3年生の授業「地域連携課題」発表会(江頭教授)
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「地域連携課題」という授業、このブログでも何回か採りあげています(たとえばこの記事)が「学生が地域の関係者と連携しながら地域・社会的な課題等に取り組む」ものです。この授業、本学科の3年生前期の授業、つまりクォーター制(前期を1期、2期の2つに分ける制度)で実施されるコーオプ実習の際、大学に残っている学生に向けて行われている授業で、週3コマ、短期集中でかなりの労力をかけて行われるグループワーク型の授業です。1期、2期の発表会を経て、優秀な班が最終結果の発表会に進出。しかも、優秀者は学部長賞を受賞する、というおまけ付きです。
本学部は八王子キャンパスにありますから、この場合の「地域」は具体的には八王子市のことです。八王子市の「担当者等を講師に招いて地域が抱える各種の課題を学んだ後」に、「学生が自ら主体的に地域から課題を選定」し、その解決方法を提案する、それが地域連携課題の授業内容です。この授業では、いろいろな施設や企業を訪れて課題の解決方法を調査・分析、結果を比較検討することで効果的で具体的な提案を目指します。
今週の月曜日、5月28日には1期の成果発表会が開かれたので、私も参加してきました。
今回は5名程度のグループ、7班からの発表が行われました。各班、いろいろなアイデアにもとづいて調査を進めたことが伺えましたが、巧くいく班、問題にぶつかる班、これは色々だったようです。当初問題だと思っていたものが、意外とそうでもない。問題は把握したが解決策が弱い、などなど。
そんな中でも具体的な案をだして、具体的な損益についての計算を示してくれた班がありました。これ自体は素晴らしい姿勢なので、まず具体的な数値の算出に努力した班について、その点を高く評価しておきたいと思います。
ただ、その一方で損益を数値で計算する、という作業は簡単ではありません。例えば「何らかの補助金を出して住民を増やす」というタイプの提案で、損益の比較を行う場合、補助金を「損」として計上し、「増えた住民が支払う住民税」を益として計算する、という例がありました。(同様の計算は昨年度にもありましたね。)
このケースでは補助金によって増えて住民に対して市はなんのサービスもしないのでしょうか?そんなはずはない訳で、その際何らかのコストがかかるはずです。これも(変な表現ですが)「損」として計上しないとおかしいですよね。市民の立場から考えれば住民税を払った分のサービスを市から提供してもらう事を期待したいところですから、住民が増えた分だけコストが増えて、結局「益」の部分は完全に打ち消されてしまうのではないでしょうか。
実際には「規模の利益」と言って、サービスの利用者(ここでは住民ですが)の数が増えるほどには提供する側のコストは増えない、という一般的な傾向があります。それを考えれば「益」がなくなってしまうわけではありません。ここまで考えると、この「増えた住民に対するサービスのコスト」を無視した計算は収益の最大値を表していると考えられます。要するに「この提言を実施した場合の最大の収益はこれこれである」ということで、これはこれで重要な数値ですよね
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