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2017年1月

2017.01.31

入学試験(A日程)を実施中です(江頭教授)

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 先日紹介したように工学部は今、期末試験の期間中です。でも30日、31日は期末試験はお休み。代わりに試験は試験でも入学試験(一般入試A日程)が行われています。

 実はこの一般入試A日程の入学試験、土日の28日、29日も含めて4日間連続で行われます。「1日だけでも2、3、4日間でも受験できる試験日自由選択制」がポイント。それに加えて28日、29日には本学のキャンパスを含めて全国13会場で試験が実施されました。

 一般入試A日程の試験は本日(1月31日)で終了しますが、本学にはセンター利用試験後期、そして、一般入試B日程といった受験の機会が準備さています。

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工学部の入試関連の日程についての正確な情報は、必ずこちらをご確認ください。

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2017.01.30

サステイナブル開発のゴール:SDGs(江頭教授)

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 本学工学部では「サステイナブル工学」を中心に据えて教育・研究を進めることを目標としています。では、「サステイナブル工学」とは何か、何を目指すのか。今回は、その一つの基準として国連の「Sustainable Development Goals」(SDGs)について紹介しましょう。

 「Sustainable Development Goals」は持続可能な開発目標と訳されていますが、今回のタイトルではサステイナブルという言葉を生かして「サステイナブル開発のゴール」としてみました。

 国連の広報センターの日本語版の紹介ページでは

開発アジェンダの節目の年、2015年の9月25日-27日、ニューヨーク国連本部において、「国連持続可能な開発サミット」が開催され、150を超える加盟国首脳の参加のもと、その成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」(英語日本語(外務省仮訳))が採択されました。

とあります。

 「サステイナブル開発のゴール」は「アジェンダ21」「ミレニアム開発目標」といった国連の行動計画の最新版であり、そこに示された目標は人間、豊かさ、地球、平和、パートナーシップという5つの領域での各参加国の行動を促すものです。これらの領域での進歩が持続可能(サステイナブル)な社会を実現する、以下の図はそのコンセプトを示したものです。

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 さてこの図、本学工学部がサステイナブル工学によって目指す社会の目標として掲げた三つのPという図(こちらで確認してください)に「Partnership」と「Peace」を加えたものになっています。「Partnership」は本学工学部では「Global(英語教育)」に連なるものですが、さすがに「Peace」だけは該当するものが見当たりません。国連の目標としては平和は最重要なものの一つですが、「サステイナブル工学」の立場では平和は前提条件であり、わざわざ数え上げていない、ということでしょう。

 さて、「サステイナブル開発のゴール」は実際にはどのようなことを指しているのでしょうか。以下の17個の目標が示されています。

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2017.01.27

ブログ記事500本到達記念。2016年の人気記事。(江頭教授)

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 本ブログの開設は2014年10月27日、それから2年と3ヶ月で記事本数が500本に達しました。

 現在、毎週月曜日から金曜日まで、週5回更新なので年52週間として260本の記事が掲載されるペースです。2年3ヶ月で500本ということは、当初はもっとゆっくりとしたベースだった、ということですね。

 さて、今回も本ブログのアクセスログを見ながら人気記事を紹介しましょう。2周年記念ではブログ開設以来の人気記事を紹介しましたが、今回は2016年1月1日から12月31日までのアクセス数でランキングします。(記事が書かれた日付ではなく、アクセスがあった日付なので念のため。)

 さて、第一位は本ブログのトップページです、がこれは例外ですね。

 具体的な記事の第一位はこちら

水の蒸発速度はどのくらい?(江頭教授)

これは2015年10月20日の私の記事で、表題とおり普通の状態で水がどのぐらいの速度で蒸発するかについて述べたものです。yahooやgoogleで検索してアクセスしてくる人が多いのですが、最近は検索ワードが非公開ですね。おそらく「水 蒸発速度」でしょうか。

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2017.01.26

遂に完結!片桐教授の「安全工学」講義(江頭教授)

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「2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。」

この書き出しで始まる片桐教授のシリーズ記事「安全工学」、昨年の6月からスタートし、先の1月24日の記事にて完結となりました。

 途中四回の番外編を含めて、全80回の大連載となりました。

 このシリーズ記事、東京工科大学の工学部学生を対象とした授業(応用化学科に限らず、工学部全体が対象となっています)、「安全工学」の講義内容をベースとしたものです。「安全工学」の授業についてはこちらの記事を参照してください。

