「団塊」の英訳は"nodule"ですが「団塊の世代」の英訳は?(江頭教授)
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新聞をみていたら「ノジュール」という雑誌の広告が載っていました。「50代からの旅と暮らし発見マガジン」というコンセプトですが、さてこのタイトル「ノジュール」とは何でしょう。ちょっと調べると、
ノジュールとは、鉱物学の専門用語で硬くて丸い石球(団塊)のこと。
「団塊の世代」の語源となったもので、球の中心にアンモナイトや三葉虫などの化石が入っていることがあります。
という説明が見つかりました。
「ノジュール」は英語の"nodule"のことですが、この雑誌のタイトルは、おそらくは鉱物学云々よりも「団塊の世代」から発想されているのでしょう。
「団塊の世代」は戦後すぐに生まれた世代のこと。この世代は人口が多いことが特徴で、小学校に上がれば小学校が不足し、就職して働き出すと日本の高度成長の原動力となったと言われています。いまはこの団塊の世代がリタイアし、「旅や暮らしに発見」を求めている、だから「団塊の世代」を思い起こさせる「ノジュール」が、この雑誌のタイトルに選ばれたのだと思います。(とはいえ50代からの、は少しサバ読みでは?)
さて、この「団塊の世代」という用語、実は出所がはっきりしています。1976年から連載の形で発表された堺屋太一氏の小説「団塊の世代」が出典です。
この小説は
かつてハイティーンと呼ばれ、
ヤングといわれた、この「団塊の世代」は、
過去においてそうであったように、
将来においても数数の流行と需要を作り、
過当競争と過剰施設とを残しつつ、
年老いて行くことであろう
という一節から始まっていて、当時の人口構成を元に将来起こりうる問題を想定して書かれたものです。現在言うところの「高齢化」問題の重要性を早い段階で指摘したものと言えるでしょう。
戦争の終結とともに顕著な人口増(ようするに赤ん坊がたくさん生まれた、ということ)があったことによって、人口ピラミッドの中に大きなかたまりの様な世代がうまれた、このかたまりを「団塊」と表現したのです。
さて、表題にもどって「団塊の世代」の英訳について。「団塊の世代」の語源を考えれば "nodule generation"では通じないですね。
戦争終結と同時に赤ん坊がたくさん生まれる、という現象はアメリカにも生じていて、"baby boom"と呼ばれています。ですから、「団塊の世代」は "baby boomers" となります。
「50代からの旅と暮らし発見マガジン ベビー・ブーマーズ」うーん、やっぱり「ノジュール」の方がよさそうですね。
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