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2017年7月

2017.07.31

期末試験がはじまりました。(江頭教授)

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 京工科大学八王子キャンパスの前期授業は7月28日、金曜日で終了しました。

 高校と違って遅い夏休みのスタート、いえいえ、本日31日から一週間、定期試験スタートするので、まだ夏休みはお預けです。

 本学の試験は1時間。授業は一コマ90分ですから、試験期間と通常の授業時では時間割が微妙に異なります。試験の曜日や時間、これは基本的には授業と同じなのですが、一部ことなる場合もあります。そして試験会場、実は片柳研究棟(写真の建物。応用化学科もこの中になります)の教室は試験に利用しないので、片柳研究棟で行われている授業は教室変更に。他の建物で行われている授業もその影響で教室が変更になったりします。先に述べた、授業と違う時間、曜日で試験を行う授業が一部にある、というのもこれが原因なのでしょう。

 とにかく、本学の学生にとって、期末試験を受ける際にその日程を確認することは必要不可欠だ、ということです。

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2017.07.28

石英管のジンクス(江頭教授)

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 石英管は、正確には透明石英ガラス管ですが、純度の高い酸化ケイ素でできたガラス管です。通常のガラス管は不純物を多く含む、というか混合物なので融点が下がる(正確には軟化点ですが)ので比較的加工がし易く、ガラス細工でいろいろな形のものを作ることができます。

 融点が低いことはガラス管のメリットですが、高温で実験をしたいとき、せいぜい400℃までしか保たないガラス管では力不足な局面がままあります。そうなると石英管の出番。1000℃程度の温度でも普通に使用することができます。

 ただ、石英管の難点は加工精度が低いことと、それによるシーリングの難しさです。例えば直径10ミリと指定しても、±0.5ミリ程度の誤差があるのは普通のことです。Oリングなどをつかって”締める”タイプのシーリングには不向きなことが分かると思います。

 結局、通常のガラスジョイントなどを石英管と接合して反応器を作成することになりますが、これを自分でやるのは敷居が高い。専門の業者さんに発注すると今度はお値段が高いのです。

 さて、ここまで前置きをして、今回のお題、ジンクスのお話しです。これは私が学生時代のお話し、周りの先輩達から聞いた噂話です。

 新しい装置を作り、石英反応管(ジョイントを接合した石英ガラス管)、も納品されました、さあ実験だ!

 ジンクスその1) 高価な石英反応管を使った装置では、最初の実験で石英反応管が割れる

 やはり石英管が高温には強いですが機械的にはもろくて壊れやすい。このままでは先が思いやられる、ということで石英反応管の修理を依頼すると同時にもう一個、予備の石英反応管も発注します。

 今か今かと待ち望み、ついに石英反応管が2本納品されます。今度は石英反応管が壊れても大丈夫。予備の石英反応管を使っている間に修理ができる。もう時間を無駄にはしないぞ!

 ジンクスその2) 予備の石英反応管がある場合、実験で石英反応管が割れることはない

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2017.07.27

色が変わる化学実験(江頭教授)

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 化学の実験で思い浮かべるのは「二種類の液体を混ぜると…、ドッカーン!」でしょうか。これはいささか漫画チック。もう少しリアリティがあるものを考えると「二種類の液体を混ぜると色が変わる」という情景でしょうか。色が変わる、というのは化学実験では非常に分かりやすいトピックです。

 色の変わる化学薬品としては酸塩基滴定などで用いる指示薬が数多く知られていますから、これを使えば色の変わる実験を行う事ができます。化学の知識がない人に面白く見えるでしょうか。

 「CGでしょう」

 いやいやリアルに現物でやってるじゃないですか!

 「わかった、プロジェクションマッピングだ!」

 えっ!もしそうなら、それはそれですごい技術ですが…。

見た目はちょっと面白いですが、いまの世の中、映像だけなら驚異に満ちあふれています。この反応の本当の面白さを理解するにはちょっと化学の知識が必要ですよね。

 まず、色とは何でしょうか。指示薬の分子が光を吸収する、しかも目に見える光、可視光領域の光を吸収することが色の本質です。水自体にも赤外領域、紫外領域に吸収があるのですがそれは私たちの目には色として認識されません。可視光領域の光は水に吸収されないので、純粋な水は無色透明になるのです。(というか、人間の体、とくに眼球の大部分が水でできていることを考えると、水に吸収されない光が可視光なのでしょう。おそらく因果関係は逆です。)