 安全に関する身近な話題から専門的な知識までを網羅し、貴重の情報がいっぱいのシリーズだと思います。

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 以下にシリーズ記事の一覧を示します。皆さん、興味のある記事、面白かった記事を思い出してチェックしていただければと思います。

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2017.01.25

後期の授業終了。期末試験が始まりました。(江頭教授)

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 東京工科大学八王子キャンパスの後期授業は1月23日で終了しました。

 「えっ、1月からもう春休み!」いえいえ、24日からは定期試験が開始されますから、まだ休みには程遠いですよ。でも、試験期間は約1週間ですから、2月の始まりごろで終了します。中学や高校に比べればやっぱり早い春休みですね。(もっとも、我々教員は休み中にもいろいろ仕事があるのですが。)

 9月にスタートした後期授業、冬休み、というか正月休みを挟んで15回の授業をこなしました。我々応用化学科は新設なので、再来年度までは毎年新たな学年の授業が始まり、その準備に追われるのが宿命なのですが、まずは一息といったところでしょうか。

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2017.01.24

「安全工学」の講義 第15回 災害から身を守る(4) 危惧される大規模災害4 BCPという備え(片桐教授)

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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 BCPということばは、なじみのないことばかも知れません。Business Continuity Planつまり、大きな災害後に業務を継続して行うための計画のことです。計画の立案は予防対策です。大規模災害に遭遇した後に命があれば、次は生活再建です。そのためには仕事を再開する必要があります。このような視点からの対策が重要です。

 この計画の作成は、リスクアセスメント(ブログ2016.11.02)そのものです。あえて言えば、化学物質のリスクアセスメントは「事故防止」を目的とし、BCPは「事故被害の局限化」を目的とします。化学物質のリスクアセスメントでは、

  1.  「どのような薬品をどのように使うのか」というシナリオの設定
  2.  「どのくらい有害な薬品なのか」というMSDSの入手と有害性の調査
  3.  「作業環境でどのくらいの量をばく露するのか」を測定する作業環境測定
  4.  「上記の結果を元にしたリスクレベルの判定」

の4段階ですすめます。

 同様にBCPでも

  1. まず、災害の分析により災害のシナリオ(どのような災害を想定するか)を作ります。
  2. 次にその災害による業務への影響(想定被害)を見積もり。
  3. そして、その被害を抑えるための対応策を立案し
  4. マニュアル化してまとめます。

BCPは、実例に乏しいため、影響の大きさの見積もりは難しいでしょう。また、対策立案は、その時の社会情勢や被害の重軽による違い(TPO)も考慮しなければならないため、立案は難しいものであり、マニュアル化にそぐわないものでもあります。

 難しいからといって、何もしない無策は危険です。常日頃から重大自体を想定することは、事態の局限対策になるだけではなく、事態の悪化回避にも役立ちます。

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<学生生活における大規模災害!>

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2017.01.23

ロボット、AI、そして未来のイメージ(江頭教授)

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 私が子供だった頃ですから、今から20年まえくらいでしょうか…。

 すいません、サバ読みました。今から40~50年くらい前、正確に言うと1960年代末から1970年代前半くらいの時代、世の中の多くの人たちが持っていた未来のイメージは「どんどん生活が豊かになり、新しい科学技術の成果が世界をより発展させる」というものだったのではないかと思います。私自身は子供だったので、その具体的なイメージは「鉄腕アトム」などで描かれた世界が下敷きになっているのだと思います。

 空飛ぶ自動車が透明なチューブの高速道路を走り、人間と会話するロボットが普通に居て、火星への探検も行われているような未来社会、そんな未来に向けて当時の社会が進歩を続けている、ということをなんとなく信じていたのだと思います。具体的に考えてみることは滅多になくても、問われればそう答えるしかない。取り立てて他のイメージがあるわけでもない。多くの人にとってそんな感覚だったのではないでしょうか。

 さて、この楽天的な未来イメージは後の石油ショックによって一気に崩れます。地球と資源の有限性が意識され、その中でサステイナブルな発展を続ける社会をどう作るか、という話に続くのですが、今回それには触れずにおきましょう。

 それより私が最近気になるのはロボットについてのイメージです。ロボットという存在は魅力的でいろいろなSF的想像をかき立てます。良くあったのは「仕事は全部ロボットがしてくれるので、人間は遊んで暮らせる」という話です。普通はこれに、でもそんなのは遠い未来の話なのでちゃんと勉強しないとダメだよ、という教訓がついていたものですが。

