ガス流量のはかり方(江頭教授)
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今回のお題はガスの流量の測定方法についてです。
気相反応の触媒についての実験では反応器を出てきたガスの流量を測定する、というのはよくある操作です。反応前に実験条件を確認する意味で、あるいは反応中に流量が変化していないかチェックする、などいろいろな局面があります。
流量のはかり方にもいろいろありますが、今回紹介するのは液膜流量計というタイプ。装置は簡単なつくりで、原理も明白(と、いうか原理と言うほどでもない)なのでよく使っています。
さて、下の写真がその装置の図。どこかで販売しているかとおもって少し探したのですが結局見つからず、ガラス加工をしてくれる会社に注文して作ってもらいました。
流量計の本体は容量の目盛がついた太めのガラス管の上下、そして下側面にホース口をつけたものです。これを垂直に立てて、下のホース口にはスポイトのゴムを付けて使います。下側面のホース口がガスの入り口、頂点のホース口が出口です。
「これでどうやって流量がはかれるの?」 ご不審はごもっとも。以下、それを説明しましょう。
スポイト部分には石けん水(本当は漏れ検出液なのですが、まあ石けん水と思ってください。)をいれておきます。これで本体の中に液膜を作ります。やり方は文章で説明するのは難しいですが、以下の動画の様になります。(実際のスピードの3倍で表示します。)
さて、ガスが流れ込む量が液膜によって可視化されますから、この液膜が目盛の間を移動するのにかかる時間をストップウオッチで測定して流量を求めることができます。液膜が測定の途中で破裂してしまうと測定が途中でダメになってしまうので、流量計の内壁が乾燥している場合は測定前に液膜をたくさんつくって内壁をぬらすようにして使います。
どうです?これ以上簡単な測定原理は思いつかないのでないでしょうか。でも原理が単純であるからと言って誤差の要因がないわけではありません。
実際、この液膜流量計には不可避的に誤差が生じる要因があります。ガスが水と接触するので、ここで発生した水蒸気が流量に加わることになります。冬の間は気温が低いので蒸気圧も低いのですが、夏場はどうでしょう。場所によっては30℃くらいにはなると考えると水蒸気発は4.24kPa程度。大気圧を101kPaとすると4%ぐらいの誤差となりますから無視はできないでしょう。
温度を測れば水蒸気圧は補正できるのでは? なるほどその通りですね。ただし、使用しているのは純水ではなく、石けん水である点には注意が必要でしょう。
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