました。住民が多く亡くなりました。その時の人々の行動はNHKスペシャルで取り上げられ、また本にもまとめられています(ブログ「安全工学」の講義 第4回安全の心理から(6) 他愛行動? 短絡思考? 手段の目的化!。)
名取市のWeb pageでは、この閖上地区には震災前に5600人の人が住んでおり、名取市1146人の死者・行方不明者の大多数がこの閖上地区であったこととしています。その被災地は今、どのようになっているのかを学びに行ってきました。
訪れたのは、「閖上の記憶」というプレハブの資料館でした(http://tsunami-memorial.org)。その周辺には慰霊碑や新しい神社の祠やお地蔵様が設置されていました。
その資料館では、ちょうど学童を中心とした精神的なケアのビデオが上映されていました。なるほど、物理的な復旧・復興も大事ですが,心のケアの重要性も理解できました。そのビデオでは、あの繰り返し見たNHKのヘリからの映像ではなく、中学校の校舎から撮影した津波の映像も写されていました。このようなものを自分の目で体験しさらにその津波で友人を失ったら,心にも大きな傷を負うことでしょう(ブログ「安全工学」の講義 第5回安全対策のたてかた(4) 安全対策で何を守るのか 参照)。そして、それを真正面から受け止めて、いやして行くことの困難さは想像すらできません。
閖上地区からはおおよそ半数の住民が土地を離れたようです。しかし、半数の住民はそこにとどまるようです。そのために、川沿いに「高さ2〜3mの台地を造成し、そこを住宅地にし,分譲を行っていました。莫大な量の土砂をもって、多額の工事費を費やしても,そこに住み続ける地元への思いについて、正直,私のように仕事により生活の場を点々としてきた者には理解できません。命の危険があるにもかかわらず、その土地に住み続けようとする強い郷土愛は、ある意味,うらやましくも感じます。
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