 光の吸収は、分子の持つ電子が、よりエネルギーの高い軌道に跳ね上がること、に相当します。電子軌道間のエネルギーの差が大きいと紫外線が吸収されますが、これは色として目には見えません。可視光程度のほどよいエネルギーの差のある分子であること、それが指示薬の最初の条件です。そのためには分子の軌道がなるべく広がっている方が良くて…、となるといささか専門的になってきますね。

 さて、指示薬の話に戻りましょう。

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2017.07.26

3年生の授業「地域連携課題」の発表会に参加しました(江頭教授)

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 「地域連携課題」という授業名を聞いて、なるほど、と思った人はそうはいないと思います。この授業、本学科の3年生前期の授業、つまりクォーター制(前期を1期、2期の2つに分ける制度)で実施されるコーオプ実習の際、大学に残っている学生に向けて行われている授業です。シラバスをみると授業の内容は、「学生が地域の関係者と連携しながら地域・社会的な課題等に取り組む」ものです。

 本学部は八王子キャンパスにありますから、この場合の「地域」は具体的には八王子市のことです。八王子市の「担当者等を講師に招いて地域が抱える各種の課題を学んだ後」に、「学生が自ら主体的に地域から課題を選定」し、その解決方法を提案する、それが地域連携課題の授業内容です。この授業はグループワークを基本とし、いろいろな施設や企業を訪れて課題の解決方法を調査・分析、結果を比較検討することで効果的で具体的な提案を目指します。

 さて、私はこの「地域連携課題」の担当ではないのですが、先日(7月24日)に開かれた成果発表会に参加してきました。

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成果発表会の会場はディスカッションにも利用できるよう設計された講義実験棟の教室。各班が机をひとつに集めて発表会の開始を今か今かと待ちわびています。

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2017.07.25

前期最後の一週間(江頭教授)

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 月曜日1限、2年生は「サステイナブル工学基礎」の授業を受けています。この授業、今日が第15回。そうです、今日で最終回なのです。

 今期は月曜日からスタートしたので、ちょうど月曜日1限が最初、金曜日5限で1週間の授業が終わる計算です。ですから、今週の金曜日28日で本学の2017年度の前期が終了。今年の授業も半分が終了となります。

 長かったような,短かったような、授業が終わる際にはいつも思うことです。

 「年を取ると時間がたつのが早い」などと言いますが、充分に時間のたつのが早い年齢になっても、やっぱり15週間、3ヶ月弱の授業期間は「長い」と感じます。季節も移り変わり、まだ寒かった4月から暑さが厳しい7月に。仕事の面でもプライベートな面でも関心事が移り変わるくらいの期間、そして何より、授業を開始した時のイントロからはじめて、授業のまとめを述べるまでの期間ですから、それは長く感じます。

 一方で、やり残した事を思うと、前期15週間も短いと感じます。サステイナブル工学基礎の授業でも知って欲しいことはまだまだあるのですが、3ヶ月弱の授業期間、しかも週一回1コマの授業では限界があります。

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2017.07.24

新松田駅のホームで「エコマーク」を見た!(江頭教授)

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 最近、コーオプ実習で学生が実習を行っている企業を訪問したり、高校訪問に行ったりで電車を利用する機会が増えました。

 駅の周りでいろいろなモノを観るのですが、今回気になったのは写真のマーク。これは小田急線の新松田駅のホームの待合室(冷房が効いていてありがたい!)の床の写真で写っているのは「エコマーク」です。

 このエコマーク、以前紹介した「エコレールマーク」にと同様、丸い「抱きしめる」イメージの周りに文章を書いたものです。これを見ると、なるほど、「エコレールマーク」を見たときに「なんとなく見たことがある様な、ない様な」という気がしたのはこれが原因だったんだ、と気がつきました。

 さて、この「エコマーク」、こちらの「エコマーク事務局」ではこのように説明されています。

エコマークは、様々な商品(製品およびサービス)の中で、「生産」から「廃棄」にわたるライフサイクル全体を通して環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられる環境ラベルです。このマークを活用して、消費者のみなさんが環境を意識した商品選択を行ったり、関係企業の環境改善努力を進めていくことにより、持続可能な社会の形成をはかっていくことを目的としています。

