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「実験は失敗だ」ってどういうこと?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 

 

 

 

 前回前々回と実験が失敗するとはどういうことか、を論じてきました。

 

 強度の高い物質など、実験で役に立つものができることが成功、その反対が失敗、というわけではない。実験に際して良いものができると予想していて、それが外れたのでないなら実験が失敗とは言わない。

 

 実のところ、良いものができると予想していて、それが外れたとしても必ずしも失敗とは言わない。なぜなら「この予想は間違っている」ことが分かることで新しい予想への発展があるからだ。

 

 という話運びだったのですが、これでは

 

 

 

 なるほど、予想が当たっても外れても実験は失敗じゃないのか。じゃあ、実験は失敗することなんて無いんだね。

 

 

 

と言われてしまいそうです。

 

 でも、実験を成功させるのはそれなりに大変です。予想は当たるか外れるかの二つに一つだ、というのは全知全能の神の目からはその通りなのですが、私たち人間にはもう一つの可能性「予想が当たったのか外れたのかよく分からない」があるからです。

 

 せっかく実験をしても「予想が当たったのか外れたのかよく分からない」状態になってしまうことこそが実験が失敗する、ということなのです。

 

 

 

 

 

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 よくあるのは「○○という条件になったら××という現象が起こるはず」という予想に対して○○という条件を満たすことができない、というパターン。

 

 それ以前に○○という条件を満たされたのか、××という現象が起こったかどうか、キチンとした記録が残らないパターンもあります。

 

 こういったものは普通に失敗といえるパターンなのですが、実際に研究を進めていると、「現在の考えが正しければAになるはずだが、間違っていればBとなるだろう」と予想して実験していると思わぬ結果Cがでてくることも結構あります。「そう来たか!」という感じですね。こういうケースこそが本来の意味での実験の失敗だと言えると思います。

 

江頭 靖幸

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