白熱電球とLED電球(江頭教授)
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以前の記事で「人々が求めるのは機能」であるから、白熱電球のもつ照明という機能を、より少ないエネルギーで実現できるLED電球で代替できる、というはなしを書いたのですが、今回は白熱電球とLED電球との差を観察してみましょう。
以前、温度の自動制御のデモ用に使用したのと同じ白熱電球と温度調節器をつかって電球をスイッチオンした後の表面温度の変化を追跡しました。左側が白熱電球、右がLED電球です。
結果は一目瞭然。白熱電球の温度がどんどん上がるのに対してLED電球の温度はほとんど変化しません。
その一方で、LED電球の明るさは白熱電球と比べても遜色ありません。スイッチを入れてから発光するまでのタイムラグもみられず、白熱電球とまったく同じ使い勝手です。
と、ここまで書いていて気がついたのですが、LED電球、ヒーター代わりには使えないですね。温度の自動制御のデモでは白熱電球の温度を制御していたのですが、LED電球は温度が上がらない。このケースでは白熱電球の機能はヒーターとしての機能であり、それと同時に「発光して通電の有無がわかる」という部分にあるのです。
私たちの身近にある製品には、多かれ少なかれ、本来の目的以外で利用されているケースがあるものです。その製品が同じ「機能」を実現する新しい製品が出現して置き換えられたとき、目的外で使っていた人たちはどうするのでしょうか。それなりのニーズがあれば目的外の機能を目的とした製品が作られるでしょうが、ほとんどはまた別の製品を利用することを考えるのでしょう。
うーん、白熱電球を買い置きしておこうかな?
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