来ました、「持続可能な社会の形成」の文言。そうです、これは持続可能=サステイナブルな社会づくりのための活動の一環として作られた環境ラベルなのです。

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2017.07.21

企業訪問とIT(江頭教授)

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 今の時期、本学のコーオプ教育の一環として応用化学科の3年生が企業での実習に従事しています。我々、応用化学科の教員も彼らの実習先に顔をだして実習の状況の確認や企業と大学との情報交換に努めています。教員一人に8から9人の3年生がいますから、前期の間にその数の企業を訪ね歩くこととなります。(実際には一企業に2名が実習に行くケースもありますから、もう少し少ないですね。)

 さて、企業訪問についての話は別の機会に譲るとしましょう。今回のお題は行ったことのない場所を訪ねるのが如何に簡単便利になったか、という話です。若い人向けなら、昔は行ったことのない場所を訪ねるのが如何にやっかいだったか、という話と言うべきでしょうか。

 「○○という会社に行ってきて」

 昔は、この○○という会社の住所を調べることから困難が。Webのない時代、「ググること」もできません。会社のパンフレットやダイレクトメール、広告など何か手がかりになるものが必要です。住所が見つかれば御の字。電話番号でもあれば直接コンタクトすることも可能です。

 そんなこんなで住所を入手したら今度は地図帳の出番です。住所を手がかりに場所を特定、最寄りの駅を調べてナビアプリ…、はありませんから地図帳の付属の路線図が頼りです。目的の駅を探して、経路を探しますが、東京の鉄道網は正に迷路。時間表を調べるのもたいそうな手間なので、時間の見積もりも何となくの直感に頼るしかありません。

 うーん、こんなので良くたどり着けたなぁ、とため息が出そうです。

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2017.07.20

西国分寺駅のホームで「エコレールマーク」を見た!(江頭教授)

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 先日、西国分寺駅の武蔵野線ホームで電車を待っていたところ貨物列車が通り抜けてゆきました。貨車を見るとそこになんとなく見たことがある様な、ない様な、そんなマークが付いています。

 早速調べてみると、このマークは「エコレールマーク」というものだと分かりました。国土交通省のこのページを見ると「エコレールマーク」の制度は

商品を輸送する時に貨物鉄道を一定割合以上利用している場合に、「エコレールマーク」の認定を受けられる仕組みを設けました。

というものです。そもそも貨車による物資輸送は非常に高効率。他の輸送、たとえばトラック輸送と比べるとCO2排出量は約八分の一に押さえられるとも言います。レールを使う事がエコだ、だから「エコレールマーク」の目標については以下の様に。

商品などにその「エコレールマーク」を表示することで、その企業が環境への取り組みを行っていることが消費者のみなさまにも伝わることを目指しています。

 「エコレールマーク」には「個別商品用」と「企業イメージ用」の二つがあると言います。「個別商品用」は商品そのものやそのパッケージ、カタログや広告などに記載するもの。「企業イメージ用」は広告やカタログ、WEBサイトや環境報告書などで利用することを想定しています。

 さて、今回私が見た「エコレールマーク」はどちらのタイプなのでしょうか?貨車そのものに「個別商品用」のマークが付いていた?貨車それ自体は貨物鉄道を使っていますが、それは「商品を輸送する」とは違うような気もしますね。

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2017.07.19

太陽はどれくらいのエネルギーを放出しているのか?(江頭教授)

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 地球に降り注ぐ太陽光のエネルギーは莫大で、その一部を利用するだけで人類が必要とする全てのエネルギーがまかなえる、という話はよく聞きます。では視点を変えて、太陽自体はどのくらいのエネルギーを放出しているのか、その中のどの程度のエネルギーが地球に届くのか、それが今回のお題です。

 さて、この数字の求め方ですが、まずは太陽定数からスタートしましょう。太陽定数はこちらの記事で説明したとおり、「地球の外、地球の軌道上でみた太陽からの光のエネルギーの密度」の事で、その値は1367 W/m2 となるそうです。

 もう一つ必要な数字は太陽と地球の距離。これは149 597 870 700 m、約1.5×1011 m、つまり千五百億メートルです。正に天文学的な距離。それもそのはずでこれは「1天文単位=1au」という距離の単位として定義されているくらいです。

 さて、この2つの数字から太陽が発するエネルギーを計算することができます。

 まずは太陽と地球の距離を半径とする大きくて中空の球が太陽を囲んでいると考えてみましょう。太陽がこの巨大な球の中心に位置していれば球の内部はどの面でも同じエネルギーを受けていると考えられます。そのエネルギー密度、実は太陽定数のことですよね。

