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2016年12月

2016.12.30

冬休みの八王子キャンパスに発電機が登場(江頭教授)

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 東京工科大学はもう冬休み、という話題は先日のブログで紹介しましたが、この写真は休みに入る直前の八王子キャンパス。我々、応用化学科が所属する片柳研究棟の前で撮った写真です。

 なにやら四角いものがいくつか。同じようなものがトラックの荷台にも載っていますし、近くには電気工事会社のバンもあります。一体何だと思いますか?

 この大きな四角い箱型のもの、じつは発電機です。なんでこんなものが?八王子キャンパスにはちゃんと電気が来ています。それどころか研究棟の地下には自家発電の施設まであります。(「サステイナブル工学基礎」の授業の一環としてこの施設の見学を行いました。詳しくはこちらに。)

 ええ、「自家発電の施設がある」というところがポイントです。

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2016.12.29

「安全工学」の講義 第14回 環境への配慮(2) ゴミの分類はローカルルールで(片桐教授)

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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 ゴミの分類は市町村や事業所で異なります。八王子市のゴミの分類は細かく、しかも各家庭にそれぞれのゴミの収集日を記載したカレンダーを配布し、その指導・実施を徹底しています。大学のゴミの分類も大学により異なります。そのため、他市町村へと引っ越すと、新しいゴミの排出ルールに戸惑います。

 一般ゴミの処理は、市町村(地方自治体)の責任で行われます。そのため、自治体により分類は異なります。まだ、グローバルなルールはなく、全てローカルなルールです。また、このルールは社会情勢によってしばしば変更されるために…「あ〜、ややこしい(怒)」ですね。廃棄物の法律は全国共通で同じなのに、その運用はTPOに応じて異なることを知っておきましょう。

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2016.12.28

工科大学の冬休み(江頭教授)

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 「はて、大学は二期制なので春休みと夏休みしかないのでは?」と思った人、あなたは鋭い。

 確かにそうですね。冬休みというよりはお正月休みでしょうか。とにかく、本学も年末年始のお休みに入ります。

 授業はすでに12月26日の月曜日で年内の授業を終了しましたが、大学の仕事納めは本日、28日の予定です。スクールバスも休業し、八王子キャンパスは本格的な休業状態になります。

 新年に入ると1月5日に大学は再開。授業も6日の金曜日から再スタートします。

Katakenxga

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2016.12.27

「安全工学」の講義 第14回 環境への配慮(1) 一般廃棄物と産業廃棄物(片桐教授)

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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 環境問題はサステイナブル工学と密接に関わる話題です。廃棄物=ゴミを減らすことは、資源の有効利用に直結します。しかし、ゴミを減らすためにはそのゴミを再生するためのエネルギーを必要とします。サステイナブル工学を目指すならば、ゴミがどのように処理され、あるいは再資源化されているのかを、最低限の知識として知っておかなければなりません。

 法律(廃棄物処理法)により廃棄物(ゴミ)は一般廃棄物と産業廃棄物に二分されます。一般廃棄物は「産業廃棄物以外の廃棄物」という定義だそうです。では産業廃棄物はというと、事業活動により排出されるゴミのうち、燃え殻・汚泥・廃油・廃酸・廃アルカリ・廃プラスチック類・金属くず・ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くずなど、および特定の事業者が出す特定のゴミ(紙くず・木くず・繊維くず・動植物性残さなど)です。わかりにくいですね。大学のゴミ箱から出る紙ゴミは事業系一般廃棄物になります。一方、プラスチックゴミなどは産業廃棄物になります。

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2016.12.26

忘年会のこと(江頭教授)

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 先週の金曜日、12月23日(天皇誕生日です)には忘年会が開かれました。

 このブログで忘年会と言えば応用化学科の忘年会、あるいは工学部の忘年会、とお思いでしょうか。実は、今回の忘年会は学校法人の片柳学園の忘年会です。

 東京工科大学は片柳学園に所属しています。片柳学園には他にも日本工学院専門学校も所属していますから、我々が所属する八王子キャンパスは日本工学院専門学校と一緒に利用しています。また、我々工学部応用化学科の研究室がある片柳研究棟には産官学共同の研究機関である片柳研究所も含まれています。さらに、蒲田キャンパスの東京工科大学、日本工学院専門学校も片柳学園に所属しています。

