「安全工学」の講義 第11回 電気の安全(5) 通電火災(片桐教授)
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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。
このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。
阪神大震災では、建物が崩れた後に火災が起こり、多くの方が亡くなりました。この火災の多くは「通電火災」ではないかと言われています。通電火災とは地震により倒れたストーブなどの加熱器具に、停電後に電気が復旧した時に加熱が始まりこれが着火源になる火災です。最近は、多くのマニュアルに地震後に避難する時は、配電盤のブレーカーを切るように書かれています。
このような通電火災は、地震の時だけではありません。何らかの理由でいったん切れた加熱器具が再度通電した場合に起こりえます。理化学機器のなかにはコンピューター制御で加熱を制御します。使用後に電源を落としたつもりでもまだ動いていたりすると、危険です。
少し違うのですが、クーゲルロール蒸留装置という化学の装置があります。少し昔のこの装置のヒーターはその時点の炉内の温度よりも低い温度に設定して動かすと、どんどん上がってしまうことがありました。温度制御装置の暴走ですね。蒸留実験を仕込んで装置の前を離れると、事故の元です。そのような加熱を伴う実験では、温度制御回路をむやみに信じ込まずに、装置のそばに控えているべきです。
しつこいですが、理化学機器の多くは安全装置がついていません。家電とは大きく異なります。そして、その制御回路、機構を理解すれば、そのもろさ、危なさも理解できます。
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