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大学院の勧め-6 (片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

 私は皆さんに大学院への進学を強く勧めます。少なくとも修士、可能なら博士号の取得をお勧めします。と言う書き出しで、学生さんたちに、これまで大学院への進学を強く勧めてきました。今回は修士・博士取得者への社会の要請をまとめます。

 近年の科学・技術の高度化により、その道のプロフェッショナルになるために学ぶべき事項は大きく増えています。そのため、長期間の高等教育を必要としています。

 医学部は戦後、1947年から6年制です。戦前は医学専門学校をでれば最短22歳で医者になれました。法学部は法曹の専門家である判事や弁護士育成のための「法科大学院」を2004年より開設しています。薬学部でも薬剤師になるためのコースは2006年から6年制になりました。さらに、教育学部も専修免許取得のための「教職大学院」を2008年から開設しています。上記のような法学部、教育学部の専門職大学院制度ができた背景にはその道のプロになるためには、大学教育だけでは不十分であるという社会のコンセンサスがあります。

 そして、工学部も6年制へ向かっているようです。

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2016年4月に名工大は6年制の創造工学教育課程を設置しました。また、2017年5月の文科省有識者会議は工学部を6年制にすることを提言しています。実際、工学系の大学院進学率は非常に高くなっています。2007年の文科省の学校基本調査速報によると、主な国立大学工学部の進学率は、京都大学(88%)、大阪大学(86%)、名古屋大学(84%)、東北大学(84%)、東京大学(84%)、北海道大学(80%)、九州大学(79%)、広島大学(70%)、東京農工大学(66%)、千葉大学(62%)、岡山大学(60%)と多くの大学で過半数を超えています。私立大学では慶応大学理工(71%)、東京理科大学基礎工(68%)、早稲田理工(68%)、立命館理工(58%)、東京理科大工(54%)、と多くの大学でやはり過半数を超えています。全大学の工学系の進学率は32.3%だそうです。

 もしかしたら、近い将来に、工学部は修士込みの6年制が標準になるかもしれません。そのとき、4年卒の工学部学士は相対的に「安く」見られてしまう恐れがあります。

 社会がグローバル化するに従い、この傾向はますます進行すると思われます。

片桐 利真

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