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紙か電子か問題、レポートの場合(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 電子書籍元年、と言われたのが2010年、もう7年も前になります。電子書籍自身、珍しいものではなくなりましたが、紙の本も依然として無くなる気配はありません。

 そんな状況で「紙か電子か」という二択問題は人によって意見がいろいろで、盛り上がりやすい話題になるでしょう。「書籍」と呼ばれるものすべてを対象とすると、自分1人でも判断がつかないもの。書籍の種類によってケースバイケースなのは当然として、どんなタイプの書籍が電子書籍向きなのか、逆に紙が有利なのはどんな書籍なのか、これを考えてみるのも興味深いものです。

 ということで、今回のお題は「紙か電子か」問題。対象は講義のレポートについてです。

 少し説明が必要ですね。まず、レポートを電子書籍フォーマット(EPUBとか)で提出してくる猛者はさすがにいません。今回の「紙か電子か」の電子の方はPDFファイルか、PDFに変換前のワープロファイルのことです。本学のすべての授業には moodle というソフトウエアを利用した授業支援システムが設定されていますが、そのシステムを利用するとレポートを前述の様な電子ファイルで提出することができます。(昔、電子メールを使ってレポート提出を受け付けようとしたことがありましたがメールボックスが大混乱に。レポート受付専用アカウントを準備するぐらいの覚悟がないとできないことだと思っていました。ずいぶんと便利になったものです。)

 ということで早速、このレポートは moodle に提出、というのをやってみました。集まったレポートは約70通。今度は採点のためにこれをチェックする作業がスタートです。

 結論から言いましょう。わたしは「絶対紙派」です。正確には今回の経験で、紙派になりました。もっと正確に言うと「電子ファイルは嫌だ派」になりました。

Reportpad

 採点する立場でレポートをみると、紙のレポートが実に優れた特性を持っていることに気がつきます。

 まず、複数ページにわたる内容の、どこに何が書いてあるのか、おおざっぱに内容を把握するには紙を束ねたレポートというのは実にすぐれたものだと言えるでしょう。一つ一つの言葉がどこに書いてあるのか、などは検索ができる電子ファイルが有利ですが、「結論はどこに書いてあるんだ?」となったとき、一度に1ページか2ページしか表示できない電子ファイルと比べて、紙をペラペラとめくっていくやり方はずっと効率的です。

 そして、レポートに直接書き込むことができる点も大きい。レポートを読みながら心に浮かんだことをフリーフォーマットで書き込める、という点では今でも紙に軍配が上がります。レポートの採点に際して、チェックポイントに○×をマーク、それをまとめて評価を記入、こういったレポート評価の一連の作業、電子ファイルではウィンドウを切り替えながらの作業ですが、紙のレポートではすべてがスムーズにペン一本で可能です。

 最後に何より重要な点。物理的な実体があることで終わったレポートを別グループ分けておけることをもメリットです。電子ファイルだとどうしても同じファイルを複数回開けてしまいますが、紙のレポートにはその心配はありません。採点が終わったレポートには表紙に点数が記載されていて間違えようがありませんからね。これに、もっと重要なこと、どこまで採点が終わったのかが一目瞭然になりモチベーションが維持できること、をメリットに加えましょうか。

 さて、 moodle で提出してもらった電子ファイルのレポートですが、結局手元ですべて印刷することにしました。ずっしり重い(厚さ5cmはあったでしょうか……)レポートの束になりましたが、これならなんとか採点できそうです。

江頭 靖幸

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