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2017年9月

2017.09.22

公害問題と地球環境問題のあいだ(江頭教授)

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 公害問題から地球環境問題へ。よくこんな表現で環境問題の質の変化について話をします。

 公害問題は、だれが加害者でだれが被害者か、がはっきりしていて、問題の原因となっている加害者の行動を規制すれば問題が解決することが分かっているタイプの環境問題でした。ですから、公害を出してはいけない、という法律をつくり、工場からの排出物を監視する体制を築くことで問題を解決することができました。

 その一方で地球環境問題は、だれもが被害者であると同時に加害者でもある、というタイプの環境問題です。被害者から加害者への抗議という問題解決への原動力も、地球環境問題では限定的な効果しかもちません。特に地球環境問題の主役、温暖化問題ではすべての人々の加害者としての行動が、そのまま人々のエネルギー利用、すなわち豊かな生活に結びついているため、法律によって制限をかけることはぐっと難しくなります。

 公害問題と地球環境問題との違いは法律による対策が有効なものと困難なものとの違い、と言っても良いでしょう。

 さて、私たちには日本人には実感しにくいのですが公害問題と地球環境問題とのあいだ、とも言うべき環境問題もあります。科学の立場から見ると公害問題そのものでありながら法律による対策が困難な環境問題です。

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2017.09.21

水銀と髪の毛(江頭教授)

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 秋は学会の季節。昨日は名古屋大学で開催されている化学工学会の秋季大会に参加してきました。学会は昼間のセッションもさることながら、よるの飲み会の席でもいろいろな情報が行き交っています。

 そんな席で話題になったのはこんな話。

 水俣病の原因物質として有名なメチル水銀(当時は有機水銀と呼ばれていました)は低濃度ながら普通の環境にも存在している。

 人間を始め、動物の体には環境から取り込まれるメチル水銀が蓄積しないように、体外に排出するメカニズムが存在する。

 それが、髪の毛。髪の毛には水銀が濃縮されていて、髪の毛が伸びることで体内の水銀が排出される。

と言うのです。

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2017.09.20

3年後期授業「サステイナブル工学プロジェクト演習」が開講されました(江頭教授)

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 「サステイナブル工学プロジェクト演習」。

 長い名前ですね。内容である「サステイナブル工学に関するプロジェクトを行う演習」がそのままタイトルになっている授業です。本学工学部の特徴の一つであるサステイナブル工学に関する教育、その集大成とも言うべき授業がこの「サステイナブル工学プロジェクト演習」で、昨日(9月19日)がその第一回でした。

 この授業の学生がグループを作って各グループの「プロジェクト」を実施する、PBL (Project Based Learning) という形式の授業です。1年生後期の「コーオプ演習Ⅰ」をはじめとしてPBL形式の授業はすでに行ってきたのですが、今回の特徴は応用化学、機械工学、電気電子工学の3学科合同で行うことです。各グループに3学科それぞれの学生が参加して自分の専門分野を生かしてグループワークを行うのです。

 さて、第一回からグループを組んで...、とはいきません。まずは授業のイントロダクション、そしてプロジェクトで利用するLCA用のソフトウェアを各自のパソコンにインストール。300人以上の学生が参加します。1年生に入学したとき、一緒に購入したはずのノートパソコンですが、これまでの2年半でそれぞれ違う状態になっているのでしょう。ソフトのインストーラーに対して警告メッセージが出て巧くインストールが進まないひとも。そんな学生さんも周りのひとと相談しながら作業を進め、ほとんどの学生さんがLCAソフトのインストールを完了しました。

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2017.09.19

水は電気を通すのか(江頭教授)

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 「濡れた手で触らないでください。」

 時々電気製品で見かける注意書きですが、これはもちろん感電防止のための注意です。そういえば、人が入っている風呂にコンセントにつないだままの電気製品(ヘアドライヤーとか?)を放り込んで殺害、なんてシーンを海外ドラマで見ることがありますから、水は電気を通す、というのが一般的な認識なのでしょう。

 その一方で、理科の授業で行う水の電気分解の実験では、水に水酸化ナトリウム NaOH を溶かして電気分解を行うのことが広く行われていますが、その理由は「水に電流が流れやすくするため」と説明されています。

 はて、水は電気を通すのか、通さないのか?

