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2018年12月

2018.12.31

本ブログの記事は1000件越えました(江頭教授)

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 数えたわけではありませんがブログのシステムをみると昨日の記事「書評 堺屋太一著「平成三十年」その3 物価の安定は何をもたらしたか(江頭教授)」が本ブログの1000本目の記事だそうです。

 本ブログを開始したのが2014年10月27日。それ以来4年と少しで1000本達成となりました。現在では週5回、月~金の午前10時更新ですから1年52週間として260本の記事を出しています。このペースなら4年未満で1000本になるところですが、開始当初は不定期更新で一日に2件記事を上げるなどしていた時期もありましたから、少し時間がかかったことになります。

 さて、本ブログの記事のなかで一番人気の記事はどれだと思いますか?

 以下の「水の蒸発速度はどのくらい?」が閲覧数でトップになっています。

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2018.12.28

書評 堺屋太一著「平成三十年」その3 物価の安定は何をもたらしたか(江頭教授)

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 前回、前々回と堺屋太一氏の著作「平成三十年」について書いています。平成9年から10年にかけて連載されたこの小説で予測された未来とくらべて現実の日本はどう違っているのでしょうか。

 小説の冒頭、主人公の月給が200万円という記述があります。高給取りだなあ、と思いますが実は物価が上がっているのでそれほどでもない。主人公はどちらかというと経済的には苦しいと感じているのです。

 さて、現実の日本はどうだったのでしょうか。1989年の平成元年からの三十年間、ごく初期を除いてほとんど物価は上昇しませんでした。物価が上昇しないこと、これは社会に大きな影響を与えたと考えます。

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2018.12.27

書評 堺屋太一著「平成三十年」その2 資源危機はなぜ起こらなかったのか(江頭教授)

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 堺屋太一氏の著作「平成三十年」については昨日の記事で評させて頂きました。そこでも書いたのですが平成9年から10年にかけて連載されたこの小説で予測された未来とくらべて現実の日本は安定した状態にある様に見えます。その原因の一つはそれなりの意識改革、制度改革が進んでいることですが、今ひとつの原因は本書で予測されたような「資源危機」が起こらなかったことにあると思います。今回は「資源危機」がなぜ起こらなかったのかを考えてみたいと思います。

 

 もちろん「資源危機」は架空の歴史的な事象であり二〇〇〇年代末に起こった原油や金属資源の不足とそれによる価格の高騰のことです。

 

 おそらく堺屋太一氏は一九七〇年代に起こった「石油危機」をモデルとして「資源危機」を描写したのだと思います。中国など東アジアを中心とした世界規模での高度経済成長がつづけば自ずと資源の限界に衝突するはず。資源の不足が危機的な状況を作り出し、資源を持たざる国の代表である日本は閉塞状況に追い込まれるだろう。これはまさに「石油危機」の際に感じられた雰囲気なのだと思います。

 

 確かに実際の歴史でも資源不足の傾向が見られ、2008年には1バレル100ドルを超える、という事態になりました。しかし2008年に実際の起こったのは金融危機であり、その影響で経済は足踏み状態になり、その結果で原油価格の暴落したのでした。

 

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2018.12.26

書評 堺屋太一著「平成三十年」(江頭教授)

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 平成三十年の終わりにこの「平成三十年」を読む、というのも面白いと思います。本書は平成九年から十年にかけて朝日新聞に堺屋太一氏が連載した小説をベースとして平成十六年に刊行されました。本書の面白さは執筆の時点から二〇年後、あるいは十五年後を想定して書かれた未来予想、しかも「このままでは未来はこんなことになってしまう」という暗い未来の描写です。本当に平成三十年になった現在から見て、果たしてどの程度「暗い未来」が実現してしまったのでしょうか。

 さて、本書で予測された平成三十年の世界はどのようなものなのでしょうか。本書下巻に北岡伸一氏がよせた解説から少し引用してみましょう。(この解説も平成十六年に書かれていることに注意してください。)

