「俺の血はなに色だーっ!!」問題(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
若い頃、私もご多分に漏れず注射が嫌いでした。いまでも注射嫌いなのは変わりません。(好きな人はいないと思いますが……。)それでも年を取ると注射針を刺されることが多くなります。
最近は毎月の様に血液検査のために血を抜かれています。気持ちが悪いのでなるべく注射器をみないようにしているのですが、それでも目にはいることはあります。
うーん、やたらにどす黒いんだけど血液ってあんな色だったっけ?たくさん集まるとあんな風に見えるんだろうか。それとも注射器の筒の色が混ざっているのかなあ。なんか、いやな感じの赤だけど、病気の兆候だったりして。
そんなことを思っていると、意外なところで答えを見つけました。NHKが教育目的の動画を公開しているサイト「NHK for School」、そこにある「赤い血と赤黒い血」といいう動画がそれです。
詳しくはこの動画を見てもらうとして、要するに、赤い血は動脈を流れている血、赤黒い血は静脈を流れている血だとか。肺で酸素を取り込んだ動脈血は赤く、末梢の毛細血管を流れて酸素を放出した静脈血は赤黒い。採血された赤黒い血に酸素を吹き込むと色が鮮やかに。動脈血と同じような赤になる、というのです。
なるほど、ヘモグロビンが酸素と酸素の結合はヘモグロビン内のヘムに含まれる鉄に酸素が配位結合するプロセスです。配位子によって金属イオンの色が変わるのは良く知られた現象ですから、血液中に酸素を含むか含まないかで色が違う、というのは納得できる現象ですね。
そう言えば、血流中の酸素濃度を吸光分析で測定する装置もありますから、血液が酸素によって色を変える、というのは言われてみれば当然です。
採血に際して、静脈から血を採る、というのも止血のやりやすさを考えればありそうな話です。そもそも動脈から静脈に向かって血液が流れるのは圧力差によるもの、心臓に近い動脈には高い圧力がかかっているはずですが、静脈の血液は圧力が低くなっているでしょう。
と、いう訳で、どうやら私の血が特別に黒っぽい、ということではなさそうです。ほっとしました。
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