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化学プロセスと自動制御~オートチューニング~(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 化学プロセスで用いられている自動制御についてシリーズで解説しています。前回まではPID制御について説明をしてきましたが、今回はPID制御のパラメータを具体的にどのように決めれば良いか、を解説しましょう。

 まず、原理的に最適なPID制御のパラメータをどのように決めれば良いのか考えてみましょう。「最適」がどのような意味であれ、パラメータを決めるためには制御が行われたときの実際の動作をある程度予測する必要があるでしょう。制御は制御装置だけでなく、制御される相手(今回のシリーズでは温度をコントロールされる電球やビーカーの水です)と一緒になって、その動作が行われています。制御について予想するには、制御される相手が加熱に対してどのように応答するのかを知る必要があるということになります。

 制御を受ける対象の動作についての情報を得て、仮定したPID制御のパラメータに基づいて制御がどのように行われるかを予測する。そんな作業をくり返して、最も望ましい制御が行われるパラメータを見つける、これが最適なPID制御のパラメータを決める方法となります。

 ではその方法を...、となると非常に込み入った説明が必要になりそうですが、実は最近では細かい知識がないひとでもPID制御のパラメータを自動的に決定できるようなソフトウェアが制御機器の中に入っています。

Fig

上図は今回のシリーズで温度制御に使用した制御装置。オムロン社の温度調節計「サーマック E5CB」

 オート・チューニングとかATなどと呼ばれる機能をスタートさせると、制御装置は単純な加熱を行い一旦は目標値をオーバーさせる。今度はずっとヒーターを切ったままにして再び、今度は目標値を下方向に超えさせたりします。この動作を数回くり返すことで制御装置は出力に対する反応を観察しているのです。

 その観察から得られた制御する対象についてのデータをもとにPID制御のパラメータが自動的に計算され制御装置に設定されます。

 この作業自体は実に簡単です。しかし、この「オート・チューニング」の背後には制御についての非常に高度な研究の成果があるのです。それはそれで面白い理論なのですが、それについてはまた別の機会に解説することにしましょう。

江頭 靖幸

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