 平成三十年の日本は、八方ふさがりの状況にある。

 円安は進んで一ドル二五〇円を切り、さらに三〇〇円に近づきつつある。貿易とサービスの収支は一〇〇〇億ドルの赤字、過去の遺産である資本収支で五〇〇億ドルの黒字だが、国際収支は五〇〇億ドルの赤字、それも拡大しつつある。

 予算は大幅に膨張して総額三〇七兆円、現在の四倍近い。そのうち、七七兆は不足していて、公債に依存している。所得税は地方税を含めて五十%、消費税は十二%で、さらに二〇%へと引き上げられそうである。

いかがでしょうか。極端な数字が並んでいるように思えまますが本書の設定ではインフレが進行、物価が3倍以上に上昇していることになっています。これを考慮すると円ドルレートは現実の方がまだまだ円高なようです。消費税はまだ十%になるかどうか、という状態ですから現実の方がこの小説を追いかけている途中と言ったところでしょうか。

 現状、貿易の黒字はサービスの赤字よりも大きく、資本収支を加えた経常収支では平成二十九年で約二十二兆円の黒字となっていますから、本書の予測はあまり当たっているとは言えません。

 予算規模は物価の上昇を考慮すれば当たっていると言えるでしょうか。ただし、実際の公債依存度はより高くなっていますから、現実の予算はより借金に依存している、税金を上げるのが間に合っていない、というわけですね。消費税の税率では現実が追いついていないこともその原因でしょうか。

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2018.12.25

アレニウスプロットと活性化エネルギー(江頭教授)

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 化学反応は一般に温度が高いほど早くなる。では、具体的には温度が何度上がると何倍になるのでしょうか?こんな疑問をもった昔の化学者の研究成果は一つの式となってまとめられ、現在でもその名前が残っています。それが「アレニウスの式」。具体的には以下の様な式です。

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式中のRTはそれぞれガス定数と絶対温度。Aは定数で、Eは活性化エネルギーと呼ばれています。左辺は反応速度の濃度依存性を除いた反応速度定数で、濃度一定の時の反応速度を比べた、とみても良いでしょう。

 温度 T が大きくなると (E/RT) は小さくなる。マイナスの符号がついた (-E/RT) は逆に大きくなるので exp(-E/RT) も大きくなる。この式は温度の上昇にともなって反応速度が速くなることを反映しています。

 この式の形、なんともややこしいのですが、これが実験に合うのだから仕方がないですね。我々の方が式を分かりやすく示す方法を探すべきだ、ということで反応速度のデータ整理ではこのアレニウスの式を念頭にアレニウスプロットというグラフが書かれます。

 アレニウスの式の両辺の対数をとると

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となります。したがって「1/T」をx軸に「反応速度定数の対数」をy軸にとったグラフをつくるとアレニウスの式に従うデータは傾きが E/R の直線になります。

 実際には温度を変えて反応速度を測定する実験を行い、得られた反応速度定数の対数をプロットする。まず直線になるかどうかでアレニウスの式に従うかどうかを判断。OKなら傾きから活性化エネルギーを求める、といった具合です。

 さて、ここでは「反応速度定数の対数をプロット」と軽く書きました。PC等が使える様になった現在では本当に簡単な作業なのですが、PCどころか電卓すらない時代にはどうしていたのでしょうか。対数表を読んで変換していた?いえいえ、「対数をプロット」するための特別なグラフ用紙を使っていたのです。

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2018.12.24

忘年会が開かれました(江頭教授)

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 昨日、12月23日の日曜日(天皇誕生日です)には忘年会が開かれました。

 このブログで忘年会と言えば応用化学科の忘年会、あるいは工学部の忘年会、とお思いでしょうか。実は、今回の忘年会は学校法人の片柳学園の忘年会です。

 東京工科大学は片柳学園に所属しています。片柳学園には他にも日本工学院専門学校も所属していますから、我々が所属する八王子キャンパスは日本工学院専門学校と一緒に利用しています。また、我々工学部応用化学科の研究室がある片柳研究棟には産官学共同の研究機関である片柳研究所も含まれています。さらに、蒲田キャンパスの東京工科大学、日本工学院専門学校も片柳学園に所属しています。(今回の理事長挨拶で披露された数字ですが東京工科大学を含む片柳学園の学生数は2万人を越えているそうです。)

