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乾電池のサイズの違い(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 先日、ガスコンロの電池がなくなったというので新しいものを買いに行きました。単一電池が二個。そういえば「単一」の電池なんて最近見たことがないなあ、と思って購入しましたが、そのサイズ感とずっしりとした重みにちょっとびっくり。単一電池ってこんなに大きかったんですね。

 さて、皆さんの身近でよく使われているのは単一~単四サイズの円筒型の乾電池ではないでしょうか。子供の頃は単一、単二電池もよく見かけたと記憶していますが、多く使われていたのは単三電池だったと思います。いつの頃からか単四電池が使われることが多くなり、単一電池は滅多に見ないようになりました。

 電池工業会の解説によれば単一電池は高さ61.5mm、直径34.2mmの円柱です。一方単三電池は高さ50.5mm、直径14.5mmです。単一電池は56.4cc、一方単三電池は8.34ccですから体積にすると単一電池は単三電池の約7倍の大きさです。単四電池は高さ44.5mm、直径10.5mmで容積は3.85cc。容積では単三電池の半分以下しかありません。

 単二電池も単一電池と同様、最近使われているところをあまり見なくなりました。単三電池と単一電池との間の大きさの電池ですが、高さが単三電池と同じなので単三電池を単二電池のケースに入れるスペーサーが使われたりします。

 実は単五の電池もあります。高さ30.2mmで単一電池の約半分。直径は単四電池よりも少し太い12.0mmなので少しずんぐりした形です。随分昔に一回だけ使った事がありますが、「単三電池を半分に切ったみたい」という印象でした。

 さて、乾電池のサイズが違うと何が違うのでしょうか?

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 一般的な乾電池、マンガン電池の電力は1.5Vで、これは電池のサイズが違っても同一です。最近よく使われているアルカリ電池(正確にはアルカリマンガン乾電池です)の電力も1.5Vと同じで、これもどのサイズでも一緒です。以前の記事でも書きましたが、電池の電圧(起電力)は電池内で起こっている化学反応の反応前後のエネルギー変化に比例しています。ですから電池の大きさが変わっても同じ化学反応を使っている限り電圧(起電力)は同じです。

 電池のサイズによって電圧は変わらない。では電流が変わるのでしょうか?いえいえ、電流は電池に繋がれた回路によって決まります。電池のサイズで変わるのは電気を起こすための反応物の量ですから、同じ電圧・電流で使用したとき、電池が切れるまでの時間、つまり電池の寿命が変化することになるのです。あるいは、大きな電流が流れる回路を動かしたいときには大きな電池を使わないとすぐに電池切れになりますが、小さい電流が流れる回路なら小さい電池でも長持ちする、ということです。

 最近単一電池をあまり見かけない、と言いましたが、これは消費電力の大きな製品が少なくなった(というより消費電力の少ない製品が多くなった)こと、電池の性能が上がって寿命が延びたこと、などが原因なのでしょう。

 そう考えるとガスコンロの電池は電力消費の大きい用途だ、ということになります。毎日必ず使うものですし、着火のために放電させるにはそれなりに電力が必要なのでしょう。あまり頻繁に入れ替えたくない、というのも理由かも知れません。なお、電池を二個入れるのは寿命を延ばすためもあるでしょうが、電池を直列つなぎにして高い電圧を使いたいからでしょう。

 他にも単一電池以外の電池を二個入れる製品をよく見かけますが、これは明らかに高い電圧を使うためだと思います。並列つなぎにするなら「単四電池2本」でも「単三電池1本」でもあまり変わらないでしょうからね。

江頭 靖幸

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