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2017年4月

2017.04.28

「ふーふー」、熱いたべものに息を吹きかけると冷えるのはなぜ?(江頭教授)

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 「いただきーます! あちち! ふー、ふー」

 てな感じで熱い食べ物を息を吹きかけて冷ます、というのは何となく身に覚えのある情景ですよね。今回のお題は息を吹きかけると物が冷えるのはなぜか、です。でも、最初にお断りしておきましょう。実は正解が何か、今のところ私にもはっきりしてはいません。二つの仮説を挙げますので、皆さんも一緒に考えていただければと思います。

 さて、「息を吹きかけると物が冷える」理由を考えると、「息を使って風を起こし、熱い物に風が当たることで冷える」と解釈できます。本質は熱い物に向かって風を送ることで、息を使うのはもっとも身近な手段だから、でしょう。風が当たることでものが冷える、というのは風が強いと寒く感じる、という日常の経験で分かりますし、手に息を吹きかけてみても実感できることです。

 この効果、化学工学の表現では

温度の高い物体の周辺のレイノルズ数が大きくなることでヌッセルト数が増大する、これは熱移動の境膜の厚みが減少することに相当するので、熱の移動が促進されて周囲より温度の高い物体に対する冷却速度が高くなる

ということになるのですが、要するに「熱の移動が早くなる」ということです。この効果が原因の場合、「熱いもの」の温度は風の温度、というか周囲の空気の温度までしか冷えない、ということになります。熱い物が周囲の温度まで冷える、その過程が加速されるだけなので当然ですね。

 さて、ここで思い出したのが昔に見た映画「スーパーマンⅢ 電子の要塞」の1シーン。化学工場の火事に遭遇したスーパーマン。消火用水がなくなって絶望している消防隊を救うために近くの湖にひとっ飛び。湖の水に息を吹きかけて凍らせて巨大な氷塊を作ると火災現場に舞い戻り氷を使って火事を消し止める、というくだりがあるのです。
 まあ、昔のアメコミ映画だし野暮なことは言いますまい。でもやっぱり気になるのが「息を吹きかけて凍らせる」という点です。ふーふーしても周囲の温度までしか冷えないのでは…。

Fig

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2017.04.27

危険物取扱者の資格を取ろう-18 法律-15 製造所の構造と設備 (片桐教授)

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 このシリーズはこの夏の受験により危険物取扱者の資格を目指す学生さんを対象にしたレクチャーをします。

 さて、ここから12種類の危険物関係の施設の構造と設備の話が続きます。これを超えると法律はほぼ終わりです。めげずにがんばりましょう。

 製造所の構造と設備にはいろいろな規定があります。まず「構造」について。

(1) 見やすいところに「標識」「掲示板」を設ける。

(2) 地階を有しない

(3) 不燃材料で作る(壁,床、柱、階段)、外壁は耐火構造の壁

(4) 屋根を不燃材料で作る。天井は設けない。

(5) 窓と出入り口は防火設備、出入り口は自動閉鎖の特定防火設備、網入りガラスを使用。

(6) 液状危険物を扱う建築物の床は液体が浸透しないこと。適当な床面傾斜と貯留設備。

 設備について

(1) 採光、照明、換気設備

(2) 揮発性蒸気や微粉の高所への排出設備

(3) 屋外設備では、0.15mの囲い(防油堤)、傾斜と貯留設備

(4) 漏れ、あふれ、飛散を防止できる構造

(5) 加熱する設備は、温度測定装置

(6) 加熱乾燥に直火を使用しない

(7) 圧力のかかる設備は、圧力計と安全装置

(8) 電気設備は電気工作物の法令に従う

(9) 静電気の恐れがある時は、静電気の除去装置

(10) 指定数量の倍数10以上なら避雷針などの避雷設備

Fig_12

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2017.04.26

真空への気体の溶解度(江頭教授)

