障害学生支援について講演していただきました(江頭教授)
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東京工科大学では月に一度、八王子キャンパス、蒲田キャンパスでそれぞれに「全学教職員会」と称した講習会を開いています。両キャンパスはネットワークでつながれており、同じ内容を両方のキャンパスからみることができる様になっています。学長が大学の運営方針を説明する回もありますし、各学部がそれぞれの教育目標を発表する回もあります。時には外部講師をお願いして大学の教育にかかわる最新の話題を解説していただくこともあります。
そんななか、今回の講演会では筑波大学 人間系(障害科学域)の竹田 一則 教授に「障害者差別解消法施行後に大学に求められる対応と課題について」と題したお話しをしていただきました。
ご講演は大学の学生に占める障害者の割合とその経年変化の話から始まって、「障害者の権利に関する条約」の批准によって改正された日本の「障害者基本法」が掲げている障害者支援のとらえ方についての紹介に進みます。その基本は
「障害」は個人の心身機能の障害と社会的障壁の相互作用によって創り出されている
という「障害」についての理解に基づいて、
社会的障害を取り除くのは社会の責務である
という考え方だといいます。
車いすと段差のように、段差がなければ車いすは自由に移動ができます。まず、車いすを使う必要があるという状態と、通路に段差があるという状態が組み合わされて始めて問題が起こる。車いすが必要だ、という状態が変わらない、変えられないのであれば、段差の方を無くしてしまえばよい。そんな考え方です。
さて、上記の例で続けて考えると、段差をなくすことにはそれなりの費用がかかるという問題があることがわかります。すでにある建物を改築して段差をなくすことは難しいかも知れませんが、新築するときに段差のない建物を設計することは比較的容易でしょう。ある建物を段差をなくすように改築するべきかどうか、それはその建物を取り壊して新築する予定があるかどうかによって答えが変わる問題です。
要するに、社会的障害を取り除く、と言っても、その進め方や具体的な方法にはいろいろな選択枝があるのです。その中からどのような選択枝を選ぶべきか。大学には「合理的配慮」をするように求める、というのが「障害者基本法」の考え方です。
この後、武田教授には筑波大学での取り組みや対応する組織の話、いろいろな具体例などをお話ししていただきました。障害者支援のための新しい機器のはなしや有償ボランティアの活動など、参考になる内容であったと思います。
さて、個人的に面白いと思ったのは「合理的配慮」についてです。合理的と言われていますが、よく考えると何が「合理的配慮」であるかは客観的に決定することはできません。「合理的配慮」で求められているのは、なぜそのような対応をするのか、を説明できることです。もっと言うと関係者がなにが「合理的」であるかを話し合うべきである、という主張なのですね。
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