 この「代わりに仕事をしてくれるロボット」というイメージ、昔は肉体労働を代わってくれるものでした。それらが実用化された現在では、さしずめ「AI」がそのイメージを引き継いでいるのだと思います。

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2017.01.20

授業のお供、ペットボトル?(江頭教授)

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 最近はどうなっているか知らないのですが、小中学校、それに高校のころまでは「教室では飲食禁止」だったと思います。「食」はずっと禁止でしょうが、大学の授業での「飲」についてはグレーゾーン、というかケースバイケースでしょう。

 私の場合、「授業の際の飲み物」にとくに疑問を感じてはいないのですが、それ以前に「皆、良く飲み物を持ち歩いているなあ」という、ある種驚きの感覚があります。

 今は授業に出ることはなく、もっぱら授業で話す方なのですが途中で「何か飲みたい」と思うことはありません。研究室でコーヒー、ということはありますがわざわざ買ってまで何かを飲むことはすくないですね。なんかもったいない気もしますから。

 さて、全国清涼飲料工業会のWEBサイトでは以下の様なデータが公開されていました。

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2017.01.19

「安全工学」の講義 第15回 災害から身を守る(3) 危惧される大規模災害3 パンデミック(片桐教授)

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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 パンデミックはあまり我々には身近に感じない大規模災害です。映画やマンガの世界では、しばしばお目にかかります。私が最初に見たその手の映画はアメリカ映画の「アンドロメダ病原体」だったと思います。まだ中学生になった頃でした。この映画ではパンデミックは未然に防がれました。その後、小松左京のSF小説「復活の日」の映画版が発表されました。こちらでは、南極越冬隊以外の人類は絶滅してしまい、そこから人類が復活していきました。アメリカ映画の「アウトブレイク」はエボラ出血熱をモデルにしたもので、この映画でも型破りの行動をとるヒーロー(ダスティン・ホフマン)がでてきて、感染の拡大を食い止めていました。その後、日本映画の「感染列島」では、鳥インフルエンザがはびこり、パニックになった日本が描かれていました。その他にもパンデミックを取り扱う映画は多数あります。

 これらの映画の傾向を見ると、日本映画では病原菌が蔓延し、それを抑え込むための医療機関のチムワークの悪戦苦闘や勝ち目のない闘いを描くストーリーが多く、アメリカ映画では一人のヒーローの暴走に近い活躍でパンデミックが未然に防がれるストーリーが多いようです。これは国民性でしょうか。

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<コロナウイルス>

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2017.01.18

「豊洲、ベンゼンは排水基準の7.9倍」(江頭教授)

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 今回の表題をみて、「えっ、7.9倍? 79倍じゃないの?」と思った人、あなたは偉い!良くニュースをみていますね。

 でも、これ別に誤記ではないのです。よく見てください。「排水基準」と書いてありますよね。今ニュースにでている79倍の方は「環境基準」との比較なのです。

 「環境基準」と「排水基準」、同じ基準でも意味は異なっています。

 まず「環境基準」から。環境省のWEBサイトの記述には

環境基本法(平成5年法律第91号)第16条による公共用水域の水質汚濁に係る環境上の条件につき人の健康を保護し及び生活環境(同法第2条第3項で規定するものをいう。以下同じ。)を保全するうえで維持することが望ましい基準(以下「環境基準」という。)

という定義(?)が出ています。公共の水域では維持することが望ましい基準であるとされています。ベンゼンについての基準は「人の健康を保護するために定められた基準」と分類されていて 0.01mg/L 以下となっています。

 一方、「排水基準」は「この濃度以上の有害物を含む排水を出してはいけません」という基準であり、ベンゼンの場合は 0.1mg/L 以下となっています。つまり排水基準は環境基準の10倍なので、先ほどの7.9倍と79倍の違いはここから来るのです。

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上図はYomiuri Onlineにでた件のニュースのスナップショットです。タイトルには単に基準としかありません。(もちろん、本文中には環境基準であることが記載されていますが。)

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2017.01.17

「安全工学」の講義 第15回 災害から身を守る(2) 危惧される大規模災害2 水害に備える(片桐教授)

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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 自分の住んでいる場所のハザードマップをみたことがありますか?。

