専門外から一言(江頭教授)
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先日、本学科はじめての「卒業論文中間審査会」が行われました。4年生の諸君は配属からすでに1年半。卒業研究を始めてからも半年になりますから、自分の研究室の専門的な内容についていろいろ勉強を進めています。その知識を前提とした発表、それも7分の短時間での発表となると細部や背景は端折ってエッセンスのみの発表となります。
さて、我々東京工科大学、工学部応用化学科は応用化学の広い分野をカバーするためにそれぞれ専門の異なる教員を集めてスタートしています。逆に言うと専門分野が近い先生はいても「同じ専門」の教員は居ない、つまり、他の研究室の研究内容は基本的に専門外の研究テーマということになります。
違う専門の研究テーマを理解できますか?ちゃんとした質疑応答ができますか?
はい、できます。というか、専門外に人との質疑の方が有益なことが多い、と私は思います。
これは言葉で表現するのが難しいのですが研究を続けていると、化学の各分野で教科書で学ぶことや専門書に書かれていること以外にも予見、というか何かの取っ掛かりが分かるようになるのです。「たぶんこうなる」とか「それは○○と関係がある」などなど。本来はこの予見を実験的に検証して研究成果としてゆくのですが、その素となる発想はたとえ自分の専門外でも物質を扱ったものであれば多かれ少なかれひらめくことが多いのです。
自分の専門外の研究発表を聞いたとき、頭の中で対象となった物質や状況を思い描くと見えてくる何かの発想、それを質問の形で発表者に問うわけです。
おそらくこの予見や発想は自分が今まで携わってきた研究や学んだ知見の集積の中から無意識に組み立てられたものなのでしょう。10人研究者がいれば10通りのひらめきがあるはずです。ですから、逆に、質問を受ける際には「そんな見方があるのか」とか「これは盲点だった」という指摘を受けることがあり、それを研究に反映させることもできるのです。
もっとも、極めて専門の近い同士での議論、というのもそれはそれで有益で楽しいものなのですけどね。
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