「安全工学」の講義 第12回 機械の安全(5) 安全設計思想(片桐教授)
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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。
このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。
教科書によると機械の安全設計には
- フェイルセーフ 故障しても大丈夫
- 安全確認型,危険検出型 センサー
- フォールト トレランス 不具合のカバー
- フールプルーフ 人間工学原則の順守=人間の理解が必須
とされています。納得できます。
しかし、現実の機械については納得できないことがあります。なぜ、自動車のアクセルとブレーキは並んいるのでしょうか。視認できない場所のアクセルとブレーキは踏み間違いやすいものです。
自動車の教習での経験です。
「エンジンかけて!」
「はい」
「ブレーキを踏んで、(ブレーキ)ランプの確認!」
「はい」と,吹き上がるエンジン音
「ちがう、ちがう(笑)」
後ろの壁に映るブレーキランプの確認のため、体をよじってブレーキを踏んだつもりが,アクセルを思いっきり踏んでしまい,空ぶかししていました。
同じようなアクセルとブレーキの踏み間違いの事故の例は新聞やテレビで報道されています。コンビニに突っ込んだり、階上の駐車場から落っこちたり、皆同じ原因です。しかし、このような不都合があるにも関わらず、見えない足元に並んでいるアクセルとブレーキのために、事故は繰返して起こります。
電車では、アクセルとブレーキは同時に使わないということもあり、同じレバーでゼロ点より正方向ならアクセル、逆方向ならブレーキになっています(ワンハンド・マスコン(マスター・コントローラー)というそうです)。これは電車により異なるようですね。電車によってはやはりブレーキとアクセルが別になっており、左右の手で操作するものもあるようです。いずれにせよ操作は目視できる位置のハンドルで行います。足元のペダルは警笛です。
ここからは推測です。自動車の場合は坂道発進があるので、ブレーキとアクセルを同時に使うことがあります。またハンドル操作があるので、手は積極的に使えません。そのため、アクセルとブレーキの操作は足を使わざるを得ません。そして、たとえば、アクセルとブレーキの位置を急に変えると、多くの運転手は操作に戸惑い一時的には事故が多発してしまう、ということを懸念しているのではないかと思います。
さて、どうすればよいのでしょうか?。
うちの自動車はエスティマのハイブリッドです。この車にはクルーズコントロールという一定速度で走るデバイスがついています。のぼり坂でも速度が一定に保たれるので、アクセルから足を離し,ブレーキに専念させることができます。最近は路上の障害物を検知し、自動で停止する車も発売されています。技術は日々進歩しています。これらの技術に期待することはできるかもしれませんね。技術の進歩は安全のためであれかし、と存じます。
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