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 「ヘンリーの法則」は液体に溶ける気体の量は気体の圧力に比例するという法則ですね。あっ、温度一定という条件があります。

 「気体の量が圧力に比例する」という関係は液体、例えば水を一定の空間だと見なすと「ボイルの法則」とそっくりです。これを逆にみて真空を一つの液体とみなして、ボイルの法則をヘンリーの法則に読み替えて「真空への気体の溶解度」を計算してみよう、というのが今回のお題です。

 まず本当の気体の溶解度の数値を見てみましょう。1.01×105Paの気体が0℃の水1Lに溶ける物質量を教科書の表から拾ってみると

H2 0.98×10-3mol

N2 1.06×10-3mol

O2 2.19×10-3mol

CO2 76.5×10-3mol

HCl 23.1mol

となります。

Fig

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2017.04.25

危険物取扱者の資格を取ろう-17 法律-14 製造所等での常識 (片桐教授)

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 このシリーズはこの夏の受験により危険物取扱者の資格を目指す学生さんを対象にしたレクチャーをします。

 実験室の常識と同じように、危険物を扱う製造所等での常識として、以下の15項目の事項を頭に入れておきましょう。

(1) 許可・届出したもの以外の危険物を扱わない(作らない、貯蔵しない、取扱わない)。また、許可・届出した量以上の倍数の危険物を扱わない。

(2) みだりに「火気」を使用しない。

(3) 整理・清掃(5S 整頓、清潔、躾け)

(4) 係員以外のみだりな出入りはダメ

(5) 貯留装置や油分離装置の危険物があふれないように随時対応

(6) 危険物のくず・かすは1日1回適切な廃棄

(7) 遮光と換気、直射日光を当てない、建物内の換気はしっかりと

(8) 危険物の状況・環境をしっかりモニター(温度計、湿度計、圧力計、その他)

(続きます)

Fig_11

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2017.04.24

履修登録のこと(江頭教授)

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 本学の夏学期の授業、今日から第3週間目に入ります。学生諸君もそろそろ落ち着いて、授業にもリズムができてきた頃でしょう。

 さて、小学校から高校まで、学生諸君が度の授業を学ぶかは基本的には学校側が決めていました。選択授業があってもごく一部。それに対して大学の授業では学生諸君による授業の選択の幅が非常に大きくなっています。

 これは大学側からみると、どの学生がどの授業を受けているのかが分からない、という事になります。ですから学生諸君に「自分はこの授業を選択します」と宣言してもらわなくてはならないのです。

 そのための仕組みが「履修登録」です。本学では約1週間の履修登録期間にWEB上で学生が各自の履修する授業を登録することができる様になっています。その期間に体調を崩した人は自宅から登録することも可能です。

 最初の1回は様子見として、2回目、3回目以降は履修する科目を決めてきちんと出席する、履修登録はその決意を表明する機会だ、というえば少々大げさでしょうか。

Fig_2

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2017.04.21

海水を淡水化するにはどれくらいの圧力が必要か(江頭教授)

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 海水には塩分が含まれていてそのままでは飲み水として利用することはできません。もちろん、農業用水として利用することもできませんから大量の海の水を目の前にしながら水不足に悩む、という不条理なことが起こります。そこで、海水を淡水化する技術、具体的には海水の塩分と水とを分離する技術が求められてきました。

 一番簡単に思いつく水と塩との分離技術は蒸留でしょう。海水の水を蒸発させると塩が残って…あれっ、水は?水は水蒸気になってしまいますから、このままでは塩田で塩を造る技術になってしまいますね。ということで、実際に海水淡水化に用いられている技術は逆浸透という膜を利用する分離技術、つまり膜分離技術の一種です。

 「逆浸透」とは浸透の逆、という意味ですから、まずは「浸透」から。「浸透」という現象は高校の化学の「浸透圧」のところで説明されています。塩などが溶けている水と純粋な水を「半透膜(水は通すが塩は通さない膜)」を介して接触させると水が純水側から塩水側に向かって浸み透ってゆく現象が浸透、そのときの水が塩水に向かってしみ込もうとする圧力を浸透圧といいます。

