「安全工学」の講義 第14回 環境への配慮(3) 排水・廃液を減らす(片桐教授)
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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。
このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。
実験の後、器具の洗浄ではどうしても廃液や排水が出ます。
有機化学の実験後は、有機物をアセトンで溶かし落とし(2〜3回)、その後少量の水で3回すすぎ、その後洗剤を使って洗います。このとき、最初のアセトンは有機廃液として、その後の3回すすぎ水は含水有機廃液になります。
有機廃液は焼却処分されます。これは石油資源を使用するのですからできるだけ少量のアセトンできれいにしたいと思います。このとき、 10 mL のアセトンで1回よりも 1 mL で3回の方がきれいになります。
10 mL 1回の洗浄時に仮に溶液濃度が 0.1 M、器具への付着量が 0.1 mL とすると、洗浄後の器具への付着物の量は 0.01 mmol になります。一方、1 mL 3回の洗浄では、1回目で 1 M 0.1 mL となるため、10 mL 1回目よりも10倍濃くなりますが、2回目ではそれが1/10の濃度になり、3回目では1/100の濃度、すなわち 0.01 M になり、10 mL1回よりも10倍きれいになります。
我々には無条件に実験を行う権利、つまり実験により環境を汚染する権利ははありません。社会はこの実験による教育成果と研究成果とそれによる学生さんの成長に期待して、我々に実験を許しています。だから、我々は環境に対して最大限に配慮し、できるだけ負荷をかけないように工夫する義務を負っています。それを意識することは「サステイナブルの精神」そのものではないでしょうか。惰性で実験を行うことは許されません。その工夫を厭い、横着にもそれを怠る者には実験は許されないと、私は思います。
実験はトータルで自分も社会もみんなを幸せにするために行わなければなりません。みんなでHappyになりましょう。
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