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「安全工学」の講義 第12回 機械の安全(4) 工具の使い方(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 皆さんの中にはカッターで指を切った経験を持つ方も多いと思います。私も何回か切りました。市販のプラスチック製の定規をあてて、それに沿わせてカッターの刃を滑らせた時に、刃が定規の斜めに切った部分に乗り上げて定規を抑えている指をスパッと…。勢いよく刃を滑らせていると、よくある(?)ことです。本当はカッターを使う時は、カット用の金属製のガイドがついている定規を使うべきです。

 工具は特に単純な構造のものほど、ハンディで小型のものほど、その取り扱いに注意が必要です。小型であるということは安全装置を装着しにくいということですし、小さい工具の使用時には油断しがちです。

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 また,工具や道具は「その作業に最適のもの」を使うことが大事です。手近にあるもので代用することは危険です。化学実験でも、事故の何割かはそのような代用が遠因になっています。そして,工具はしっかりと整備されたものでなければなりません。以前、くさびが緩んで頭の緩くなった金槌を柄の部分をもってつり下げた時に、金属部分が外れて足の上に落ちかけたことがあります。もし、使用作業中に外れたら,大きな事故になっていたでしょう。

 そして、正しい使い方をしましょう。金属ヤスリの目は「押すとき」に引っかかりが作用します。これをのこぎりと同じように引く時に切れると勘違いすると、力の入れ方を間違います。かんなも西洋のモノは引くのではなく、押して削ります。ガラス管の細工で切断のためにガラスを切る時には平ヤスリを使います。この時も目の方向を間違えるとちゃんとした傷を入れることができずに、ガラス管が正しく折り切れなくてケガにつながる恐れがあります。

 道具は職人の魂です。特に基本的な工具を使う場合には、その使い方をしっかりと理解し、正しく使いましょう。そして使った工具は正しく整備して保管しましょう。「弘法は筆を選ばず」(本当の名人は道具ではなく腕である)と申しますが、我々凡人は筆を選ぶべきです。そして、弘法サンでも壊れた筆では字は書けません。

片桐 利真

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