 よく、純水側から塩水側に水が流れ込んで半透膜の両側で水位に差がつく、という表現がされています。塩水の方が水位が高くなるのですが、では塩水側に圧力をかけておけば水の流れ込みを阻止できる筈です。そのために必要な圧力が「浸透圧」ですが、では浸透圧以上の圧力をかけたらどうなるのでしょうか。

1

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2017.04.20

危険物取扱者の資格を取ろう-16 法律-13 基準(保安距離と保安空地)(片桐教授)

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 このシリーズはこの夏の受験により危険物取扱者の資格を目指す学生さんを対象にしたレクチャーをします。

 保安距離は火災や爆発の影響を避けるために、その施設の境界(外壁)から対象となる建物までの、「確保しなければならない距離」を指します。

 保安距離の必要な施設は

製造所

屋内貯蔵所

屋外タンク貯蔵所

屋外貯蔵所

一般取扱所

の5つです。

 対象となる建物と、保安距離は

高圧架空伝染(送電線)35,000Vを超える     5m以上

高圧架空伝染7000Vを超える ~ 35,000V以下   3m以上

住宅                           10m以上

高圧ガス、液化石油ガスタンク           20m以上

学校、劇場、映画館、百貨店、病院保護施設等 30m以上

重要文化財                       50m以上

風営法では、お店から100m 以内に学校・図書館・児童福祉施設・病院・診療所があってはダメなので、それより緩いですね。

 

Fig_10

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2017.04.19

書評 池内 了著「科学の考え方・学び方」(江頭教授)

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 先日紹介した本学の入学式でお話をいただいた池内 了先生が科学に興味を持っているジュニア向けに書き下ろした「科学」についての本です。

 「科学の本」ではなくて、「科学についての本」、つまり科学を用いて分かった結果ではなく、科学そのものについて論じている、という点がこの本の特徴です。

 第一章の「私にとっての科学」ではご自身が「科学者」を目指した経験から科学を実践する科学者とはどのような考え方をするのか、を説明し、つづく第二章「科学の考え方」では現在の科学の持っている構造を池内流にまとめ、第三章「科学はどのように生まれたのか」では科学の歴史をたどることで科学についての理解を深めています。 

 ここまでは本書の前半です。やや詰め込みすぎの感もありますが、広く受け入れられている一般的な考え方の説明で、ソフトな語り口でなじみ易い文章だと思います。(分かりやすいか、というとそうとも言い切れないと思うのですが...。)

Fig

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2017.04.18

危険物取扱者の資格を取ろう-15 法律-12 危険物取扱者制度と免状・保安講習 (片桐教授)

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 このシリーズはこの夏の受験により危険物取扱者の資格を目指す学生さんを対象にしたレクチャーをします。

 ここまでで、危険物取扱者の役割、責任を理解いただけたと思います。決して軽くはありません。製造所等で危険物は、危険物取扱者そのひとまたは危険物取扱者の立ち会いのもとでしか取扱うことができません。その資格をとるためにはそこそこの勉強を必要とします(ブログ 危険物取扱者の資格を取ろう-1 イントロ-1)。

 危険物取扱者の免状の発行者は都道府県知事です。もし、取扱者が消防法等に違反している場合は、免状の返納を命じることができます。

 片桐はこのブログを書いている時点で甲種危険物取扱者の資格を有しています(ブログ 危険物取扱者の資格を取ろう-1 イントロ-1)。しかし、危険物取扱者としての業務を行う時は「保安講習」を受けなければなりません。この保安講習は危険物取扱いの業務をしていない場合は受講の義務はありません。しかし従事する時は「3年に1回」の受講が原則です。