 巨大中空球の面積は 4×3.14×(1.5×10112 = 2.8×1023 m2 という計算になります。これに太陽定数をかけると

 2.8 ×1023 × 1367 = 3.8×1026

3.8×1026 W となります。うーん、数字が大きすぎてどう表現して良いかわかりませんね。化学の人間ならアボガドロ数の約600倍とでも言えば良いのでしょうか。

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2017.07.18

化学プロセスと自動制御~番外編~

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 以前、一連のシリーズとして解説した化学プロセスで使われる自動制御についての解説、今回はその番外編です。

 先日のオープンキャンパスで自動制御と比較するために、手動制御のデモ実験を行いました。これは以前このシリーズで紹介したものです。最も簡単な制御の実例として電球を加熱装置に見立てて、その温度を制御するというものです。電球をつけると温度が上昇しますが、その温度を測定しながら一定の温度(今回は40℃)に安定させることを目標にしています。

 電球のスイッチを入れると温度が徐々に上昇しはじめます。たいていの人は40℃に達するとスイッチを切るのですが、そのときすでに遅く温度は41℃、42℃、と上がってゆきます。やがてゆっくりと温度が下がってくるのですが、今度はスイッチを入れるタイミングが難しい。早すぎると41℃、42℃、の繰り返し。戸惑っている内に39℃になってしまう人もちらほらです。

 たいていの人はこの段階でギブアップ、大体5秒から10秒の体験です。でも中には巧くタイミングを掴んで10秒、20秒と記録を伸ばし、ついには1分越えの強者も表れました。

 

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2017.07.17

三連休とはいいますが(江頭教授)

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 世は正に大連休時代(?)、今日は三連休の三日目ですが...、うーん実は私、この三日間は全日出勤しているのです。

 まずは昨日、7月16日はオープンキャンパスでした。朝10時に開始、たくさんの人が参加してくれました。私は自分の研究室の紹介に「教員との相談」のコーナーを担当しました。アルバイトの学生さんの協力を得ながら17時まで、1日分のイベントを無事に終了することができました。忙しい分だけ充実した一日でした。

 さて、7月15日の土曜日、この日は補講日でした。以前の記事でも少し述べましたが、私は一週間ほど海外出張をしていました。その間の授業、中止という訳にはいきませんからこの土曜日の補講日を利用することにしました。補講日とは私同様、いろいろな理由で休講にした教員達がまとめて補講を行う、とあらかじめ決められている日です。土曜日ですが一部食堂がオープンし、スクールバスの運行も増強されています。前期には2日の補講日が準備されていましたが、15日はその後半の一日だった、という訳です。

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2017.07.14

「長期低炭素ビジョン」を読む(その8)(江頭教授)

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 日本、そして世界の将来はどのような姿なのか。温暖化問題の解決、という立場からまとめられた日本の将来像「長期低炭素ビジョン」についてシリーズで解説しています。

 温室効果ガスの排出量を80%削減する。この野心的な目標を達成するために具体的には何をすれば良いのでしょうか?企業はイノベーションを進めること、市民はそれを積極的に取り入れること、といった役割があるのですが、では、政府は何をするのか。「長期低炭素ビジョン」の正に結論というべき部分です。

 前回紹介した第6章の目次で唯一具体的に名前を挙げて示されている政策、それが「カーボンプライシング」です。

 カーボンプライシング、日本語で言えば炭素の価格付けです。でも、炭素、というか二酸化炭素に価格をつけて「さぁ、買ってください」といっても誰も買ってくれません。炭素に価格をつけて、何かを買うときの価格に上乗せしよう、というのがカーボンプライシングの意味です。

 炭素の価格が上乗せされていると、温室効果ガスをたくさん排出するものは高く、少ししか排出しないものは安くなります。消費者が買い物をするとき、この製品の温室効果ガス排出量はどのくらいだろう、などといちいち気にすること無く、単純に安い製品を選ぶだけで温室効果ガスの排出量の少ない製品を選ぶことができるのです。

 逆に、生産者の立場からすると温室効果ガスを出さないようにモノやサービスを生産することができれば安く売ることができる。あるいは同じ価格で売っても儲けが大きくなる。このメリットを求めて温室効果ガス削減のための投資が進み、いろいろな技術がもっと普及しやすくなると期待されています。

