小さいシリコン栓は外れやすい(江頭教授)
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試験管やフラスコにフタをする場合に使う栓、ずっと昔はコルク栓を使っていたそうですが、その後ゴム栓が使われるようになりました。今はシリコンゴムを使ったシリコン栓も普通に使われるようになっています。
さて、シリコン栓は円錐台の形状で試験管やフラスコの円筒状の入り口に細い方の端を押し込んでフタをします。入り口とシリコン栓に角度が付いているので、押し込まれるとシリコン栓を周りから締める様に力がかかります。シリコン栓はゴムのような弾性があるので締める力に反発して力がかかります。入り口のガラスと栓のシリコンとの間の摩擦力によって栓が止まるわけです。
ねじやロックの様な複雑な機構が不要でシリコン栓と試験管とに一対一の対応も必要ありません。簡単便利なフタの仕組みです。
さて、試験管やフラスコの入り口のサイズは 1~2 cm が普通なので、それに応じてシリコン栓のサイズも決まっています。でもカタログを見るとずっと小さいシリコン栓もあるようです。
以前、内径 8 mm 位のパイプに栓をしたいと考えて小さいシリコン栓を使ってみたのですが、これは外れやすくて困りました。
細い管の入り口に押し込むときでも、太い管と同じ深さまで押し込んだとするとシリコン栓の全体の変形は同じになるはずです。一方で、小さい管用のシリコン栓は栓全体が小さい。ですから、変形の割合で考えると小さなシリコン栓は大きな割合で変形することになります。
変形に要する力は変形の割合で決まっていると考えられるので、小さい栓を押し込む場合、強い力をかけないと大きな栓と同じ深さまで押し込めないことになります。同じ力で押し込むなら、浅くしか押し込めないのです。
栓を固定しているのは入り口の内壁と栓との間の摩擦力ですから、押し込みが浅いと固定もうまくできない。これが小さい栓がとれやすい理由だと考えられます。
そうだとしたら、もっと柔らかい材質でシリコン栓を作るか、あるいはシリコン栓をより円柱に近い形に変えれば良いと思うのですが、どうでしょうか。
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