 さて、これだけ大所帯の忘年会ですから会場もそれなりの広さが必要です。写真の手前に見えるのが会場になっているザ・プリンス パークタワー東京。後ろに見えるのは東京タワーです。忘年会はこの地下のボールルームを会場として開催され、700人以上の参加者がありました。

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2016.12.23

「安全工学」の講義 第13回 情報の安全(6) 電子ジャーナル使用上の注意(片桐教授)

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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 電子ジャーナル使っていますか?。

 図書館から電子ジャーナルのWeb Pageに行き、そこで調べると、契約している電子ジャーナルにアクセスし、pdfファイルなどをダウンロードすることができます。研究室に居ながらにして、論文を入手できます。

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この電子ジャーナルは使う時は使用上の注意を守らなければなりません。

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2016.12.22

10℃の鉄と10℃の綿はどちらが冷たいか?(江頭教授)

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 今回のお題はナゾナゾです!

 「鉄1トンと綿1トンはどっちが重いか?」というは古典的な謎々。

 思わず「鉄」と答えたくなってしまいそうですが、両方とも1トンなので重さは「同じ」が答え。典型的な引っかけです。

 では今回のタイトル「10℃の鉄と10℃の綿はどちらが冷たいか?」はどうでしょう?

 同じ温度なんだからこれも「同じ」が答えでしょうか。

 それはそれで良いのですが、少し想像してみてください。あなたは部屋の中にいます。温度は10度です。少し、いえ、結構な寒さですね。さて、この部屋に鉄と綿がある。部屋にあるものは気温とだいたい同じ温度になっているでしょう。

 さあ、鉄に(想像の中で)触ってみてください。「冷たい!」

 今度は綿に触ってみましょう(これも想像の中ですが)。少しひんやりしてますが決して鉄の様に冷たくは感じないですよね。

 まあ、どこまで想像が正しいかは別として、私が言いたいことはおわかりではないでしょうか。たとえ同じ温度でも鉄と綿とでは触ったときに感じる温度の感触は違うだろう、ということです。

 下の図は鉄、あるいは綿と人間の指が接触したときの図(のつもり)です。接触した瞬間には、鉄と綿は10℃、指は体温で36℃(本当はもう少し低いと思いますが)です。

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2016.12.21

一年のお礼(片桐教授)

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片桐です

2016年もいよいよ終わりになってきました。

いろいろと忙しい1年でした。

 この4月にご講演いただいた天野先生の研究室をはじめ、お世話になった方々(大学研究室)へ感謝とお礼の気持ちを込めて、今年は錦糸町山田屋の人形焼きをお送りしました。

 雑誌で見かけた造形のユニークさから「これはよいものだ!」と思い、11月に実際に買ってきて味見をしました。「これはおいしい、なにより造形がよい」と、その2週間後に送らせていただきました。

 前にもブログ(2016.4.18)でも述べましたが、お土産や贈り物には気を使います。私の大学の指導教員の丸山先生は「手みやげをKIOSKで買ってくるのは、あまりほめられたことではない。もちろん、手ぶらよりはましだけどな、ワハハ」とおっしゃっていました。できるだけ事前に購入し、もって行くようにしています。しかし、本当においしいもの、気に入ったものは賞味期限が短く、送るのが難しくなります。

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2016.12.20

「平均」にもいろいろありまして(江頭教授)

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 本日のお題は「平均」です。

 平均とは何ですか、という問いに対しては「複数の数字に対して、その全てを足し算した値を数字の個数で割ったもの」というのが普通の解答でしょう。これはこれでまったく問題ありません。ただ、この解答は平均値のもとめかたを述べているだけで、本来、平均とは何であるかを説明してはいません。

 では、あらためて平均とは何なのでしょうか?

 例えば「複数の数値を1つの数値で代表させたもの(代表値)の一種」となるでしょう。そうであるならば別に平均値を「足し算して割った」ものに限る必要はありません。

 たとえば「幾何平均」と呼ばれる「平均」は「複数の数字に対して、その全てをかけ算した値を数字の個数分の根をとったもの」です。(これに対して普通の「平均」は算術平均と呼ばれます。)

 また「調和平均」は「複数の数字に対して、その逆数の算術平均の逆数」となります。

 下図には0から1まで変化するxに対してxと1-xとのいろいろな平均値を計算したものをグラフ化しています。

 

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2016.12.19

「安全工学」の講義 第13回 情報の安全(5) 匿名のわな(片桐教授)

