バブル景気の前と後(江頭教授)
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バブル景気にもいろいろあるのですが、ここで言うバブル景気とは日本に1980年代ごろに起こった「バブル景気」のことを指しています。
バブル崩壊と言われたのが1991年ですから今の若い人には「歴史のなかの出来事」かと思います。55歳の私はバブル期をまたいで生きてきたのですが、不思議とバブル景気そのものの記憶は薄いのです。大学という世の中の景気をあまり反映しない職場にいたせいでしょうか。学生諸君の就職のし易さを通じて間接的に好景気を感じていただけでした。
では「バブル」の影響を感じていないのか、というとそういうわけではありません。バブルそのものよりもむしろバブル前後の世の中の雰囲気の変わり方、これには正直驚くばかりです。
具体例を一つ。以下は統計局のWEBサイトから持ってきた「消費者物価指数(CPI)」のデータ、「持家の帰属家賃を除く総合指数(1947年度~最新年度)」から作ったグラフです。
戦後から1990年くらいまで、物価の上昇が如何に激しかったかが分かります。その一方でバブル崩壊の後、消費者物価は極めて安定していました。
最近、消費税増税が話題になってきましたが、恒常的に物価が上昇する社会では「消費税が上がる前に買っておこう」という駆け込み需要と同様の心理が日常的に働き続けることになります。何事も急いでやった方が得だ、という考えが社会の隅々にまで浸透している社会は、そうでない、つまり物価の安定している今の社会とはかなり違った雰囲気をもっていたと思います。
バブル景気の前後での社会の変化が、この物価の変動の結果であるとは限りません。むしろ社会の変化が物価の変動のあり方を変えたのかも知れません。いずれにしてもバブル景気と呼ばれた80年代、そのバブルが崩壊した90年代で日本の社会には根底的な変化があった、それが私の実感なのです。
その変化が良いものだったのか悪いものだったのか。いろいろな見方があるはずですが、私はどちらかというとプラスに評価しています。(これも社会の変化に影響を受けた結果可も知れませんけどね。)
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