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研究倫理に関する講習会が開かれました。(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 東京工科大学では月に一度、八王子キャンパス、蒲田キャンパスでそれぞれに「全学教職員会」と称した講習会を開いています。最近はネットワークを利用した中継によって八王子キャンパス、蒲田キャンパスで同時に「全学教職員会」を行うことができます。学長が大学の運営方針を説明する回もありますし、各学部がそれぞれの教育目標を発表する回もあります。時には外部講師をお願いして大学の教育にかかわる最新の話題を解説していただくこともあります。

 今回開かれた「研究倫理」に関する講演もその1つ。新日本有限責任監査法人の教育セクター支援室マネージャーの赤池 知広氏を講師としてお呼びし、研究倫理について、とくに公的資金の適正な利用について、お話をいただきました。

 研究倫理、公的資金の適正な利用、これらの言葉は大学の人間以外にはなじみの無い言葉かも知れません。とくに公的資金については大学生にとっても良く知らない話、と感じられるでしょう。ですが、「公的」というくらいなので多くの人に関係のある話です。公的資金というのは要するに税金のこと。それも取られる方の税金ではありません。これは税金の使われ方についての話なのです。

 東京工科大学は私立大学ですが、収入の一部には公的資金が含まれています。その中でも特に研究を実施するための助成金、例えば文科省の科研費(科学研究費補助金)などは、研究の内容に応じて多種多様な使われ方がありますので、その管理も難しい、という問題があるのです。

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 大学での研究で何にお金を使うのか?これは学部や学会、いえ専門分野によって1人1人、全く異なっています。本棚や机、文房具にパソコンなど一般的なものは事務職の人でも理解できる範疇。実験机も大丈夫でしょうか。これがドラフト(排気機能をもつ実験机です)になると、少なくともなじみは無いでしょう。実験器具になると名前を聞いてもなんだか分からないものも多数。たとえば「クランプ」など、機械の人なら板を加工する時に抑える道具ですが、化学の研究者ならフラスコなどを挟んで実験用スタンドに固定する道具、になるでしょう。(ちなみに実験用スタンドとクランプをつなぐ道具は「ムッフ」と言います。知ってました?)

 少し違う話かも知れませんが、私(江頭)が参加しているオーストラリアでの植物による水バランス制御の研究では、土壌サンプリング様に「検土杖」という道具を使います。杖のような形の金属の棒ですが、土に打ち込むために先端が鋭利に加工されています。これを日本からオーストラリアに持ち込もうとする空港で必ず「これは何ですか」と聞かれることになります。

 要するに、研究にかかる費用が無駄なく適切に使われているかどうか、研究者本人以外が判断するのは難しいという事情があります。とはいえ、公的資金を管理してる大学組織は資金が有効に利用されるよう努力する必要がある。だからといって形式的な規則で厳しい管理をすれば研究が滞る。

 結局のところ、公的資金を巧く管理するためには管理する側(大学当局)と管理される側(われわれ研究者)との意思の疎通が大切だ、ということになります。難しい問題にはそれなりの労力が必要だ、これはある意味当然の話ですね。

江頭 靖幸

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