単位とは何だろう(江頭教授)
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単位とは大学で授業を受け、期末試験に合格したものに与えられるもので、進級、研究室配属、卒業にはそれぞれ必要な単位数が…、というのはさておき、今回のお題の「単位」はメートルとかキログラムとか、いわゆる物理単位のことです。
物理に限らず化学や生物など、科学の分野で用いられる物理量は数値と単位の積で表されています。古来、いろいろな単位が用いられて来たのですが、現在科学の世界では統一された単位系としてSI単位系(国際単位系)を用いることが推奨されています。
SI単位系では基本単位として「メートル」「キログラム」「秒」「アンペア」「ケルビン」「モル」「カンデラ」の7つが指定されていて、その他の単位はこの基本単位を掛けたり割ったりして作った組立単位として表現されます。
「ジュール」や「ニュートン」など一部の組立単位には固有の名称と記号が指定されています。
また、1000倍を表すk(キロ)や1000分の1を表すm(ミリ)などのSI接頭語を使用することで大小様々な物理量を表現できるようになっています。
さて、一通り説明した後でもう一度。単位とは何でしょうか?ここでの説明は単位の表現の仕方、であって単位そのものが何かを説明してはいない気がします。
さあ、どうしましょう?
ふむ、「物理量は数値と単位の積」というところに注目して「物理量を数値で割ったもの」という説明はどうでしょうか。へんな表現ですね。でも、これを言い換えると「単位は物理量の基準になるもの」という言い方になるでしょうか。こちらはもう少しわかる気がします。「単位は物理量の基準であり、物理量は単位の何倍か、で表現される。」と言えばまとまっていますね。
だから何?
はい、実は重要なことがわかります。「違う単位の物理量は足したり引いたり出来ない。」べつに足したり引いたりしても構いませんが、その計算結果は物理量にはならない、ということになります。科学の分野でいろいろな計算が行われますが、単位の整合性をとることは基本中の基本です。
さて、最初の振りに戻って大学での「単位」。「36単位」とか「110単位」という単位数は物理量ではありませんが、「単位は単位数の基準であり、単位数は単位の何倍か、で表現される。」と書いても(ややくどいですが)意味は通ります。「単位/年」なんて組立単位もできそうですから、「単位」も「単位」の一種にしてもよいのかもしれませんね。
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