電子天秤がくるう話、その2(江頭教授)
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一部の電子天秤には磁石が入っているらしく、それが原因で質量の測定値がくるう、という話を前回紹介しましたが、今回も別の理由で電子天秤がくるう、という私の体験談を紹介しましょう。
風よけの箱で囲まれたタイプの電子天秤での話しです。30 cm くらいのガラス管の質量をはかろうとおもいました。30 cm の棒状のもの、ガラス製なので曲げることもできませんから、箱には入りません。
仕方なく、箱の左右の扉を開けてガラス管を差し込んで測定することにしました。ガラス管をきれいにして左右バランスをとって電子天秤で重さをはかったのですが、値が安定しません。だらだらと重量が減り続けて何時までも重さが安定しないのです。もちろん、電子天秤の重さの表示が安定するまでには時間がかかるのですが、普通、1分もあれば十分なはずです。しかし、このケースでは少なくとも1分以上、重量が減り続けて一向に安定しそうにありません。
一体なにが起こっていたのでしょうか。
これ、実は冬のお話。そして、先に書いた「ガラス管をきれいにして」という部分は「ガラス管を布で拭いてきれいにして」いたのです。
気がついた人はいますか?ガラスを布で拭くって、これは静電気を起こす実験そのものじゃないですか。
ガラス管は静電気を帯びていたので、試料皿からはみ出した部分が電子天秤が置かれている机の表面と相互作用して引力が生じていたのです。
解決策は、ガラス管を湿ったティッシュで拭くこと。静電気を逃がしてやると電子天秤の表示はあっという間に安定した値を示す様になりました。
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