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AIに愛はあるのか?...すぐそこにある恐怖(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

 NHKのラジオで「AIによる就職面接」を解説していました

 (4月11日19:30~ NHK第1放送、Nラジ「あなたの採用、AIが決めます ~就職現場で広がるAI導入」)。興味があればNHKらじる★らじるの聞き逃しサービスでここ数日は聞くことができます。http://www.nhk.or.jp/radio/ondemand/detail.html?p=4774_01

 最近開発されたAIを用いてスマホ経由で就職1次面接を行うシステムの話でした。スマホで90問の質問を1問1分以内で答えていくというシステムで、これにより就職応募者のコンピテンシーを計るというものです。

 このAI面接からは、企業の求める11の能力を評価できるそうです。詳しくは明かされていない。

 これにより、学生は交通費を掛けずに遠方の企業の一次面接を多数受けられる。

 会社は全国から優秀な人材を、学歴フィルターなしで大きな母集団から選抜できるメリットがあるそうです。また、人件費の大幅な節減にもつながります。

 もちろん、このシステムは1次面接用で、2次や最終面接は人間が行うことを前提としているようです。

 一見、良さげですが、学生にはいくつかのデメリットがあると推察します。

Fig1

 1つめは、対策をとりにくい、話を盛りにくいことですね。それを見抜く能力を持たせるようにしているようです。確かに90問もあれば、盛った回答の間で矛盾が出てしまいます。

 2つめは、質問数が多いことです。これまでの面接では時間や労力的な都合で10〜20問が限界でしたが、AIは疲れません。多くの質問により化けの皮やらかぶっているネコやらはがされてしまいます。実際の面接例の会話をラジオで流していましたが、かなりえげつない突っ込みが入っていました。

 そして3つめは、このシステムが標準化され、「横の連携」をとられると、他社の面接との比較で、矛盾を見抜かれてしまうことです。

 何回も面接慣れすると、だんだん言うことも(言い方も)こなれて変わってきます。しかし、AI面接では過去の自分の発言履歴を無理矢理に引きずらされることになるということです。国会答弁のような揚げ足取りをAIにされてしまうかもしれません。しかも、その発言の矛盾は面接された側に伝わらないでしょうね。つまり、A社の面接で「御社が第一志望です」と言ったのに、B社の面接で「御社が第一志望です」と言ってしまうと、両社の人事に「ウソツキかもしれません」とアラートが出る可能性があります。

 すでに、このAI面接システムを採用している会社が複数あるそうです。

 ソサイエティ4.0ですでにクラウドによる情報の共有化が進んでいます。これにAIの関与するソサイエティ5.0では面接は大きく進歩するでしょうね。

 伝聞ですが、今でも、企業間で人事担当者の情報交換は行われているそうです。そのような情報がシステマティックに共有されると…かなりヤバいですよね。しかも、このようなシステムのカスタマーは企業であり、応募者ではありません。応募者への特段の配慮は期待できません。

 学歴フィルターを発動しなくなるのは良いのですが、内定をもらえる人ともらえない人の差がますます広がりそうです。

 このような技術が進歩すると、これまでの就職のノウハウが使えなくなりそうですね。

 大学でしっかりと「実力」を付けた学生と、だらだら過ごした学生をAiがきっちり見分ける時代になってきた、ということでしょうか。

コワイコワイ。

片桐 利真

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