 新た従事する時は、資格取得後1年以内に1回目を受講し、その直近の4月1日以降、3年以内ごとに1回の講習を受けます。

 過去2年以内に免状の交付を受けたあるいは受講した者で新たに従事する時は、その以前受けた受講日の直近の4月1日以降、3年以内ごとに1回の講習を受けます。

Fig_9

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2017.04.17

クオーター開講の授業のこと(江頭教授)

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 4月も折り返しを過ぎて今日は17日。本学の前期の授業も一巡してちょうど今日から2週間目に入りますから、新学期の授業もすべて第一回を終えて、学生諸君には今学期の時間割の全体が分かってくる頃かと思います。

 さて、そんな一週間が過ぎたところですが、実はすでに2回目の授業を終えた科目があるのです。それが今回のお題「クオーター開講の授業」です。

 まず「クオーター」の意味は「四分の一」ですよね。何が四分の一なのか、というと一年を四分の一に分けている、という意味です。通常の授業は前期と後期、1年を二つに分けて行うのですが、クオーター開講の授業は一年を四分の一に分ける、という事です。具体的には前期を二つに分けて第1期、第2期に、そして後期を第3期、第4期とします。

 期間が短くなっても授業回数は15回、ということは1週間に同じ授業が二回ある、という事になります。クオータ開講の授業は他の授業より二倍のスピードで進み、半分の期間で終わるのです。

 なぜクオーター開講の授業がおこなわれるのでしょうか。下の時間割を見てください。クオーター開講の授業は三年の前期、電気電子工学科と我々の応用化学科で行われています。これは実はコーオプ実習の期間と重なっているのです。

Fig_3

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2017.04.14

新入生学部交流会のこと(江頭教授)

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 4月は新年度の始まり、ということでいろいろと新しい事を始める季節です。特に大学に入りたての新入生にとっては何もかも新しい事だらけの時期。大きな期待を胸に新鮮な驚きを感じながら日々を過ごしてもらいたいと思っています。

 しかし、その一方で新しい事、新しい環境には不安もつきものです。特に今までの友達と離れて新しい学校に入学した新入生諸君の不安は期待と同じように大きいものでしょう。

 そう考えてか、本学には「新入生学部交流会」という制度があります。これは4月の入学式早々に新入生が互いに、あるいは先輩たち、教員と交流できるイベントを行う、というものです。要するにイベントの機会を利用して早く友達を作ってください、という企画です。

 具体的な実施内容は各教員がアドバイザーとして対応する少人数のグループ単位で企画する事になっています。実施方法は各学部、各学科、各アドバイザーで自由に決めることができ、実施にあたっては簡単な食事ができる程度の予算も支給されます。

 この「新入生学部交流会」、我々工学部ではこの二年ほど各学科で2年生が中心となって新入生を歓迎するパーティーを開催することとなっています。

 今年も4月12日、本学の厚生棟という建物にある三つの大きな学生食堂の部屋を借り切って新入生歓迎会を実施しました。

Fig_2

新入生学部交流会の場をかりて「学部長賞」の授与式も行われました。対象は2年生ですが、1年生後期のグループワークの授業「コーオプ演習Ⅰ」での発表が評価対象です。新一年生も来年、ここで表彰されるように努力して欲しいところです。

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2017.04.13

新入生歓迎して講演会を開催しました。(江頭教授)

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 この4月から本学工学部は第3期生となる新入生を迎えました。入学式とガイダンスを経て、今週の月曜日(4月10日)から講義がスタートしましたが、新入生を迎えるイベントとして4月12日には講演会を開催しました。

 この4月より、本学の片柳研究所にCMC(セラミック複合材料)の研究センターが開設されましたが、今回の講演会はそのセンター長として赴任された香川豊先生に御講演を頂きました。

 会場は片柳研究棟の地下大ホール。工学部の新入生、そして2年生を加えて約600人、広いホールがほぼ満席となっての講演会となりました。

Fig

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2017.04.12

危険物取扱者の資格を取ろう-14 法律-11 定期点検・保安検査 (片桐教授)