 答えはいつも通り、条件次第、程度次第、ということになりますが、それ以前に私たちが通常「水」と呼んでいるものと、理科の実験で使う「水」とは必ずしも同じものではない、ということに注意しましょう。

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2017.09.18

電球あれこれ(江頭教授)

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 先日、実家に帰ると「階段の電球が切れたので替えてくれないか」と頼まれました。階段の照明は60Wの白熱電球で、時々(年に一回くらい?)切れてしまいます。階段の途中で位置が高いので年寄りには交換が難しくなっています。

 さて、話変わって「サステイナブル工学」のお話。「人々が求めているのは物質そのものではなく、物質の持つ機能である。だから、同等の機能をなるべく少ない環境負荷で実現できる新たな物質を開発しよう」というのはサステイナブル材料工学の一つの方針ですが、この考え方の基本は物質合成だけに限られるものではありません。えっ?冒頭の振りとどんな関係があるのかって? 件の白熱電球はその典型的な例だと思うのです。

 電球の機能は照明です。明かりを提供できるなら「フィラメントを加熱して白熱させることで光を発するもの」以外でも代用できるはずです。

 照明の手段として電球に次いで古い歴史のあるものは蛍光灯でしょう。蛍光灯は放電によって蛍光物質を光らせるもので白熱電球に比べてエネルギー効率が高く、今の言葉でいえば「地球にやさしい」製品でした。私の子供のころからあるもので、私の実家を父が建てた時(40年くらい前です)にも蛍光灯は一般に十分普及していました。では、なぜ実家の階段の照明は蛍光灯ではなく、白熱電球だったのでしょうか?

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2017.09.15

本日(9月15日)から後期授業が始まります。(江頭教授)

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 本日(9月15日 金曜日)から後期授業が始まります。夏休みも終わり、15回の授業と期末試験の新しい学期が始まるのです。

 高校生の皆さんからするとずいぶんゆっくりした新学期スタートだ、と思われるかも知れませんが、本学の夏休み入りが8月9日だったことを考えると夏休みの長さはそれほど長くない、ということになります。

 実は今年度の夏休み、昨年度より短くなっています。

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2017.09.14

ロスト イン キャノーラ(江頭教授)

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 私(江頭)は現在、オーストラリア、西オーストラリア州のWickepinという土地に出張中です。西オーストラリア州では大規模な農業が行われていて日本にも大量の小麦を輸出している大穀倉地帯なのですが、ここでは降水と蒸発のアンバランスによる塩害が問題になっています。耐塩性の樹木を植林することでこのアンバランスを解消し塩害を防いで農業生産を維持しよう、そんな研究の一貫として農地の地下水位レベルを測定する作業を今回の出張で行っているのですが......。

 この時期、オーストラリアでの季節は春先になるのですが、夏の暑さと水不足が厳しいこの地方では作付けは冬に行われるので、すでに実りの季節を迎えています。測定対象の農地には、昨年は小麦が植えられていたのですが、今年は輪作でキャノーラ(菜の花・アブラナの一種です。)が植えられていて、農場一帯が写真の様な風景に。

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2017.09.13

人間生活と消費エネルギー ~国際比較編~(江頭教授)

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 以前、「人類の歴史を顧みると人間生活の向上は常にエネルギー消費の増加を伴っている」という主張について記事を書きました。それに関連して日本の最近のエネルギー消費とGDPの関係を議論したのですが、ここ5年ほど、GDPが上昇する(「人間生活(の質)」が向上する)一方で、消費エネルギーが減る、という現象が見られる、と指摘しました。今回はいろいろな国を比較して人間生活と消費エネルギーの関係を考えてみたいと思います。

