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危険物取扱者の資格を取ろう-27 法律-24 運搬 (片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

 このシリーズはこの夏の受験により危険物取扱者の資格を目指す学生さんを対象にしたレクチャーをします。

 前回、「移送」の話でしたので、今回は「運搬」の話しです。

 移送は移動タンク貯蔵所(タンクローリー)による輸送でした。運搬は、ドラム缶や瓶や箱入りの危険物をトラックなどに乗せて運ぶことです。

 以下の規定は、指定数量未満の危険物にも適用されます。

(1) 運搬容器の材質は基準がありますが、あまり気にしないでよいでしょう。鋼板、アルミニウム板、ブリキ板、ガラス等、金属版、紙、プラスチック、ファイバー板、ゴム類、合成繊維、麻,わら、木等と書かれています。

(2) 構造は堅牢で簡単に壊れないもので、危険物が漏れないもの。

(3) 構造と最大容積は液体か固体かで分け、類別(危険物取扱者の資格を取ろう-4 法律-1 危険物とその分類-1)や「危険物の等級」(危険物取扱者の資格を取ろう-5 法律-2 危険物とその分類-2)で規定されています。

(4) 性能は落下試験で評価します。

(5) 危険等級1〜Ⅲについては、前に自作した表で確認ください(危険物取扱者の資格を取ろう-5 法律-2 危険物とその分類-2)。

 積載方法は以下のとおりです。

(1) 危険物は原則、運搬容器に収納すること

 ①運搬容器を密封(原則)、圧力上昇の恐れがある時はガス抜き口のある容器も可になる場合もある(発生気体が毒性や引火性のない場合のみ)。

 ②危険物に応じた運搬容器を使う

 ③固体の収納率は<95%

 ④液体の収納率は<98%、かつ55℃で漏れないような十分な容器体積

 ⑤1つの外装容器には異なる類のものを入れない。

(2) 運搬容器の表示

 ①危険物の「品名」「危険等級」「化学名」(第四類で水溶性のものは「水溶性」)

 ②危険物の数量

 ③危険物に応じた注意事項(これは、具体的にそれぞれの危険物の性質を理解すれば、その記載が必要かわかるようになります。

   第一類「火気・衝撃注意」「可燃物接触注意」「禁水」

   第二類「火気注意」「禁水」「火気厳禁」

   第三類「空気接触厳禁」「火気厳禁」「禁水」

   第四類「火気厳禁」

   第五類「火気厳禁」「衝撃注意」

   第六類「可燃物接触注意」

(3) 車両から危険物や容器が転落したり、転倒したり、破損しないように積載。

(4) 運搬容器は収納口を上に向けて積載する。

(5) 特定の危険物は有効な被覆等の処置をする。

 第一類(自然発火物)、第四類(特殊引火物)、第五類、第六類:

    遮光性被覆(直射日光を避ける)

 第一類(過酸化物塩)、第三類(金属粉、Mg、禁水):

    防水被覆(雨水を避ける)

 第五類(55℃以下で分解する恐れ):

    保冷コンテナ

(6) 混載してはいけないものに注意(危険物取扱者の資格を取ろう-19 法律-16 異なる類の貯蔵、混載

(7) 容器を積み重ねる場合は3 m以下。

です。

 運搬方法については

(1) 容器が摩擦、動揺しないように運搬

(2) 指定数量以上の危険物は「標識」を掲げる。

(3) 積み替え、休憩、故障で、一時停止の時は、安全な場所を選ぶ。

(4) 指定数量以上の場合は「消火設備」を備える

(5) 運搬中に災害が起こりそうな場合は、応急処置をして、消防機関へ通報

(6) 指定数量は類別の倍数の和で計算

(7) 災害対策の緊急時応急処置指針=「イエローカード」「容器イエローカード(ラベル方式)を活用

Fig_6

イエローカード

ここで特に憶えるのは

(1) 移送と運搬の違い、その制限の比較

(2) 危険物の表示「品名」「危険等級」「化学名」(「水溶性」)

(3) 注意事項の表示

(4) 積み重ねる場合は3 m以下

(5) 指定数量以上の場合、「危」の標識、消火設備

です。

片桐 利真

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