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MDGsからSDGsへ(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

  これまでSDGs(サステイナブル開発目標)の前身であるMDGs(ミレニアム開発目標)について説明してきましたが、今回はMDGsからSDGsへと移行して何が変わったのかについて見てみましょう。

 いろいろな違いがあるのですが、まず目につくのが目標が8個から17個に増えた、という点ですね。
 まず、MDGsのゴールを示したイラストがこちら。

Mdgsnotablechallenges_1

 一方、SDGsのターゲットはこちらです。

Sdgs17goals1024x724

いくら何でも数が多すぎでは、と思いますが、本当はもっと多くの目標(ターゲット)を絞り込んで17個の目標(ゴール)にまとめているのです。(これについてはこちらの記事でも紹介しました。)目標を具体的な数値で表したターゲットの数は169。なんとかDGsのシリーズが2030年以降も続くなら一旦は整理する必要がありそうですね。

 さて、SDGsとMDGsの違いは他にもたくさんあります。

 たとえば第一の目標である「貧困の撲滅」について。MDGsでは

1日1.25ドル未満で生活する人口の割合を半減させる

とあります。一方、SDGsでは

あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ

となっています。

 MDGsの方が具体的な目標を掲げているのですが、SDGsの方はやや抽象的になっています。MDGsが2015年に終わった時点で「1日1.25ドル未満で生活する人口の割合を半減させる」が達成されてしまったので、新しい目標を設定した、と考えることもできるのですが、そうならば

1日2.5ドル未満で生活する人口の割合を半減させる

でも良かったはずです。その方が具体的な対策を立てることも容易ですし、目標が達成されたかどうか、その結果もハッキリと判断できるでしょう。

 じつはSDGsのターゲットの方には

2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。

というものもあります。貧困の定義はそのままに「半減」から「終わらせる」にまで、量的に向上したターゲットとなっていて、MDGsの後継というならこれでも充分なはずです。しかし、このターゲットは「貧困の撲滅」という目標(ゴール)の前面に押し出されてはいません。代わりに

2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。

というターゲットが「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」という目標(ゴール)前面に打ち出されいます。そして、ここでの貧困は各国定義によるものとされています。

 さて、あえて抽象的な表現が選ばれた理由は前回に述べたMDGsの問題点「MDGsの主役は発展途上国に人々で先進国の市民が直接関係するものではない」という点に対する一つの解答なのだと思います。先進国は先進国なりに貧困を定義する。そうすることで先進国の市民にも直接に関係のある目標を設定したということでしょう。

江頭 靖幸

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