 まず、「人間生活(の質)」について。GDPそのものは、この指標にはならないでしょう。おなじGDPでも人口の多い国と小さな国ではまともな比較になりません。ここは人口1人あたりのGDPを比較するべきですね。

 日本の話に限ればここ10年ほどの期間、人口はあまり変化していません。2010年にピークを迎え、その前後5年で1%以下の変化しかありませんから、ほぼ人口は一定だとみて良いでしょう。(ですから、2010年以降、GDPが増加しつつエネルギ-消費が減っている、という状況は人口減少が、少なくとも主要な原因ではない、とい言えると思います。)

 日本と他の国を比べる場合にはやはり人口1人あたりのGDPが比較の基準としてふさわしいと考えられます。同じく、1人あたりの一次エネルギーの消費とを比較したのが以下のグラフ。これも「エネルギー白書(2017)」から引用しました。

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2017.09.12

経済成長のためにはエネルギ-が必要か?(江頭教授)

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 先日の記事で、「人類の歴史を顧みると人間生活の向上は常にエネルギー消費の増加を伴っている」のだから、「化石燃料の使用を制限することは生活レベルの低下を意味する」という意見について、学生諸君の反応について紹介しました。要するに「化石燃料を使い続けることはできない」し「再生可能エネルギーがある」というリアクションでした。

 今回は、別途「人間生活の向上は常にエネルギー消費の増加を伴っている」という部分について、その真偽を日本のデータから考えてみたいと思います。

 まず、明治維新以前と以後、そして戦前までの期間について考えれば「人間生活の向上は常にエネルギー消費の増加を伴っている」のは明かでしょう。産業革命(日本では明治維新がこれにあたります)以降、エネルギーの利用の仕方が根本的に変化し、これが人々の生活を良くしたことに疑いはありません。もちろん、細かくみればこの流れに反して、エネルギー消費が増えたが生活レベルが下がった場所や時期があるかも知れません。しかし、それはぞれ、全体の傾向とは言えないと思います。

 そして戦中と戦後初期の混乱期。この期間中にエネルギー消費は下がった時期もあるでしょう。人々の生活は、おそらく場所によって大して変化しないところもあったでしょうが、一部では街全体が消失し、多くの人が命を落とすことにもなり、おおむね、人々の生活は良くはなっていないと思われます。いずれにしても特殊すぎる期間であり、歴史の趨勢とは言えない時代です。

 というわけで、以下のデータを「エネルギー白書(2017)」から引用してきました。オイルショック直前の1973年から2015年までのエネルギー消費、そして「人々の生活の質」を代表するものとしてGDPの変化が対比されています。

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2017.09.11

理論式と次元、あるいは次元解析のこと(江頭教授)

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 物理量は数値と単位を掛け合わせたものとして表現されます。単位にはいろいろなものがありますが、長さの単位、質量の単位、時間の単位など、互いに換算が可能な単位がついた物理量をまとめて同じ次元をもつ、とよびます。(この辺の事情はこちらで説明しています。)

 原理や法則から理論的に導き出された式、すなわち理論式は両辺の次元が一致していること、実験結果をまとめた実験式も同様に次元が一致するように表現すると便利であることなども説明しましたが、今回は理論式について、の両辺の次元が一致している、という条件からどのようなことが言えるのか、を考えてみます。

 まず、重力によってものが落ちる、いわゆる自由落下をする場合、落ちる距離 x と落ち始めてからの経過時間 t との関係について考えてみましょう。普通に運動方程式を立てても良いのですが、今回は少し代わった解き方を紹介します。