 この「カーボンプライシング」、なるほど良いアイデアで、実施されれば大きな効果が期待できそうです。「長期低炭素ビジョン」の中でも以下の図でその仕組みとメリットを強調しています。

 では、早速「カーボンプライシング」を実施しよう、となるのでしょうか。そう思うと下図で小さく書かれた「カーボンプライシングによるコスト上昇等による負の影響があることにも留意が必要」という脚注が気になってきます。

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「長期低炭素ビジョン」(p69)より

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2017.07.13

7月16日(日) オープンキャンパスを実施します(江頭教授)

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 大学のオープンキャンパス、今では一般的な行事となっていて、この時期にはあちこちの大学で実施されています。もちろん、本学も毎年オープンキャンパスを実施しています。

 本学の八王子キャンパスでの今年2回目のオープンキャンパスは7月16日、つまり来週の日曜日に実施します。

 本年度も、応用化学科のオープンキャンパスは片柳研究棟の7階の学生実験室で行われます。

 応用化学科についての説明会(学科紹介)では今、化学を学ぶ意義、日本の化学産業の位置づけ、そして本学の応用化学科の特徴を紹介します。

 学科紹介に引き続いての「模擬授業」では、大学の授業(通常90分です)を20分程度にコンパクトに、それでも大学の授業の雰囲気を感じられるように、ぎゅっと圧縮して実施します。

 さらに、随時参加可能な実験の体験コーナーも準備しています。さらに、応用化学科のそれぞれの研究室の研究紹介も行っています。

 また、「大学の教員との相談コーナー」を準備して、参加者の皆さんの質問、あるいは疑問や不安に直接答える場を造る事にしました。

 さて、上記のオープンキャンパスの内容、実は毎年、毎回、少しずつ変わってきています。

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2017.07.12

「長期低炭素ビジョン」を読む(その7)(江頭教授)

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 日本、そして世界の将来はどのような姿なのか。温暖化問題の解決、という立場からまとめられた日本の将来像「長期低炭素ビジョン」についてシリーズで解説しています。

 今回、注目したのは「長期低炭素ビジョン」の第6章「長期大幅削減の実現に向けた政策の方向性」という部分です。温室効果ガス排出の大幅削減の必要性、大幅削減を実現した社会のイメージとその実現可能性を述べてきたこの「長期低炭素ビジョン」の結論に当たる部分であり、大幅削減を実現する低炭素社会をどのように造り出すのか、その処方箋が書かれている部分だと言えるでしょう。

 まず、この第6章、一読して他の章と異なる特徴があります。他の章と比べて図やグラフがぐっと少なくなっている印象なのです。未来のことをグラフにしたり、政策を絵に描くのは難しいのでしょうが、それ以上に内容が抽象的だ、ということもあると思います。

 というわけで、今回は図表として第6章の目次を切り出してきてみました。

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2017.07.11

「長期低炭素ビジョン」を読む(その6)(江頭教授)

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 日本、そして世界の将来はどのような姿なのか。温暖化問題の解決、という立場からまとめられた日本の将来像「長期低炭素ビジョン」についてシリーズで解説しています。

 前回まで、このビジョンが示している未来の絵姿について見てきました。端的にまとめると”「いまのままの生活」を「今ある技術を十全に発達させること」で実現”する、というのがこの絵姿の内容です。では、いままでの技術を十全に発達させたとして充分な温室効果ガスの排出抑制は可能なのでしょうか?

 そのような目でこの「ビジョン」を見直してみると「可能である」とも「不可能である」とも明示されてはいません。その代わりに(か、どうかは分かりませんが)下図の様な考え方が示されています。

 まず、私たちの利用するエネルギーを大きく「電気」と「熱」に区分しています。それぞれの使用量を表す箱がまず書かれていますが、それが現在の状況、スタートラインです。

 まずやるべきことは省エネ。二つの箱は左右から押しつぶされる形で小さくなって、その面積=エネルギー消費量は減ってゆきます。

 二つ目はエネルギーの低炭素化。電気も熱も上から押しつぶされる形で小さくなり、エネルギー消費量がさらに減少することが分かります。ここで熱よりも電気の低炭素化が進むことに注目してください。