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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 ネットでは匿名を使うことが「やむを得ず」「許されて」います。でもそれをたよりにネット上に暴言を書き込む、他人の悪口をいうことは許されていません。

 もともとネットでのハンドルネームや匿名は、ネット犯罪に巻き込まれないためにやむを得ず許されているものです。できれば実名での使用が好ましいものです。Facebookは実名主義ですね。あそこで匿名やハンドルネームを使っても、友達とは認定・認識されません(怖くてできません)。

 「匿名の投稿なら、自分が誰かはわからないだろう」と考えるのは浅はかです。天網恢々粗にして漏らさず、お天道様はしっかり見ています。

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2016.12.16

「安全工学」の講義 番外編 浜松医科大学で講演をしてきました(片桐教授)

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2年生の講義「安全工学」担当の片桐です。

12月5日に浜松医科大学で「安全」の講演をしてきました。

私の本職は「有機化学」ですが、最近は「安全」の講演依頼がよく来ます。これってどうなの?…。

今回は「大学や企業の研究施設におけるリスクアセスメント」のお話をしてきました。対象は学生さん、大学教員、職員にくわえ、今回は静岡県医師会の講習の一環だったそうで、産業医の方も来られたようです。

正直、医学部や医療関係の方への講演は初めてでしたので、話の焦点がぼけていないか心配です。

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講演内容は、このブログで前に述べている(2016.11.2、他)もの、本学でも行っている化学物質リスクアセスメントの実施・工夫に関するものです。

1.法律は少品種大量の安全を意識しているけども大学や研究施設では多品種少量を扱うため、リスクアセスメントの実施は工夫しなければならない。

2.大学では、安全管理ではなく安全推進の立場で進めなければならない。

の2点を強調しました。うまくメッセージが伝わったか、不安です。

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2016.12.15

電気製品の安全な壊れ方(江頭教授)

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 会議が終わって自分の研究室に戻ってきました。あぁ、もう真っ暗だな、と思っていたら明かりがついています。

 「あれっ?だれか残っているのかな。」

 「誰も居ないな。電気(照明)が点きっぱなしだ。最後に帰ったのは誰なんだろう?」

 などと思って照明を落とそうとすると何故か照明が落とせません。何かの配線が切れて電気が点かない、というならありそうなことなのですが消せない、というのはこれ如何に。一体どうなっているのでしょうか。

 翌日、業務課を通して依頼した修理の人たちに話を聞いたところ、スイッチパネル(だったかな?)に供給されている電源が落ちているということでした。スイッチパネルは電源が切れたときには点きっぱなしになるように設計されているそうです。

 なるほど。照明が消せない、というのは多少電気がもったいないですが、ひどく不都合ということもありません。逆に明かりが点かないといろいろ不便ですし、場合によっては危険ですらあります。

 これは合理的な設計です。壊れたときのこともよく考えられているようです。

 さて、故障ネタでもう一件。こんどは「電気ポット」です。

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2016.12.14

「安全工学」の講義 第13回 情報の安全(4) ネチケットはご存知ですか?(片桐教授)

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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 「ネチケット」はご存知ですか?。

 昔からのネットユーザーの方にはなじみ深いでしょうが、若い方はあまりなじみのあることばではないかもしれません。これは「ネットワーク」+「エチケット」の造語で、ネット上でそのユーザーのマナーについてまとめた道徳教本です(http://www.cgh.ed.jp/netiquette/rfc1855js.txt)。興味の有る無しに関わらずネットユーザーには一度読んでおいてもらいたいものです。

 内容は要するに「他人を傷つけるようなまね、迷惑行為をしてはいけない」ということです。以下に簡単にまとめます。

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2016.12.13

地球温暖化防止法?(江頭教授)

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 地球温暖化防止法? あれっ、何か違いますよね。

 そうです、正しくは「地球温暖化対策推進法」ですね。今日のお題は日本の温暖化防止のための政策についてです。

 まず、「地球温暖化対策推進法」は日本の温暖化対策の基礎となる法律です。環境省のホームページにはこうあります。

平成9年、京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)での京都議定書の採択を受け、我が国の地球温暖化対策の第一歩として、国、地方公共団体、事業者、国民が一体となって地球温暖化対策に取り組むための枠組みを定めました。