 まず、自由落下の現象に関わる物理量は何でしょうか? 重力加速度 落下する物質の質量 m 、これで全部ですね。(空気抵抗は無視しています。)

 x の次元は長さの次元 L 、t の次元は時間の次元 T、m の次元は質量の次元 M となります。g の単位は組立単位なので、その次元も長さと時間の次元で表現されて、 LT -2 となります。

 さて、運動方程式の解がどのようなかたちになるにせよ、 xmg の関数で表されるはずですから、これを

  x = A t α mβ gγ

で表してみましょう。(ここで A は無次元の定数とします。)

 両辺の次元が等しいとすると、以下の図の様な計算で実は

 x = A t 2g

という関係が成立することが示されます。(図の dim() という関数は物理量の次元を表すものです。)

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2017.09.08

実験式と次元(江頭教授)

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 前回、工学で利用される数式には「理論式」と「実験式」がある、ということを解説しました。また、物理量の「次元」についても紹介しています。今回は、「実験式」と「次元」の関係について考えてみましょう。

 まずは実験式から。実験式は「実験データを整理して式のかたちにまとめたもの」ですから、話は実験から始まります。下図の青いマークがデータ点だとします。横軸をX、縦軸をYとすると、Xが増えるとYも増える、なるほどYはXに比例するのかな、と思って詳しく見てみるとYはXが増えるほどには増えない、少し頭打ちになっていることが判ります。

 なるほど、このデータを再現するような式を作るとしたら

Y =a Xb

のかたちが良さそうです。(ここで、ab は定数となります。)

 さて、ここで次元の話を思い出してみましょう。

 物理量には次元があり、次元が違う物理量は足したり引いたりできない、そう説明したと思います。よって、物理量の関係式は、左辺と右辺の次元が同じでなければならない。

 では、Y =a Xb の左辺と右辺の次元は一致するのでしょうか?

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2017.09.07

理論式と実験式(江頭教授)

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 化学や物理では、いろいろな問題の中に、「適切な数式に数値を代入して答えをもとめる」というタイプの問題が出てきます。いろいろな変数のあいだの関係が数式で与えられていて、問題で指定された個別の状況に対して数式を適用することで求める答えが得られる。当たり前のことではありますが、このような数式の利用法は科学や工学の学習の大きな部分を占めています。というか、工学が社会で実用される際に、この数式の利用法が重要な役割を担っているからこそ、教育に際して重要視されることになるのです。

 さて、今回はこのような「数式」が一体どのようにして得られるのか、という点を考えてみましょう。

 今回のタイトルに示したように、工学で使われる式は、理論式と実験式に大別されます。

 まず、理論式から。これは原理や法則から導出される式のことです。問題の理解の仕方や導出が間違っていなければ、正しい結果を与える式で、実験で確認する必要がないと見なされます。もちろん、原理や法則は実験と無関係にできあがったものではありません。原理や法則は十分実験で確認されているので、そこから導かれる理論式を再度実験で確認する必要は無い、ということです。

 では、原理や法則から直接導出できない、つまり理論式は無いが、どうしても知りたい変数間の関係がある場合、どうすれば良いのでしょうか。こんな時は実際に実験を行って、その結果を式にまとめる、ということが頻繁に行われています。これが実験式です。

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2017.09.06

推薦図書「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」(江頭教授)

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河合 雅司

「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)」

講談社(2017)

 戦後のベビーブームを起点として増加を続けていた日本の人口ですが、2008年にピークを迎え、今は減少に転じています。本書は人口が減少してゆく将来の日本で起こると予想される事象を年表形式でまとめたものです。具体的な年と事象を並べることで、日本社会の未来をよりはっきりとイメージすることができるようになっています。

 未来に起きる事象、具体的には

2021年 介護離職が大量発生する

2027年 輸血用血液が不足する

2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる

2039年 深刻な火葬場不足に陥る

2042年 高齢者人口が約4000万人とピークに

など、現在の延長上で考えられる事柄からスタートして、「えっ、そんなことが?」と思う様なことまで、ずらりと並んでいるのです。

 ここで予測されていることは、現在既に生まれて暮らしている人が年をとることによって生じる事象です。今から本格的な少子化対策を行い、成果がでたとしても少なくとも18年の間、生まれてきた子供は働くことはできません。ですからこの年表は、ほぼ確実に起こる事態、すでに決定した未来だと言えるでしょう。

