「安全工学」の講義 第14回 環境への配慮(4) リサイクル(片桐教授)
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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。
このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。
「活かせば資源、捨てればゴミ」「分ければ資源、混ぜればゴミ」は古くからよく知られている標語です。一般ゴミとして捨てられている紙ゴミも、再生紙の原料としてリサイクルできます。最近は、プラスチックやビニールにもリサイクルのマークが付き、分類の方法が指示されるようになってきました。しかし、このようなリサイクルも、無条件ではありません。例えば紙のリサイクルを考えてみましょう。
紙の原料は木材です。でも、木材は紙としてリサイクルには乗せられません。これは木材の中には紙の原料となるセルロースの他にもいろいろな成分、例えばリグニン(山下先生ブログ2015.01.28)などが含まれており、これを除くためには紙の単純なリサイクルの行程とは異なる分離操作を必要とします。そのため、たいへんコスト高になります。最近は小さな紙の断片=雑紙もリサイクルされます。しかし、その注意書きには「ラップの芯」は雑紙に入れては行けないと指示されています。これは、ラップの芯のように硬く固めるために、大量のノリが混入しているからです。これらの不純物を分離する技術・手間・コストを考えれば、一般ゴミとして燃やす方が資源的に「正しい」わけですね。
新聞販売店による新聞紙だけの回収があります。指定の紙袋に新聞だけを入れて出すと、トイレットペーパーに交換してもらえます。これも、ホチキスの針やノリのついていない新聞紙は、そのインクを除去するだけで容易にリサイクルができるため、上質なリサイクル資源であるからです。
必要なモノをどのように効率よく分離して利用するかは、化学工学の大事なミッションです。
リサイクルを正しく行うためには、その資源がどのように再処理されるかを学ばなければなりません。しかし、それを全て知ることは困難です。我々消費者は、せめて指示にしたがって、リサイクルに提供しましょう。
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