映画「不都合な真実」(江頭教授)
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「不都合な真実」はアメリカのクリントン政権時の副大統領、アル ゴア氏の地球温暖化に対するキャンペーンを中心としたドキュメンタリー映画です。講演で観客に語りかけるゴア氏の姿、世界各地で起きている温暖化の影響についての印象的な映像、ゴア氏の個人的な回想を織り交ぜて地球温暖化の危機を理解させ、対応を促す内容となっています。
ゴア氏が副大統領を務めた期間は1993年から2001年まで。京都議定書の採択が1997年ですから、彼の任期中に地球温暖化問題へ関心が高まった事がわかります。実のところ、ゴア氏は地球温暖化問題へ関心を高めた立役者の一人であり、2007年にはその功績でIPCCとともにノーベル平和賞を受賞しています。
この映画でのゴア氏の温暖化問題についての説明は、彼が学生時代に教授から見せられた大気中の二酸化炭素濃度の上昇についてのグラフから始まっています。現在では広く認められている人為的な温室効果ガス(主に二酸化炭素)の排出による地球環境の変動、温暖化ですが、当時は懐疑的な人も多くいました。その状況でこのデータを最初に示している点、「わかっているな」と感じます。二酸化炭素の放出から温暖化まで、その因果関係にはいくつものステップがあり、確実性の高いものと低いものがあります。その中で地球の大気中の二酸化炭素が増えている、という事実は特に確実性の高いものです。
映画という媒体の特性でしょうか、やや映像で煽るような場面もありますが、それでも落ち着いたトーンで分かり易く温暖化のメカニズムとその影響について説明した内容は2006年の公開から10年以上経過した今でも充分通用する内容だと思います。
さて、米クリン党政権で副大統領として活躍したゴア氏は2000年の大統領選挙に出馬、ジョージ ブッシュ候補と争うこととなりました。いろいろな経緯があったものの、結局大統領となったのはブッシュ候補でした。ブッシュ大統領は地球温暖化問題への対応に消極的であり、結局京都議定書もアメリカ合衆国が参加しない形で発効することとなったのです。
もし、ゴア氏が大統領になっていたら。実際のところ温暖化問題に対してどの程度有効な対策ができたかはわかりませんが、それでもゴア大統領の手腕をみてみたかった、この映画「不都合な真実」には、そう思わせるだけの力があると思います。
PS:アル ゴア氏には是非、大統領になってもらって、「私の名はゴア!地球の征服者だ!」と言って欲しかったですね。(私の世代にしか通じないネタ。)
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