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2017.09.05

35年ぶりに「人間機械論(ノーバート・ウィーナー著)」を読んで 追記 (江頭教授)

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 先日紹介したノーバート・ウィーナーの「人間機械論」、今回はこの書物についてもう少し説明を追加したいと思います。実はこのタイトルは日本オリジナル。本来のタイトルは

THE HUMAN USE OF HUMAN BEINGS

となっています。日本語版のタイトルには副題として

人間の人間的な利用

とありますが、こちらが本当のタイトルなのです。

 著者がこのタイトルに込めた意図は本書の第一章「歴史におけるサイバネティックス」の終わり近くのこの部分にはっきり現れていると思います。

私は本書を、人間のこのような非人間的な利用(inhuman use of human beings)に対する講義に捧げたいのである。なぜなら私は、人間に対しその全資質より少ないものを需め、実際の資質より少ないものしかもっていないものとして人間を扱うような人間の利用は、いかなるものでも、一つの冒涜であり一つの浪費であると信ずるからである。

ウィーナーは人間の「非人間的な利用」の例として次のようなものをあげています。例えば「人間を鎖で櫂につなぎ動力源として使う」ガレー船。そして「工場で人間にその頭脳の能力の百万分の一以下しか必要としない全く反復的な仕事をあてがう」工場です。

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2017.09.04

スクールバスのこと(江頭教授)

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 今日(9月4日)現在、東京工科大学は夏休み、というか前期の授業が終了した後の休み期間中です。休み中、八王子キャンパス内は人影がまばらになって少し寂しい風景ですが、私たち教員にはとっては広いキャンパスを独り占め、少し楽しい期間でもあります。

 同様に、八王子駅、八王子みなみ野駅とキャンパスをつなぐスクールバスも教員貸し切り。本数こそ減ってしまいますが、座って大学に行ける、といういつもとは違うバス内の様子を楽しみながら、キャンパスに向かうことができます。

 そう思って、今朝もスクールバスのバス停(八王子駅の南口のバスロータリーにあります)に来たところ、なぜか多くの学生さんが行列しています。一見していつもより平均年齢が低めな気がしますが、別にキャンパス見学の高校生というわけでもなさそうです。はて、これは一体?

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2017.09.01

昆虫は幼虫時代の記憶をもっているか(江頭教授)

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 一部の昆虫は幼虫からさなぎの状態を経て成虫になります。その際、幼虫のからだはさなぎの中でドロドロに溶けてしまうので、幼虫時代の記憶は成虫に引き継がれることはありません。

 なんとなく、そんな風に考えていたのですが実はそうでもないらしい。「東京ズーネット」という「上野動物園・多摩動物公園・葛西臨海水族園・井の頭自然文化園──都立動物園・水族園の公式サイト」のtwitterで昆虫の幼虫と成虫との間の記憶の伝わり方についての研究が紹介されていました。(こちらにまとめがあります。)

 幼虫の体はさなぎのなかで完全に「ドロドロ」になってしまうわけではなく、その一部は溶けずに成虫の体に引き継がれる、だから幼虫の記憶が成虫に引き継がれるのもあり得ることだ、というのです。

 なるほど、「ドロドロ」にはなるが「完全にドロドロ」になるわけではない、そう言われると確かにそんな気がしてきます。さらに、「完全ドロドロ説は国外でも一般的である模様」との指摘も。

 そう言えば、この「完全ドロドロ説」自分も目にしたことがあるぞ、と思い返してみるとノーバート・ウィーナーの「人間機械論」がそれでした。(この本についてはこちらでも紹介しています。)

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