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理系の英語勉強法-3 理系英語の文法とその階層性(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

 英語は「世界言語」です。特に理系では英語は共通言語として認識されています。英語が世界言語になったのは、その文法の単純明快さによります。というと、中学校高等学校の英語文法で苦しめられてきた学生諸氏は反発を覚えるかもしれません。でも、英語の文法は厳密でそれゆえ簡単です。

 外人さんは「日本語は難しい」とよく言われます。これは、文法のフレキシビリティが高いためです。一方、英語の文法の自由度は(少数の例外を除き)ほとんどありません。つまり内容が定まると、それを表現する文章に「正解」があります。一方、日本語はフレキシビリティが高いため、文章に正解はありません。正解のない日本語は外人には打難しく、一方、英語の自由度の欠如が、自由なことばを愛する日本語人には堪え難いのかもしれません。

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憶えていますか?5文型

 日本語では「私はあなたを好きだ」も「あなたを私は好きだ」も「私は好きだ、あなたを」も、あるいは「あなたを好きだ」でもほぼほぼ同じ意味になります。これは「てにをは」が文の中の単語の役割を明示してくれることにより単語を並べる順番を変えてもその意味は大きく変化しない(ニュアンスは若干変化します)ことによります。一方、英語では主語と述語と目的語の位置が反転するとそのまま疑問文になってしまい、意味が大きく変わります。“I love you.” は通じても、”You love I.” は文法的におかしく、違う意味に取られかねません。ましてしばしば日本語の文で見られるように主語を略してしまうと、英語では命令文になり、ニュアンスが大きく変わってしまいます。一方、日本語では主語を略した「あなたを好きだ」は成立し、自動的に主語は自分であると規定されます。しかし、英語で”Love you.”は何だかわかりません。(そういえばラブユー東京というムード歌謡がありましたね。学生さんは知らないか…。)

 英語は「音声による伝達」を主にします。そのため、聞き逃しが起きてもそれを「補完」できるように作られています。これが文中の単語の位置づけを語順により厳格に決め、動詞の語尾の変化や冠詞の使い方のルールにつながります。これが、我々日本人にはややこしく感じるのでしょう。

 そんな言葉の背景を理解すれば、英語の事情を少しは理解できます。

片桐 利真

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