「ふーふー」、熱いたべものに息を吹きかけると冷えるのはなぜ?(江頭教授)
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「いただきーます! あちち! ふー、ふー」
てな感じで熱い食べ物を息を吹きかけて冷ます、というのは何となく身に覚えのある情景ですよね。今回のお題は息を吹きかけると物が冷えるのはなぜか、です。でも、最初にお断りしておきましょう。実は正解が何か、今のところ私にもはっきりしてはいません。二つの仮説を挙げますので、皆さんも一緒に考えていただければと思います。
さて、「息を吹きかけると物が冷える」理由を考えると、「息を使って風を起こし、熱い物に風が当たることで冷える」と解釈できます。本質は熱い物に向かって風を送ることで、息を使うのはもっとも身近な手段だから、でしょう。風が当たることでものが冷える、というのは風が強いと寒く感じる、という日常の経験で分かりますし、手に息を吹きかけてみても実感できることです。
この効果、化学工学の表現では
温度の高い物体の周辺のレイノルズ数が大きくなることでヌッセルト数が増大する、これは熱移動の境膜の厚みが減少することに相当するので、熱の移動が促進されて周囲より温度の高い物体に対する冷却速度が高くなる
ということになるのですが、要するに「熱の移動が早くなる」ということです。この効果が原因の場合、「熱いもの」の温度は風の温度、というか周囲の空気の温度までしか冷えない、ということになります。熱い物が周囲の温度まで冷える、その過程が加速されるだけなので当然ですね。