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10℃の鉄と10℃の綿はどちらが冷たいか?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 今回のお題はナゾナゾです!

 「鉄1トンと綿1トンはどっちが重いか?」というは古典的な謎々。

 思わず「鉄」と答えたくなってしまいそうですが、両方とも1トンなので重さは「同じ」が答え。典型的な引っかけです。

 では今回のタイトル「10℃の鉄と10℃の綿はどちらが冷たいか?」はどうでしょう?

 同じ温度なんだからこれも「同じ」が答えでしょうか。

 それはそれで良いのですが、少し想像してみてください。あなたは部屋の中にいます。温度は10度です。少し、いえ、結構な寒さですね。さて、この部屋に鉄と綿がある。部屋にあるものは気温とだいたい同じ温度になっているでしょう。

 さあ、鉄に(想像の中で)触ってみてください。「冷たい!」

 今度は綿に触ってみましょう(これも想像の中ですが)。少しひんやりしてますが決して鉄の様に冷たくは感じないですよね。

 まあ、どこまで想像が正しいかは別として、私が言いたいことはおわかりではないでしょうか。たとえ同じ温度でも鉄と綿とでは触ったときに感じる温度の感触は違うだろう、ということです。

 下の図は鉄、あるいは綿と人間の指が接触したときの図(のつもり)です。接触した瞬間には、鉄と綿は10℃、指は体温で36℃(本当はもう少し低いと思いますが)です。

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 さて、両者の接触点には温度差があるので熱が流れ始めます。鉄の方は熱が伝わりやすいのでどんどん熱が流れます。それに従って指先が冷やされて私たちは「冷たい」と感じるはずです。

 一方、綿の場合、熱の伝わり方が遅いのでなかなか指先が冷えることはありません。こちらは「少しひんやり」くらいの感じでしょう。(下図)

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 温度は「冷たい」「暖かい」という人間の感覚を客観的に表す基準です。でもこの謎々から分かることは、場合によってはこの客観的な基準と感覚が食い違うケースがある、ということです。

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