 さて、ここで謳われている国、地方公共団体、事業者、国民の責務ですが、こと温暖化ガスの排出抑制については、大ざっぱに言えば「各自自主的に努力しましょう。」ということに尽きています。国は調査研究や温室効果ガスの排出量のモニタリングに加え、自らが出す温室効果ガスの排出量抑制、さらに温暖化対策の基本計画をつくることで国全体での排出抑制につとめます。

 地方自治体も同様に自らが出す温室効果ガスの排出量抑制と地域の温暖化対策基本計画をつくることになります。我々の東京工科大学工学部の地元、八王子市にも温暖化対策推進計画があり「平成36年度に人口一人あたり 30%削減 総排出量 24%削減」という目標を掲げています。ただし、その実現の方法は省エネの推進、再生可能エネルギーの導入の推進、普及啓発活動などです。温室効果ガスを削減した(あるいは削減しようとする)企業や市民に対するサポートであり、排出した人へのペナルティではありません。

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2016.12.12

「安全工学」の講義 第13回 情報の安全(3) コンテント犯罪(加害者にならないために)(片桐教授)

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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 コンテント犯罪(コンテンツ犯罪)ということばをご存知でしょうか。

 その中で、著作権の侵害は民事的な犯罪行為ですが、児童ポルノグラフィの所持は刑事犯罪です。

 現在、児童ポルノはその単純所持さえも法律違反であり、刑事罰の対象です。2014年の児童ポルノ禁止法の改正により、2015年からパソコンの中にそのようなファイルを持っている=単純所持さえも、罪になりました。あなたのパソコンは「きれい」ですか?。そのようなファイルに汚染されていませんか?。自分でダウンロードした憶えがなくても悪い友達がメールの添付文章でそんなファイルを送りつけていませんか?。

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2016.12.09

「安全工学」の講義 第13回 情報の安全(2) ソフトウエアーの不正使用は絶対ダメ!(片桐教授)

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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 学生さんや大学に勤務している人は、「アカデミック版」として、比較的安くソフトを購入できます。また、本学の学生さんはMicrosoft Office他のソフトを学内からダウンロードして自分のパソコンに入れて使えます。これらのソフトの使用時には使用規約をよく読んで、ルールを必ず守るようにしてください。

 昔のパソコンはネットにつなぐことを前提にしていませんでした。スタンド・アローンで使うことを前提にしていたために、1ソフト1台の規約に違反する行為がしばしば見られました。しかし、そのような行為は「違法」です。「ばれなければよい」というものではありません。また、ばれた時には経済的・社会的に痛い目を見ます。そして、その行為はその組織の意思で行われたものでなくても、その組織の構成員個人の犯罪であったとしても、組織全体に大きなダメージを与えます。最悪の場合、構成員一人の不正が組織を潰してしまいます。

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2016.12.08

一酸化二窒素はNOxなのか?(江頭教授)

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 本日のお題「一酸化二窒素はNOxなのか?」ですが、普通に考えれば「その通り」です。

 ここで普通、というのは「NOx」が窒素酸化物の一般名称である、と解釈した場合です。ですが「NOx」には大気汚染物質の名称、という意味もあります。その場合の「NOx」は一般的にNOやNO2のことを指すのではないでしょうか。

 大気汚染物質としての「NOx」は「ボイラーなどの固定発生源と自動車などの移動発生源」に由来するもので、「高温燃焼の際に発生するサーマルNOxと燃料にもともと含まれる窒素原子が酸化したフューエルNOxとに分類される」などとされています。

 その一方で一酸化二窒素(N2O)は主に温暖化効果ガスとして扱われています。以下の図は温室効果ガスの排出量の内訳ですが、N2Oは二酸化炭素、メタンにつづいて第三位の排出量です。(ただしこの数値はCO2換算されていることに注意。実際の排出量は約300分の1です。)

 温室効果ガスのインベントリではN2Oの放出の最大の原因は農業で、排出量のほぼ半分を占めるとあります。前述のサーマルNOxやフューエルNOxとして放出されるN2Oもありますが、これは第2位で全体量の三分の一以下でした。これをみるとN2OとNO・NO2をNOxと呼んで一緒に扱って良いのか、という疑問が湧いてきます。

Chart01_03

出典)温室効果ガスインベントリオフィス

全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より

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2016.12.07

「安全工学」の講義 第13回 情報の安全(1) セーフティとセキュリティ(片桐教授)

