一日で気圧はどのくらい変化するのか(江頭教授)
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先日の記事では一日でどのくらいの気温の変化があるかを調べました。八王子のアメダスデータで一日の最大と最小の温度差を調べたところ、この一年間での最大値は19.3℃と結構大きな値でした。
では、同じことを気圧でやってみよう、というのが本日のお題なのですが、気温と違って気圧はちょっと難しいですね。
まず、八王子のアメダスデータには気圧の項目がありません。八王子近辺で気圧まで測定しているのは東京(つまり気象庁)のデータとなります。東京のアメダスデータを昨年の8月1日から現在(2018年8月14日)まで収集して調べてみましょう。
まず、気温と違って気圧はどのくらいの幅で変化するものか、感覚をつかむ必要がありそうです。平均気圧(海面値換算)の項目で調べてみました。
平均気圧が高い方、トップ5はこちら。
- 2018年03月07日 1034.2 hPa
- 2018年01月14日 1028.3 hPa
- 2017年10月06日 1027.9 hPa
- 2017年10月05日 1027.5 hPa
- 2017年10月16日 1026.8 hPa
いわゆる標準大気圧 1013hPa より2%ほど高い日がのあるのですね。
次は低い方のトップ5です。
- 2017年08月08日 990.6 hPa
- 2017年10月23日 992.9 hPa
- 2018年03月01日 993.7 hPa
- 2017年08月09日 994.7 hPa
- 2018年06月12日 995.8 hPa
こちらも標準大気圧と比べると2.2%低い値が見られました。どうやら平均気圧は標準大気圧から±2%程度の変動がある様です。
さて、一日でどのぐらいの気圧変化があるか、ですがここで少し問題があります。温度については一日のうちの最高気温と最低気温のデータが提供されているのですが、圧力については「平均気圧」と「最低気圧」しかデータが無いのです
仕方が無いので
「一日の平均気圧」ー「一日の最低気圧」
を見てみましょう。ですが、「平均引く最低」では「最高引く最低」より値が小さくなっていますから、差を2倍した値、
2×(「一日の平均気圧」ー「一日の最低気圧」)
を評価してみたいと思います。結果は以下の様に。
- 2017年10月23日 50.8 hPa
- 2017年10月22日 38.8 hPa
- 2017年10月29日 29.8 hPa
- 2018年03月08日 29.2 hPa
- 2017年09月17日 27.0 hPa
この日の気圧は5時に最低の気圧になった後ずっと温度がし続けるパターンでした。1時間ごとのデータからもとめた気圧の変化は 47.5hPa で、見積もりした値( 50.8hPa )とそれなりに近い値となったと思います。この値は標準大気圧の約5%に当たります。先に述べた「平均値の一年間での振れ幅」より少し大きな変動が見られるのですね。
さて、ついでに平均気圧の一日での変化、こんどは前日との差を見てみましょう。一日経ってどのくらい気圧が変化するかです。「その日の平均気圧」-「前日の平均気圧」の絶対値をとって比較したのが以下のトップ5です。
- 2017年10月24日 29.4 hPa
- 2018年03月01日 26.5 hPa
- 2018年03月22日 20.2 hPa
- 2017年10月29日 19.8 hPa
- 2018年01月09日 18.5 hPa
最大で29.4kPa。標準大気圧の約3%で一年間の平均気圧の変化幅(±2%で4%)に比べると若干小さくなっていますが、これは当然ですよね。また「一日の最大気圧引く最小気圧」の見積もり(約5%)と比べても、より小さい比率となっています。
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