 三つ目は少し目新しい項目で、電化を進めることが示されています。より低炭素化が進む電気へとエネルギーの利用が移行するのでさらに温室効果ガスの排出量は減少します。

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2017.07.10

「長期低炭素ビジョン」を読む(その5)(江頭教授)

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 日本、そして世界の将来はどのような姿なのか。温暖化問題の解決、という立場からまとめられた日本の将来像「長期低炭素ビジョン」についてシリーズで解説しています。

 前回と同様、第5章「長期大幅削減の絵姿」にしめされた、低炭素社会で我々がどんな暮らしをしているか、どんな技術を使っているのか、という「絵姿」についてみてみましょう。前回の家庭生活の絵姿に対して、今回は街のイメージです。

 前回の家庭のイメージ同様、いえそれ以上にイメージ図から得られる情報は漠然としています。例えば書き込まれた文字を消してこの図を示したら、誰もコレガ未来社会のイメージだとは思わないのではないでしょうか。逆に、この図のポイントは文字情報にある、ということなのでしょう。

 そう思って、この図の中の文字を読み込んでゆくと「長期低炭素ビジョン」が想定している未来の(家庭レベルではない)社会レベルの技術の概要が分かってきます。

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「長期低炭素ビジョン」参考資料集(p95)より

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2017.07.07

喫煙文化の今昔(江頭教授)

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 私事ですが先週の中頃から一週間、豪州に出張していました。以下の写真はそのとき使った飛行機のトイレの扉なのですが、何かおかしなところがありませんか?

 そうです。でかでかと禁煙マークが付いているのにハンドルの下にはちゃんと灰皿が取り付けてあるのです。

 今でこそ飛行機では禁煙が当たり前なのですが、昔は喫煙可能なのが当たり前でした。一時は新幹線の禁煙車両・喫煙車両よろしく飛行機の前後で禁煙領域と喫煙領域を区分していたこともありました。その頃、禁煙領域と喫煙領域の境目に座ったことがあったのですが、禁煙領域がわなのにたばこの煙が流れてくるので禁煙領域と喫煙領域の間に「受動喫煙」領域が必要だな、などと思ったものでした。

 私自身は喫煙者ではないのですが、愛煙家の人たちが飛行機が空港についた途端に一服、という風景を見るようになったのも飛行機での禁煙が定着したからですね。(最近は少ないようにも思いますが...。)

 禁煙マークの下の灰皿、これは飛行機が禁煙になる前の名残、人間でいう盲腸のようなものなのでしょう。

 と、この記事をまとめようと思ったのですが、少し調べてみるとこれには意外な理由が。

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2017.07.06

「長期低炭素ビジョン」を読む(その4)(江頭教授)

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 日本、そして世界の将来はどのような姿なのか。温暖化問題の解決、という立場からまとめられた日本の将来像「長期低炭素ビジョン」についてシリーズで解説しています。

 今回は低炭素社会が実際にどのような社会になっているか、というかどのような技術を使って未来の私たちは暮らしているのかにつてみてみましょう。「長期低炭素ビジョン」では第5章「長期大幅削減の絵姿」としてそのようなビジョンを示しています。(たいしたことでありませんが、絵姿とビジョンはどう違うのでしょうk?絵姿の英訳がvisionなのでは...。)

 さて、まずは家庭生活のイメージした下図をみてください。

 家の外見は、太陽電池パネルを屋根に載せている以外、現在の家とそれほど変わりません。

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「長期低炭素ビジョン」参考資料集(p95)より

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2017.07.05

「長期低炭素ビジョン」を読む(その3)(江頭教授)

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 日本、そして世界の将来はどのような姿なのか。温暖化問題の解決、という立場からまとめられた日本の将来像「長期低炭素ビジョン」についてシリーズで解説しています。

 前回は低炭素社会となった2050年の日本を想定したとき、日本の温暖化ガスの排出量の削減目標が「81%~91%削減」というきわめて大きな削減となることを紹介しました。では、どうやってこの目標を達成すれば良いのでしょうか。そのために世界各国が話しい合意したのが「パリ協定」です。(最近離脱した国もあるのですが...。)

 パリ協定では京都議定書にあったような各国に割り当てられた削減目標、というものはありません。その代わり、一国一国が独自の削減目標を国連に提出します。国連は各国から提出された目標値を集計してその結果を発表します。各国はその結果を見ながら自国の削減目標を修正し、世界全体として「気温の上昇を2℃に抑える」という目標を達成しよう、という仕組みになっています。

