SDGsとMGDs(江頭教授)
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SDGsは「Sustainable Development Goals」の略。日本語では「持続可能な開発目標」となります。2015年から2030年を目標期間として世界が達成すべき課題を国連が設定したものですが、実はこのSDGsには前身となる「国連で設定された世界の目標」がありました。それがMDGs=Millennium Development Goals、ミレニアム開発目標です。
MDGsは2000年に開催された国連の大規模な首脳会議、「国連ミレニアムサミット」で採択された「国連ミレニアム宣言」に基づくものです。2015年を目標として世界が達成すべき目標を8テーマにまとめ、それぞれに数値目標を掲げたのですが、それぞれの課題は2000年に突然現れたものではありません。個々の課題について、それ以前から積み上げられてきた議論を背景として一つの共通の枠組みにまとめて提示した。その点が新しいといえるでしょう。この複数の問題を一つの共通の枠組みにまとめる、という手法はSDGsにも引き継がれているものです。
世界の問題を解決する主体としての国連、という姿は現在では多くの人に抵抗なく受け入れられていると思います。しかし、国連の本来の目的は「世界の平和」、もっとはっきり言えば「新たな世界大戦の防止」であったはずなのですが、いつの間にか目標が替わっているとも言えるでしょう。
さて、MDGsは具体的にはどんな目標のセットなのでしょうか。
目標1:極度の貧困と飢餓の撲滅
1日1.25ドル未満で生活する人口の割合を半減させる
飢餓に苦しむ人口の割合を半減させる
目標2:初等教育の完全普及の達成
すべての子どもが男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにする
目標3:ジェンダー平等推進と女性の地位向上
すべての教育レベルにおける男女格差を解消する
目標4:乳幼児死亡率の削減
5歳未満児の死亡率を3分の1に削減する
目標5:妊産婦の健康の改善
妊産婦の死亡率を4分の1に削減する
目標6: HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
HIV/エイズの蔓延を阻止し、その後減少させる
目標7:環境の持続可能性確保
安全な飲料水と衛生施設を利用できない人口の割合を半減させる
目標8:開発のためのグローバルなパートナーシップの推進
民間部門と協力し、情報・通信分野の新技術による利益が得られるようにする
いかがでしょうか?SDGsの17の目標に比べて項目数が少ないこともあってシンプルで分かりやすいと思います。
国連の「Goals」に入るかどうか、個々の課題についてその影響は甚大ですから、いろいろな課題に取り組む人は「是非に」との思いを持っているのでしょう。その影響で「Goals」は次第に複雑なものとなっているのかも知れません。2030年、SDGsの次の「Goals」が決められるとき、より多くの目標が掲げられるのか、それとも目標の絞り込みが行われるのでしょうか。
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