 都市部の多くの場所について、地方自治体によりハザードマップが用意されています。台風などの大雨災害のとき、どこが危険か、その交通路が遮断される怖れがあるか、事前にチェックしておきましょう。

 八王子市のハザードマップ(http://www.city.hachioji.tokyo.jp/moshimo/bosai/018410.html)によると、東京工科大学は峠のてっぺんの方にあるので、キャンパス内の水害の被害予想はほとんどありません(http://www.city.hachioji.tokyo.jp/emergency/bousai/m12873/001/p005647_d/fil/hhzmap-south-southeast.pdf)。国道16号線沿いの駐輪場のあたりから正門脇の池のあたりで1 mくらいの浸水の可能性があるようです。大雨の時は近寄らないようにしましょう。しかし、キャンパス外では低地での浸水が懸念されています。みなみ野駅の周りも、兵衛川のあたりは最大50 cmの浸水が予想されています。みなみ野駅の東口の方はあまり安全とは言えないようです。

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2017.01.16

ビール瓶と試薬瓶(江頭教授)

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 未成年の皆さんには関係のない話ですが、「ビールを注ぐとき、ラベルを上にするべきか」という話がネットで少し話題になっているようです。これは自分で注ぐときではなく、他の人(主に目上の人に、でしょう)に注ぐ、つまりお酌をするときを想定しているようです。お酌という儀礼的な行為のあり方について、ということですね。

 私はお酌については疎いのですが、化学関係の人間としては「ラベルを上に」という動作は覚えがある、というか身についています。化学薬品、液体の試薬を注ぐときは「ラベルを上にする」、というのは高校の実験でも教えられているかもしれませんね。

 さて、試薬を注ぐときはラベルを上に、というのは化学実験の場合には常識なのですが、その理由は「液だれによって試薬瓶のラベルが汚れるのを防ぐ」ということです。瓶を傾けて内部の液体を取り出したその後に、瓶の口に付着した液体が瓶の外側に流れてゆく、これが「液だれ」です。ラベルのある方向を下にして試薬を注ぐと液だれした試薬でラベルを汚してしまいます。試薬の性質によってはラベルが汚れる以上に溶けたり分解したりすることも起こるので問題になる、ということです。

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2017.01.13

「プロセス」という言葉(江頭教授)

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「ねぇ、チェダーチーズはどうしてチェダーチーズって言うの?」

「それはね、イギリスのチェダーという町でつくられていたチーズだからさ。」

「ふーん、じゃあゴーダチーズは?」

「ゴーダチーズはオランダのゴーダという街が発祥の地なんだよ。」

「なるほど!じゃあプロセスチーズは?」

「アメリカ西海岸のプロセス地方で…、ってそんなわけあるかい!」

 さて、件の「プロセスチーズ」英語では「processed cheese」というそうです。「処理されたチーズ」ということで、今回のお題はこの「プロセス(Process)」という言葉についてです。

 私が「プロセス」という言葉をはじめて知ったのは、やっぱり「プロセスチーズ」だったのではないかと思います。この場合の意味は「処理」ということで良いでしょう。そういえばコンピューターのCPU (Central Processing Unit)のPもプロセスで、これも「処理」という意味で通りそうです。

 一方、今の専門である化学工学でよく使う用法は「化学プロセス」ですが、これは「処理」というのとはちょっと違うような気がします。

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2017.01.12

「安全工学」の講義 第15回 災害から身を守る(1) 危惧される大規模災害1 地震に備える(片桐教授)

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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 地震が頻発しています。地震は(まだ)予知できません。だから、その対策は防止対策ではなく局限対策になります。

 皆さんは家や下宿に3日分の非常食、飲料水を確保していますか?。してない人は、すぐに確保してください。特に飲料水は1人1日3Lを確保しておきましょう。この量は、夏場はもっと大きくなります。食品は調理のための電気やガスが使えないことを前提で、品物を選びましょう。

 緊急時の避難場所を把握していますか?。昼間、大学にいる場合は、東京工科大学は広域避難所です。比較的安全な場所です。発災時は安全が確認できるまで、大学にとどまりましょう。自宅や下宿の場合は自宅のそばの避難所(小学校)などを調べておきましょう。その際、その場所が地震に伴う土砂災害のおそれはないか、津波などによる被災の怖れはないかも調べておきましょう。