 このようにパリ協定はよく言えば各国の努力を信頼する性善説的なシステムですが、悪く言えば目標を勝手に決められるざる法の様なものとも言えます。それでもパリ協定が重要であるのは「温暖化ガス排出を削減するのは良いことだ、必要な事だ」という世界共通の認識が確認されたということです。この共通認識はやがて具体的な温暖化ガス削減のための行動につながり、それにはなにがしかのコストがかかります。逆にみると、このコストは新たな投資であり、誰かの収益となるものです。つまり、温暖化ガス削減のための新たな市場が生まれる、ということなのです。

 「長期低炭素ビジョン」では、この新たな市場のことを「約束された市場」と呼んでいます。

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「長期低炭素ビジョン」参考資料集(p36)より

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2017.07.04

「長期低炭素ビジョン」を読む(その2)(江頭教授)

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 日本、そして世界の将来はどのような姿なのか。温暖化問題の解決、という立場からまとめられた日本の将来像「長期低炭素ビジョン」についてシリーズで解説しています。

 「長期低炭素ビジョン」では、将来の日本のあるべき姿がビジョンとして示されているわけですが、その前提となるのは温暖化問題の対策をどの程度進める必要があるのか、もっと言えば温室効果ガスの排出量をどの程度に抑えることが必要なのか、という目標値です。

 では、この目標値はどのように決めるべきなのでしょうか。

 現在の状況をつぶさに観察して将来の排出量を予測する、この方法で出てくるのは「予測値」であって「目標値」とは違います。

 温室効果ガスの排出量を仮定し、その影響を予測する。予測結果から我慢できる限界の排出量を求めて「目標値」とする。これが正しい「目標値」の設定方法でしょう。

 ちょっと待ってください「我慢できる限界」と簡単に書いていますが、これは一体どのように決めれば良いのでしょうか。影響の予測も細部については意見の分かれる対象ですが基本的には「正しい予測」というものを想定できるはずです。でも1人1人がさまざまな価値観を持つ中で、正しい「我慢できる限界」というものも1人1人バラバラです。それでも「目標値」を共有するためには「我慢できる限界」を世界で一つに決める必要があるのです。

 さて、「長期低炭素ビジョン」では、以下の図にまとめられている様な目標が掲げられています。この目標値はどのように導き出されたものだと説明されているのでしょうか。

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「長期低炭素ビジョン」参考資料集より

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2017.07.03

原子力、過去に描かれた未来のイメージ(江頭教授)

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 原子力。

 今と昔(私が子供の頃ですから...今から40~50年くらい前です。この辺りの段取りはこの回と同じ。)、最もイメージが変わったのがこの原子力ではないでしょうか。

 昔は夢のエネルギー、それこそ「鉄腕アトム」も原子力で動いているという設定した。(何しろアトムの妹はウランちゃんですからね。)とにかく原子力はすごい、なんでもできる、という非常にポジティブなイメージがあったのではないかと思います。

 しかし、このポジティブなイメージはそれ以前の「原爆」のイメージを塗り替える形で登場したものでした。その背景には、原爆から水爆へ、そして冷戦のなかで「全面核戦争によって本当に人類は滅亡してしまうかもしれない」という核の恐怖が横たわっており、その核の明るい側面として、原子力の平和利用、具体的には原子力発電がポジティブにとらえられていたのだと思います。(もちろん、当時子供だった私にはここまでは理解できなかったのですが。)

 さて、当時の原子力のイメージをよく表していると思うのが特撮映画に出てくる空想の兵器です。1959年、東宝製作のSF映画「宇宙大戦争」に出てくる熱線砲は地球を侵略してくる宇宙人、ナタール星人を撃退するために人類が開発した兵器です。 熱線とは厳密には赤外線のことなので熱戦砲は発射されても見た目は変わらないのでは、などと野暮なことは言いますまい。光線といえども稲妻のようにかっこよくギザギザに進む不思議な「なにか」(通称ズビズバ破壊光線)が発射されると標的の特殊金属を次々に貫いてゆきます。

 すごい!でも、大量のエネルギーを放射しているように見えるのに燃料タンクやケーブル、エネルギーカートリッジ的なものが全く見当たらないんですが…。砲身と引き金、それに台座だけでいくらでも、というか5万時間?、撃ち続けることができるそうなんですけど…。(あっ、後でなんとなくパラボラがついているやつもでてきました。)

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