 さて、これだけ大所帯の忘年会ですから会場もそれなりの広さが必要です。写真の手前に見えるのが会場になっているザ・プリンス パークタワー東京。後ろに見えるのは東京タワーです。

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2018.12.21

2018年の授業は今日で終了です(江頭教授)

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 えっ!もう?

 いえいえ、よく見てください。2018「年度」ではなくて2018「年」となっているでしょう。年内の授業は今日で終了。来週から年明けまで、2週間ほど授業が休みになる、ということです。

 かく言う私も本日「サステイナブル環境化学」の授業を行います。これが第14回の授業となり、実は後1回を残すのみとなります。新年は7日から授業再開で、残りの1回を終わるともう試験、という日程になっています。ただし月曜、火曜の授業は遅れていて新年に入って2回授業を行うことになります。

 1回分くらいならいっそ全部終わらせてから休みに、という気もしますが年末まで授業というのもあんまりですよね。試験を前にして2週間の息抜きというのも悪くはないでしょう。

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2018.12.20

パーセントとパーセント・ポイント(江頭教授)

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10%ポイント還元、実は9.1%割引なのですね。見かけより割引率が0.9%ポイント小さい、あるいは10%割引の91%程度の割引効果しかなく9%分は見せかけだ、という言い方もできるのです。

 これ、前回私が書いた記事の最後の部分なのですが、正直自分での何を言っているのかよく分からないのでは、と思います。ポイントは「ポイント」の使い方。いや、ポイント還元のポイントではなくてパーセントについてのポイントがお話のポイントだ、という...まあ、このぐらいにしておきましょう。今回のお題は「パーセント」と「パーセント・ポイント」の区別についてです。

 普通パーセントと言えば二つの数字の比率で、分母が100のとき分子がいくつか、という数字です。分母が100円で分子が8円なら8%。分母が100 kg のとき分子が 10 kg なら10%といった具合です。パーセントをつかって増減を表すこともよく行われています。100円の商品に8円の税金がかかると出費は 8% 増えることになります。100 kg の体重の人が10kg減量すれば 10% 減、と言った具合です。

 ではパーセントとパーセントの比率を考えるとどうなるでしょうか。

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2018.12.19

10%ポイント還元は10%割引ではない件(江頭教授)

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 「○○カメラ」というお店の主力製品がカメラではなくなったのはいつの頃からでしょうか。家電製品からパソコン関係、携帯スマホと広がって今では化粧品やおもちゃ、一般的な家庭用品まで売っているお店がたくさんあります。この手のお店のサービスで特徴的なのがポイント制度。昔のように「三割四割引は当たり前!!」ということはなくなりましたが、今では8%や10%のポイント還元が当たり前になっています。

 最近、乾電池やらFAXリボンやら細かい買い物を頼まれてふと思い出したのがのがこのポイントのことです。そう言えばいくらか溜まっていたはずだ。これを機会にポイントで買い物をしよう。

 そう思ってお店に行ってポイントを使って気がついたのですが「ポイントでの買い物にはポイントがつかない」というルールがあるのですね。それはそうか。別に不満ではないのですが、これだと「10%ポイント還元」は「10%割引」とは微妙に異なる。ハッキリ言うと少し損、というか「10%割引」ほどお得ではないということになります。

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2018.12.18

製氷機が稼働しました。(片桐教授)

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 2018年、12月12日に本学応用化学科のある八王子キャンパスの片柳研究棟4階、西ウィングのKW407室に製氷機が入りました。これは工学部に連動して開設された工学研究科の予算で購入しました。

