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危険物取扱者の資格を取ろう-6 法律-3 指定数量-1(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

 このシリーズはこの夏の受験により危険物取扱者の資格を目指す学生さんを対象にしたレクチャーをします。

 さて、危険物取扱者試験の「法律」はいろいろ憶えることが多くて大変です。特に、この「指定数量」は数字を憶えなければならないので、正直しんどいですね。でも、ここが大きな山です。自分でノートに表を作って「憶え」ましょう。試験が終わったら忘れても良いのです。試験が終わって指定数量の数字が必要になったら、参考書やネットで調べれば良いのです。むしろ、うろ覚えの数値で対応するよりも、調べ直す方が失敗しません。ですから、資格取得のために憶えることはやむを得ない苦行と思って…あきらめましょう。憶えるときに、指定数量はその具体的な物質も含めて憶えてください。

 指定数量は危険物の危険性の基準となる数量です。危険物の「類」や「品名」や「性質」により指定数量は決められています。

 第一類の第一種酸化性固体(危険等級Ⅰ:塩素酸塩(Na, K),過塩素酸塩(Na, NH4)、過酸化物(Na, K)、亜塩素酸塩(Na)、臭素酸塩(K))は50 kgです。第二種酸化性固体(危険等級Ⅱ:ヨウ素酸塩(Na)、過マンガン酸塩(K))は300 kgです。第三種酸化性固体(危険等級Ⅲ:硝酸塩(Na, NH4),重クロム酸塩(K)、三酸化クロム、次亜塩素酸(Ca))は1,000 kg (1 t)です。

 第六類(危険等級Ⅰ:過塩素酸(HClO4)、過酸化水素(H2O2)、硝酸(HNO3)、ハロゲン間化合物(例えば五フッ化臭素(BrF5)))は300 kgです。

 ここで、同じ酸化物で同じ危険等級でも類により指定数量は異なることに注意して下さい。あ〜ややこしい。

Fig

 第二類のうち、硫化リン、赤リン、硫黄、第一種可燃性固体(アルミニウム粉、亜鉛粉、マグネシウム)(危険等級Ⅱ)は100kgです。また鉄粉、第二種可燃性固体(危険等級Ⅲ)は500 kgです。同じく第二種可燃性固体(危険等級Ⅲ)でも、固形アルコールは1,000 kg (1 t)です。

 第四類は重さではなく容量になります。特殊引火物(危険等級Ⅰ、ジエチルエーテル、二硫化炭素(CS2)、酸化プロピレン=プロペンオキシド)は50 Lです。第一石油類(危険等級Ⅱ)のうち、水に溶けない非水溶性液体(ガソリン、ベンゼン)は200L、水に溶ける水溶性液体(アセトン)は400Lです。同じくアルコール類(危険等級Ⅱ、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール)は400Lです。第二石油類のうち非水溶性のもの(灯油,軽油、キシレン)は1000L、非水溶性のもの(酢酸)は2000Lです。第三石油類(危険等級Ⅲ)のうち、非水溶性のもの(重油、クレオソート油)は2000L、水溶性液体(エチレングリコール、グリセリン)は4000Lです。第四石油類(危険等級Ⅲ、ギヤ−油、シリンダー油)は6000L、動植物油(危険等級Ⅲ、アマニ油)は10,000Lです。

 水溶性の指定数量は、非水溶性のの2倍になります。

 第三類の危険等級Ⅰのものうち、金属カリウム、金属ナトリウム、アルキルアルミニウム,アルキルリチウムの指定数量は10 kgです。その他の危険等級Ⅰの第一種自然発火性物質及び禁水性物質(リチウム、バリウム、有機金属化合物)も10 kgです。しかし、黄リンは20 kgです。危険等級Ⅱの第二種自然発火性物質及び禁水性物質(水素化ナトリウム(NaH)、リン化カルシウム、炭化カルシウム(カーバイド))は50 kgです。また第三種自然発火性物質及び禁水性物質(トリクロロシラン)は300 kgです。

 第五種の危険等級Ⅰの第一種自己反応性物質(有機過酸化物(過酸化ベンゾイル)、硝酸エステル(硝酸エチル)、ニトロ化合物(ピクリン酸)、ニトロソ化合物、アゾ化合物、ジアゾ化合物)は10Kgです。また、危険等級Ⅱの第二種自己反応性物質(ヒドラジン類、ヒドロキシルアミン、アジ化ナトリウム、硝酸グアニジン)は100 kgです。

 さて、ここまでの文章を読んだら(目が泳ぎます)これを別の紙に表の形で書き直しましょう。それが有効な試験対策になります。類ごとに、危険等級や類内の種別、化合物のグループ、具体的な化合物名、そして、それぞれの指定数量をまとめた表を作りましょう。これは宿題です。この作業を行わないと憶えることができません。

 どうも、法律を作った人は受験者の負担を考えなかったようですね。

片桐 利真

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