ガスの流量の単位「CCM」と「SCCM」(江頭教授)
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「CCM」は「Cubic Centimetre per Minute」の略。気体や液体、流体の流れる量をしめす単位です。「CC」が体積を表しているので、時間あたりに流体が流れる体積、つまり体積流量を表しています。
以前紹介した液膜流量計で測定されるのはこの体積流量を測定するものです。ガスの量を直接測定し、時間と対応させるのですから、シンプルで分かりやすいですね。
さて、気体の体積は圧力や温度で変化するので体積流量も測定時の圧力や温度で変化します。それどこか流れの下流で加熱されたり、減圧されたりしたら、流量もそれに応じて変化してしまいます。測定時の温度と圧力の条件を考慮しながら流量を考えるのは大変なので、一定の条件を基準として、ガスの流量は常にその温度と圧力での値として記述しよう。そう考えて決められたのが「SCCM」、「Standard Cubic Centimeter per Minute」です。基準となる「一定の条件」を標準条件と言うので、頭に Standard と付いています。
液膜流量計を使って流量を測定している動画です(三倍速になっています)。
問題となるのは、この「標準条件」です。化学で標準条件と言えば 1気圧、 0℃ のことです。多くの場合、SCCM はこの1気圧、 0℃ での値に換算したガス流量のことです。ところが、一部では標準条件として1気圧、 25 ℃ を採用している企業があるのです。
SCCM や CCM は SI で規定された単位ではありませんから、共通の定義が決まらないのはある程度仕方のないことです。逆に言えば、このような不都合がないように SI という仕組みがつくられた、ということです。
さて、SCCMは「体積流量を標準条件での値に換算したもの」と説明しましたが、気体が理想気体であれば標準状態の気体の体積は物質量( mol 数 )に比例しています。そう考えると SCCM は物質量の流量を表す単位だと考えても良いですね。
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