日本の温室効果ガスの排出量(2015年度版)(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
最大の環境問題である地球温暖化、その原因物質である二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスはだれがどのくらい出しているのでしょうか。日本国内での発生量については詳細な統計が発表されている、その点については以前もこの記事で触れています。
温室効果ガスインベントリオフィス(GIO)は毎年、国内からの温室効果ガスの排出量の統計値を発表してます。今回は最新版(とは言っても2015年度版ですが)について見てみましょう。
2015年度の温室効果ガスの総排出量は13億2,500万トン(二酸化炭素(CO2)換算)。前年度比2.9%減。
まずはこれが最大のポイントでしょう。それまでの増加傾向から減少に転じた2014年度に引き続き,2015年度も温暖化ガスの排出量は減少しているのです。
では、温暖化ガス排出量はなぜ減っているのでしょうか。
これも2014年度と同じ傾向が続いている様です。2015年度の温室効果ガスの減少量はCO2換算で3千900万トン。エネルギー起源のCO2の排出量が4千万トン減少していますから、排出量減少の主な理由はエネルギー起源のCO2の排出量減少だと言えるでしょう。
ではエネルギー消費はどうか。資源エネルギー庁の総合エネルギー統計から2015年度の最終エネルギー消費は2014年度と比較して1.4%の減少でした。温暖化ガスの排出量は2.9%の減少でしたからエネルギー消費減少の影響は半分くらいでしょうか。
では、なぜエネルギー消費が減っているか。
減少は、省エネの進展や前年度以上の冷夏・暖冬等が要因。
と総合エネルギー統計ではまとめています。そういえば2015年の夏はずっと涼しくて暑い日は数えるほどしかなかったような気がします。一方で「省エネの進展」はここ数年来のトレンドなので2016年度以降も効果が期待できますね。
「解説」カテゴリの記事
- 災害発生時の通信手段について(片桐教授)(2019.03.15)
- 湿度3%の世界(江頭教授)(2019.03.08)
- 歯ブラシ以前の歯磨き(江頭教授)(2019.03.01)
- 環境科学の憂鬱(江頭教授)(2019.02.26)
- 購買力平価のはなし(江頭教授)(2019.02.19)