 避難する時は、緊急避難グッズの他に十分な衣類を持って行きましょう。毛布は配られるかもしれませんが、十分ではないかもしれません。特にこれから冬場にむかって、避難できても風邪をひいてしまっては被害を受けることになります。3.11の時、北関東の大学では、建物の避難後に安全確認が終わるまでの数時間のあいだ、学生や先生は寒風吹くグランドで待機させられて、風邪を引いてしまった学生も多くおられたようです。

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2017.01.11

Frozenな試薬(江頭教授)

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 水が凍る温度は0℃、これは良く知られていることです。

 身の回りの液体のほとんどは水を主成分としていますから0℃近辺を温度が上下すると凍結と融解が繰り返されることになります。普通の製品は水だけが成分では無く、水以外の成分と水との巧みな混合の状態にこそ、その価値があります。ですから、液体として提供するものは0℃以上を、0℃を超えると溶けてしまうものは0℃以下を維持しながら物流に乗せ、融解や凍結を避けながら人々の生活の場に提供されています。

 要するに、溶けたアイスクリームや凍ったサイダーは勘弁してね、ということです。家庭やオフィスを見回しても0℃以下なのは冷蔵庫の製氷室。それ以外は0℃以上に保たれていますから、室内で液体が凍る、ということはよほどのことがないとお目にかからない状況ではないでしょうか。

 しかし、化学の実験室となるとそうはいきません。薬品庫にはいろいろな融点の物質が勢揃い。15℃~25℃が融点の試薬は夏に液体として購入し、ありのままにしておくと冬には瓶の中で凍り付いてしまいます。

 酢酸の融点は16.7℃でちょうど「夏は液体、冬は固体」という物質です。純度の高い酢酸は冬場には凍結するので「氷酢酸」と呼ばれています。

 さて、試薬瓶のなかで凍り付いた、本来は液体の試薬、どうしたものでしょうか。

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(イメージは本文中の試薬とは無関係です。)

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2017.01.10

「安全工学」の講義 第14回 環境への配慮(5) 処理のできない厄介な有害廃棄物 石綿=アスベスト(片桐教授)

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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 処理のできない厄介な有害廃棄物の代表として、水銀、アスベスト、PCBを挙げられます。

 水銀については以前のブログ(「安全工学」の講義 第10回 化学の安全 有害性(5))でお話しました。

 またPCBについても、以前のブログ(2016.5.11)でフッ素君に代弁してもらいましたので、今回は省きます。

 アスベストの問題は2005年にクローズアップされました。1987年にアスベストを取り扱う工場の近隣に住む主婦が中皮腫という肺がんに罹りました。その後、アスベストが中皮腫を引き起こすことが明らかになり、大きな騒動になりました。

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2017.01.09

ガス流量のはかり方(江頭教授)

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 今回のお題はガスの流量の測定方法についてです。

 気相反応の触媒についての実験では反応器を出てきたガスの流量を測定する、というのはよくある操作です。反応前に実験条件を確認する意味で、あるいは反応中に流量が変化していないかチェックする、などいろいろな局面があります。

 流量のはかり方にもいろいろありますが、今回紹介するのは液膜流量計というタイプ。装置は簡単なつくりで、原理も明白(と、いうか原理と言うほどでもない)なのでよく使っています。

 さて、下の写真がその装置の図。どこかで販売しているかとおもって少し探したのですが結局見つからず、ガラス加工をしてくれる会社に注文して作ってもらいました。

 流量計の本体は容量の目盛がついた太めのガラス管の上下、そして下側面にホース口をつけたものです。これを垂直に立てて、下のホース口にはスポイトのゴムを付けて使います。下側面のホース口がガスの入り口、頂点のホース口が出口です。

 「これでどうやって流量がはかれるの?」 ご不審はごもっとも。以下、それを説明しましょう。

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2017.01.06

東京工科大学 再起動! (江頭教授)

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 今回のタイトル、如何でしょうか?最近、学科のホームページに本ブログの記事のタイトルが転送される様になったので少しタイトルに凝ってみたのですが、すこしオーバーだったでしょうか。

 さて、再起動はオーバーですが、冬休み、というかお正月休みが明けてほ本学の八王子キャンパスも昨日(1月5日)から活動を再開しました。もっとも授業の開始は今日(1月6日)からで、土曜日日曜日、それに1月9日月曜日は「成人の日」のお休みです。学生諸君は今日一日頑張れば、もう少しお休み気分を味わえるかも知れません。