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 このシリーズはこの夏の受験により危険物取扱者の資格を目指す学生さんを対象にしたレクチャーをします。

 安全維持のために定期点検が義務づけられています。そしてその記録の作成保管が義務づけられています。しかし、この記録の報告義務や届出は原則不要です。消防署の立ち入り検査に提出できるように準備しましょう。

定期点検は以下の製造所等で行います。

製造所

1.製造所        倍数10以上、または地下タンクを有する

貯蔵所

2.屋内貯蔵所     倍数150以上

3.屋外タンク貯蔵所  倍数200以上

5.地下タンク貯蔵所  すべて

7. 移動タンク貯蔵所  すべて

8. 屋外貯蔵所      倍数100以上

取扱所

9. 給油取扱所      地下タンクを有するもの

11.移送取扱所     すべて

12.一般取扱所     倍数10以上、または地下タンクを有する

さて、これを「危険物取扱者の資格を取ろう-9 法律-6」で作成した表に書き加えましょう。ただし、「4.屋内タンク貯蔵所」や「6.簡易タンク貯蔵所」は定期点検不要ではありません。漏れの点検頻度はそのタンクの構造によります。

Fig_8

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2017.04.11

八王子キャンパスの花の季節始まる 正門から本部棟前(片桐教授)

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 4月4日の入学式の日の蒲田キャンパスでは、満開の桜でした。

 4月7日の八王子キャンパスの桜は、七分咲きでしょうか。やはり200 mの標高差の効果ですね。

Fig1_3

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2017.04.10

「安全工学」の講義 番外編 4月5日 新入生避難訓練(片桐教授)

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 2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

 4月5日に新入生を対象とした平成29年度の避難訓練が行われました。

 各学部のカラフルな旗を目指して、学生さんたちは粛々と避難し、整列し、点呼(人数確認)を受けていました。無駄なおしゃべりもなく粛々と避難を完了しました。

Fig1_2

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2017.04.07

危険物取扱者の資格を取ろう-13 法律-10 危険物保安統括管理者・保安監督者・保安員・自衛消防組織、自主保安体制 (片桐教授)

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 このシリーズはこの夏の受験により危険物取扱者の資格を目指す学生さんを対象にしたレクチャーをします。

 危険物保安統括管理者は、大量の第四類を扱う事業所における安全保安の最高責任者です。製造所・一般取扱所ではでは倍数3000以上、移送取扱所では指定倍数以上で選任が必要です。事故発生の責を負います。選任や解任を市町村長等に届け出なければなりません。この危険物保安統括管理者になるために必要な資格はありません。その事業所の統括管理職であることが重要です。

 危険物保安監督者は 移動タンク貯蔵所(タンクローリー)では不要ですが、その他の製造所等では選任が必要な場合があります(というか特殊な場合を除いて必要です)。特に、製造所・屋外タンク貯蔵所・給油取扱所・移送取扱所で選任が必要です。その他の施設で選任の必要性は倍数30以下か超えるか、第四類では引火点が40℃以上か未満かにより決まっています。選任や解任を市町村長等に届け出なければなりません。この危険物保安監督者は、甲種奇縁物取扱者、乙種危険物取扱者(種別の合うもの)で、6ヶ月以上の取扱いの実務経験を持つものでなければなれません。丙種危険物取扱者は監督者になれません

 危険物施設保安員は、製造所・一般取扱所で倍数100以上、および全ての移送取扱所(この製造所等は保安統括管理者と同じですが、倍数が異なります)で危険物保安監督者の下で保安業務の補佐をする人です。選任は必要ですがその届出は義務づけられていません。

 この「三職」について、表にまとめておきましょう。

Fig_7

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2017.04.06

東京工科大学の入学式(江頭教授)

