スタンド・クランプ・ムッフ...ムッフって何?(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
卒業研究の発表も終わって一段落。後輩にテーマを引き継ぐ人たちは引継ぎのための実験を後輩と一緒に行っています。
そんな実験に付き合って私も実験室で作業をしていたのですが、ふと「○○が足りない」ことに気がつきました。「あれっ、○○って何て名前だっけ。」おっと、とっさに名前が思い出せません。
化学の実験でつかうビーカーやフラスコ、試験管などは手に持って使ったりテーブルに置いたりですが、少し複雑な操作をしたいとき、たとえば滴定のためにビーカーの上にビュレットを固定したいときなど、スタンドが必要になります。
化学実験で使うスタンドは直径 1 cm 程度の鉄のパイプ(支柱といいます)が垂直(あるいは水平)に固定されているものです。この支柱にたとえばビュレットをッ挟んで固定できるクランプを取り付けることで自由自在に器具を配置することができるのです。
「そうそう、クランプをパイプに取り付けるやつ。それがいま考えていた○○だよ!」
思い出しました。この部品、「ムッフ」というのです。
スタンド、クランプ、ムッフをキーワードに検索したら上の図がでてきました。「UnDigital科学博物店」という通販サイトのものの様です。
「ムッフ」英語では「muff」となりますが、一般的な意味は「毛皮や厚手の布でつくった円筒で、手袋代わりに両側から手を入れるもの」で、日本語表記では「マフ」なのだそうです。腕を入れてつなぐ物、という意味で支柱とクランプの柄を結びつけるムッフと共通の語源があるのかも知れません。しかし、ムッフという日本語読みとマフという日本語読みは独立に日本に導入されたのでしょう。
なお、機械の用語として「muff coupling joint」(マフ継ぎ手)というものもあるそうです。こちらの方が形的にも「ムッフ」より「マフ」に似ていますし、発音も「マフ」になっていますから、一般的に使われるマフというものをイメージして和訳されたのだろう、と想像できますね。
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