降雨量はどのくらい?ー世界編ー(江頭教授)
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降雨量の単位は長さ、通常は mm を使います。降った雨を地面に均等に溜めたら何ミリになるか、という数値です、というような話を以前、このページに書きました。
アメダスのこと、八王子の降水量、年平均は 1602.3 mm/y だ、などという情報も紹介しました。
さて、今回はお題は世界全体の地上に降る雨はどのくらいなのか、ということです。まず手始めに、もし世界の陸地に八王子と同じ1602.3 mm/y の雨が降ったとすればどのくらいの量になるのか考えてみます。
陸地の全面積は1億5千万平方キロメートルなので、この面積と降水量をかけ算してみましょう。
1602.3 mm/y × 150,000,000 km2
=1.602 m/y × 1.5×1014 m2
= 3.524×1014 m3/y
水の比重は1ですから 2.4×1014 t/y、年間240兆トンという結果になりました。
さて、実際はどうなのでしょうか?
坂田昌弘・編著「環境化学 (エキスパート応用化学テキストシリーズ)」(講談社サイエンティフィック 2015)
という教科書には陸地への降水量は「1.1×1020g/y」だ、という情報がありました。単位を合わせると「1.1×1014t/y」ですから、年間110兆トン、先の計算の半分以下になります。
そうです。八王子の降水量は世界の平均の2倍以上なのです。mmで表せば八王子の1602.3 mm/yに対して、世界平均は750 mm/y 程度になります。
「八王子って雨が多いんだなー」いえいえ!八王子が特に雨が多い訳では無くて、日本が全般的に雨の多い国なのです。海に囲まれた国、日本では雨が降りやすい上に、秋には台風がどっさり雨水を置いていきます。雨が多くて真水がたくさんある日本は水資源については本当に恵まれた国です。世界の水資源問題は深刻ですが、日本はその例外といっても良さそうですね。
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