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2017.01.05

「安全工学」の講義 第14回 環境への配慮(4) リサイクル(片桐教授)

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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 「活かせば資源、捨てればゴミ」「分ければ資源、混ぜればゴミ」は古くからよく知られている標語です。一般ゴミとして捨てられている紙ゴミも、再生紙の原料としてリサイクルできます。最近は、プラスチックやビニールにもリサイクルのマークが付き、分類の方法が指示されるようになってきました。しかし、このようなリサイクルも、無条件ではありません。例えば紙のリサイクルを考えてみましょう。

 紙の原料は木材です。でも、木材は紙としてリサイクルには乗せられません。これは木材の中には紙の原料となるセルロースの他にもいろいろな成分、例えばリグニン(山下先生ブログ2015.01.28)などが含まれており、これを除くためには紙の単純なリサイクルの行程とは異なる分離操作を必要とします。そのため、たいへんコスト高になります。最近は小さな紙の断片=雑紙もリサイクルされます。しかし、その注意書きには「ラップの芯」は雑紙に入れては行けないと指示されています。これは、ラップの芯のように硬く固めるために、大量のノリが混入しているからです。これらの不純物を分離する技術・手間・コストを考えれば、一般ゴミとして燃やす方が資源的に「正しい」わけですね。

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2017.01.04

高尾山の山頂から東京工科大学を望む(江頭教授)

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 本日は新年が開けてすでに4日目、ですがまだ大学は始まっていません。ということで、今回は少し出遅れていますが新春ネタを。

 今年の正月は天気もよく比較的暖かい三が日になりました。まさに「お出かけ日和」。そこで正月3日には高尾山に登ってきました。

 高尾山の山頂からは富士山のよく見えて、それはそれは絶景だったのですが、今回山頂で発見したのは別のポイント。以前の記事でも紹介しましたが、高尾山からは本学のキャンパスがよく見えます。とくに1号路の途中、金比羅台の展望所やケーブルカーの駅の展望所、そしてケーブルカーからの展望がおすすめです。

 その記事を書いた際に「山頂からは都心の方向に視界が開けていない(ので東京工科大学は見えない)」と書いていたのですが、今回ふと気がつくとなんと、山頂からでも東京工科大のキャンパスが見えていたのでした。

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2017.01.03

「安全工学」の講義 第14回 環境への配慮(3) 排水・廃液を減らす(片桐教授)

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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。

 実験の後、器具の洗浄ではどうしても廃液や排水が出ます。

 有機化学の実験後は、有機物をアセトンで溶かし落とし(2〜3回)、その後少量の水で3回すすぎ、その後洗剤を使って洗います。このとき、最初のアセトンは有機廃液として、その後の3回すすぎ水は含水有機廃液になります。

 有機廃液は焼却処分されます。これは石油資源を使用するのですからできるだけ少量のアセトンできれいにしたいと思います。このとき、 10 mL のアセトンで1回よりも 1 mL で3回の方がきれいになります。

 10 mL 1回の洗浄時に仮に溶液濃度が 0.1 M、器具への付着量が 0.1 mL とすると、洗浄後の器具への付着物の量は 0.01 mmol になります。一方、1 mL 3回の洗浄では、1回目で 1 M 0.1 mL となるため、10 mL 1回目よりも10倍濃くなりますが、2回目ではそれが1/10の濃度になり、3回目では1/100の濃度、すなわち 0.01 M になり、10 mL1回よりも10倍きれいになります。

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2017.01.02

年頭のご挨拶 2017年を迎えて(江頭教授)

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新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 

 2015年、多くの期待を担って始動した工学部応用化学科は今年2年目を終わり、3年目に入ろうとしています。2015年に入学した第一期生は初年度の教育課程を終え、二年生として有機化学や物理化学についてはよりアドバンスドな教程を、さらにいろいろな化学の分野についての選択科目を受講しています。化学実験の内容もより高度なものとなりました。そして2016年4月には第二期生が入学し、第一期生も先輩という立場になり、初年度、我々教員が準備した新入生歓迎会も、昨年は先輩の第一期生が企画し、進行してくれました。

 この2年間、教育改善のための授業参観や学生への定期的な面談などを、本学の制度に基づいた授業改善、学生支援の取り組みを通して、全教員が親身になって学生をケアし学生の才能を伸ばす、という試みは継承・発展されています。また、大学ー高校連携講座や模擬講義、高校訪問でも学科独自の努力を続けています。

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