「平均」にもいろいろありまして(江頭教授)
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本日のお題は「平均」です。
平均とは何ですか、という問いに対しては「複数の数字に対して、その全てを足し算した値を数字の個数で割ったもの」というのが普通の解答でしょう。これはこれでまったく問題ありません。ただ、この解答は平均値のもとめかたを述べているだけで、本来、平均とは何であるかを説明してはいません。
では、あらためて平均とは何なのでしょうか?
例えば「複数の数値を1つの数値で代表させたもの(代表値)の一種」となるでしょう。そうであるならば別に平均値を「足し算して割った」ものに限る必要はありません。
たとえば「幾何平均」と呼ばれる「平均」は「複数の数字に対して、その全てをかけ算した値を数字の個数分の根をとったもの」です。(これに対して普通の「平均」は算術平均と呼ばれます。)
また「調和平均」は「複数の数字に対して、その逆数の算術平均の逆数」となります。
下図には0から1まで変化するxに対してxと1-xとのいろいろな平均値を計算したものをグラフ化しています。
図を見るとxと1-xとがともに0.5の場合はどの平均値も同じ0.5になる、という点が共通の特徴です。0.5と0.5の2つの数字を代表するのは0.5、これはまあ当然ですね。
一方で算術平均以外ではどちらかが0になると平均も0になっています。(調和平均は実は0が含まれた数値の集合に対しては計算できませんが、0に近い数が含まれると平均も0に近づいてゆきます。) 幾何平均と調和平均では数値が2個より多い場合でも「1つでも0が入ると平均も0」という計算結果になります。
さて、いろいろな平均があることはわかりましたが、どの平均が最良なのでしょうか?あるいは算術平均が最良だから多く用いられているのでしょうか?
これは「ケースバイケースで最適なものを」としか言えません。例えば身近なところで試験の「平均点」が「1つでも0点が入ると平均点も0点」というのだとしたら少々厳し過ぎるように感じますね。
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