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 4月4日に東京工科大学の入学式が行われました。

 今回の会場は本学の蒲田キャンパスに新設された地下アリーナです。今回の入学式も卒業式のときと同様、大学のすべての学部の新入生が参加しました。デザイン学部、医療保健学部の新入生は蒲田キャンパスに、メディア学部、コンピュータサイエンス学部、応用生物学部、そしてわれわれの工学部の学生は八王子キャンパスに通うので、全学部が一同に会するのは、この入学式と卒業式のときだけです。

 実は、本学の入学式は今まで八王子キャンパスで行っていました。昨年6月、蒲田キャンパスのアリーナが完成したことで本年度の入学生から「入学式は蒲田」「卒業式は八王子」と二つのキャンパスで実施されることとなりました。これからは本学の学生はどちらのキャンパスも一度は訪れる、ということになります。

 新入生が蒲田キャンパスに全員集合しているので、我々教員も全員集合です。工学部の教員もこの日ばかりは八王子キャンパスではなく蒲田キャンパスに出勤します。実は私は昨年落成したばかりの蒲田キャンパス地下アリーナを見たことがなかったので、その意味でも興味津々でした。

(下の写真は地下アリーナの様子です。入学式中、我々教員もひな壇前に座っているので式中の写真は撮れませんでしたが、会場のスケール感はおわかりいただけるかと思います。)

Img_1191

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2017.04.05

危険物取扱者の資格を取ろう-12 法律-9 予防規定 (片桐教授)

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 このシリーズはこの夏の受験により危険物取扱者の資格を目指す学生さんを対象にしたレクチャーをします。

 現場現場のTPOに応じて最適の安全対策は異なります。したがって、その対策やルールも現場ごとに異なります。「予防規定」は火災予防・安全確保のために自主的に制定する保安基準です。予防規定は1冊の本の形でまとめられます。

 予防規定は以下の製造所等で必要です。

  製造所:        倍数10以上

  屋内貯蔵所:     倍数150以上

  屋外タンク貯蔵所: 倍数200以上

  屋外貯蔵所:     倍数100以上

  給油取扱所(GS):  すべて

  移送取扱所:     すべて

  一般取扱所:     倍数10以上

 この予防規定に定める主な事項は試験によく出ます。

Fig_6

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2017.04.04

湿度100%は「水中」じゃない(江頭教授)

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 私が子供の頃の話。テレビかラジオの天気予報なのでしょう。「明日の湿度は100%」という言葉が耳に入りました。「湿度」が空気中の水の量を表していることは分かるくらいの年齢だったのでしょう。空気中に水が100%になるということは「水浸し」というか完全に「水中」にいることになるのじゃないか、なんて馬鹿な予報なんだ、と考えた記憶があります。

 まあ、馬鹿はおまえだ、ということで今回のお題は「湿度100%」がどんな状態か、という話をしましょう。

 天気予報などで使われている「湿度」という言葉、正確には「相対湿度」のことです。空気中の水分が飽和蒸気圧分の水分に比べてどのくらいの量、含まれているか。それをパーセントで表しています。ですから「湿度100%」という状態は空気中に飽和蒸気圧の水分が含まれている状態だ、ということです。

 なるほど、では「湿度100%」の空気中には実際にはどれくらいの(例えば何mg/Lの)水が含まれているのでしょうか?

 実はこの問い、この条件だけでは答えることができません。飽和蒸気圧は温度によって変わりますから温度を指定しないと空気中の水の量を求めることができません。

 水の飽和蒸気圧は以下に示すAntoineの式で求めることができます。

Antoine

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2017.04.03

危険物取扱者の資格を取ろう-11 法律-8 設備の設置 (片桐教授)

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 このシリーズはこの夏の受験により危険物取扱者の資格を目指す学生さんを対象にしたレクチャーをします。

 「設備の設置手続」は試験に出やすいところのひとつです。まず、手続きの流れを頭に入れましょう。

Fig_5

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