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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 情報の安全は、これまでの安全(セーフティ)ではなく、保安(セキュリティ)に近いものになります。そして、セキュリティに関しては、学内に私よりも深い見識をお持ちの方が多数いらっしゃります。ですから、ここでは技術的な側面ではなく、安全工学的な、人間的な側面からこの問題にアプローチしてみたいと思います。

 コンピューターに関する犯罪で一番怖いのは、「盗難」ではないでしょうか。私も1998年に一度、海外研修中にミラノ駅で荷物ごとノートパソコンを盗まれたことがあります。当時のノートパソコンは重いもので、ハードディスクも大容量ではなかったため、盗まれた情報量は少なく、セキュリティ的には痛みは小さかったのですが、メールは使えないし、一緒に盗まれてしまったOHPシートのバックアップも入っていたので、その後の海外での講演に支障をきたし、苦労しました。また、今にパソコンに比べれば格段にロー・スペックでしたが、30万円以上しました。しかも海外保険の対象外でした(大学の備品だった)ため経済的にも大打撃でした。

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2016.12.06

みんなで見よう「応用化学探偵団」(江頭教授)

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「応用化学探偵団」

 このタイトルで11月末日に10本の動画を一気にリリースしました。公開ページはこちら本学科のホームページからもアクセスできます。

 今回公開した動画は大きく分けて2つのシリーズに分かれます。

 ひとつめのシリーズは「みんなも作ろう!身の回りの先端応用化学」。これは我々の学科で扱っている多様な化学物質について、その物質が起こすいろいろな現象をデモンストレーションするものです。曰く「息をのむほど面白い、その魅惑の世界を一緒に探ってみよう」です。映像では、それぞれの現象の実用性についても触れています。

 テーマは以下のとおり。どれもコンパクトにまとめてありますから、気軽に眺めてみてください。

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2016.12.05

「安全工学」の講義 第12回 機械の安全(6) 回転巻き込み(片桐教授)

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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 扇風機へのいたずら、やったことがない人は少ないでしょう。扇風機の前で「ワレワレハウチュウジンダ」とかは害がないのですが、指を突っ込んで止める遊びは危険です。こんな馬鹿なことをする子供がいるから、扇風機の羽は鳥かごのような檻に覆われています。

 私も小学生の頃、ビニールひもで作った吹き流しで扇風機の周りの風の流れを視覚的に見ていたことがありました。あるとき、後ろ側から吹き流しを近づけるとビニールひもが檻の中に吸い込まれ羽に巻き込まれ…。おふくろにえらく怒られました。

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2016.12.02

「安全工学」の講義 第12回 機械の安全(5) 安全設計思想(片桐教授)

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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 教科書によると機械の安全設計には

  1. フェイルセーフ 故障しても大丈夫
  2. 安全確認型,危険検出型 センサー
  3. フォールト トレランス 不具合のカバー
  4. フールプルーフ 人間工学原則の順守=人間の理解が必須

とされています。納得できます。

 しかし、現実の機械については納得できないことがあります。なぜ、自動車のアクセルとブレーキは並んいるのでしょうか。視認できない場所のアクセルとブレーキは踏み間違いやすいものです。

 自動車の教習での経験です。

 「エンジンかけて!」

 「はい」

 「ブレーキを踏んで、(ブレーキ)ランプの確認!」

 「はい」と,吹き上がるエンジン音

 「ちがう、ちがう(笑)」

後ろの壁に映るブレーキランプの確認のため、体をよじってブレーキを踏んだつもりが,アクセルを思いっきり踏んでしまい,空ぶかししていました。

 同じようなアクセルとブレーキの踏み間違いの事故の例は新聞やテレビで報道されています。コンビニに突っ込んだり、階上の駐車場から落っこちたり、皆同じ原因です。しかし、このような不都合があるにも関わらず、見えない足元に並んでいるアクセルとブレーキのために、事故は繰返して起こります。

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2016.12.01

安全巡視のこと(江頭教授)

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 「安全巡視」とは大学や企業において現場の安全にたいする取り組みの状況をチェックするためのパトロールのことです。応用化学科が所属する本学の工学部では月に1回、この安全巡視を行っています。

 11月30日の工学部安全巡視は応用化学科が対象となりました。九つの研究室と学生実験室とがあるのですが、今回はそのうち三つの研究室を対象として、大山工学部長、山下応用化学科学科長、そして安全委員の片桐教授が研究室を回り、現場を見ながら安全上の問題点が無いか、チェックをしてゆきます。

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