人間に必要なエネルギー(カロリー)はどれくらいか(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
最近、人間とエネルギーについていろいろと書いているこのブログ(前回、前々回など)。今回は趣向を変えて、エネルギーはエネルギーでも生き物としての人間が必要なエネルギー、つまり食事から採るカロリーについて考えてみましょう。
人間がどのくらいのカロリーを必要としてるか。これについては厚生労働省から日本人の食事摂取基準についての資料が発表されています(「日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要」など)。
この食事摂取基準はなかなか詳細な資料で必要カロリーも「1人あたり○○カロリー」などという大雑把なまとめ方はされていません。必要なカロリーは、まず男女で違う。年齢によっても違います。さらに生活中で体を動かす度合い(身体活動レベル)によって3グループに分けて、それぞれに必要カロリーを計算しているのです。
ちなみに、私(江頭)の必要カロリー量は 2100kcal となります。運動量が少ないので小さめ、とも言えますが男なので大きめな値と言っても良いでしょう。
さて、必要カロリー量の平均値をどのように求めるべきでしょうか。いろいろ考えられますが、ここでは思い切ってキリの良い値と言うことで、1人1日当たりの必要なエネルギーを 2000kcal としてみましょう。
まずカロリーをジュールに換算しましょう。
2000kcal = 2000×4.2 kJ = 8400 kJ = 8.4 MJ
となります。これが1日当たりですから1年間では
8.4 MJ × 365 = 3066 MJ = 3.1 GJ
となりました。
人間が豊かな生活を送るために必要なエネルギーが1人年間 100GJ だったことを考えると、文明人は生活の利便性のために生物として必要なエネルギーの約30倍のエネルギーを使用している、ということになります。
以前、人間が生物そして放出している二酸化炭素の量を推算して年間で 0.27t ~ 0.33t と紹介しましたが、日本人が1年間で排出している(こちらはエネルギー利用からです)は年間 9.7t ですからこれも同じように大体30倍、ということになります。
現在に日本では、「豊かな生活をするために、約30人の奴隷を使っているのに相当するだけのエネルギーを利用し、二酸化炭素を出している」という表現になるでしょうか。もっとも、30人奴隷がいても、とても今のような生活は送れないと思いますけどね。
「解説」カテゴリの記事
- 災害発生時の通信手段について(片桐教授)(2019.03.15)
- 湿度3%の世界(江頭教授)(2019.03.08)
- 歯ブラシ以前の歯磨き(江頭教授)(2019.03.01)
- 環境科学の憂鬱(江頭教授)(2019.02.26)
- 購買力平価のはなし(江頭教授)(2019.02.19)