 ということで応用化学科の皆様,お気軽にご利用ください。

 これまで4階の研究室での実験で氷が必要になったとき、7階の学生実験室の製氷機に氷をとりにいっていました。面倒でした。でも、これからは4階でも氷が手に入ります。

 7階の氷はクラッシュ氷ですが、こちらの氷は冷蔵庫で作るようなブロックタイプです。使い分けてください。

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2018.12.17

「沙漠緑化を設計する」ということ(江頭教授)

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沙漠の緑化、あるいは沙漠での植林を設計する、という表現はいまのところ一般的ではありませんが、沙漠への植林によって何かの効果、たとえばエネルギー源としてのバイオマスの取得やCO2の固定、を期待するのであれば、その目的を達成するために具体的に何を行うかを計画すること、つまり設計することが不可欠となります。

 沙漠での植林も一般的な植林と同様の部分、つまり植栽密度を適切に設定して樹木を植える、という意味での植林が前提となります。さらに、樹種の選定と苗木の確保が必要であり、加えて適切な水源からの水の供給、適切な排水経路の整備、土壌改良、場合によっては流砂の固定などの土木作業といった性質の違う作業を組み合わせて行うものとなります。最適な成果を上げるためには現地の状況や植栽後の気象の経過などに応じて適切な対応を続けることが求められるでしょう。そして広大な土地に、すくなとも十年、長ければ数十年やそれ以上の期間で森林が維持されることが期待されています。

 このような理想的な乾燥地植林を想定するとはできます。しかし、一般的な機械産業・素材産業など工場における生産システムや、非乾燥地での農業と比べて、沙漠緑化には固有の難しさがあると考えられます。

 

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2018.12.14

「大学の学びはこんなに面白い」の取材を受けました(江頭教授)

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 「大学の学びはこんなに面白い」というのは本学WEBサイトのコンテンツです。応用化学科に限らず、本学のいろいろな学科・学部の先生が自分の研究・教育について語るのですが、専門のライターの方とインタビュー形式で記事を作成しているのがユニークな点です。大学の先生はどうしても専門的な知識を前提とした話し方になりがちですから、わかりやすい記事を作るためのうまい工夫だと思います。

 さて、下の写真がその時の…ではありません。実は私がこの「大学の学びはこんなに面白い」というシリーズに登場するのは2回目。これは前回、まだ本学の工学部が設立準備中だったころの記事なのです。

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2018.12.13

コーオプ実習成果報告会(江頭教授)

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 本学工学部の特徴であるコーオプ教育、その中心と位置づけられる「コーオプ実習」は8週間にわたる企業での就業体験です。応用化学科では3年生を対象に本年度の前期に行われましたが、昨日、12月12日にはその「成果報告会」が開催されました。

 この「成果報公会」はコーオプ実習に参加した3年生諸君が実習の経験を振り返り、そこで得たものをポスター形式で発表するイベントです。我々応用化学科、そして電気電子工学科の3年生が参加する「成果報告会」はこれで2回目。機械工学科の学生が参加する夏の「成果報告会」も含めると4回目の開催となります。約200人が発表するので2会場、40分×3回の交代制となりました。我々教職員はもちろん、コーオプ実習に協力していただいた受け入れ企業の皆さんも招待させていただきました。

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2018.12.12

第10回 大学コンソーシアム八王子 学生発表会で本学科有機合成化学研究室(上野研究室)の小池健太くん(大学4年)がポスター賞を受賞しました!(上野講師)

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 2018年12月8, 9日(土, 日)に八王子市学園都市センターにおいて第10回大学コンソーシアム八王子学生発表会が開催されました。この学生発表会は、八王子市に位置する大学や高専の大学生や大学院生が日頃研究している研究成果を発表し合うことで研究を活性化することを目的としています。

 本学工学部応用化学科は2015年度に新設され、今年で4年目になるため一期生が卒業年度になっており、卒業研究も本格的に行われています。今回はその研究成果として、有機合成化学研究室(上野研究室)大学4年の小池健太くんが「パラジウム触媒を用いた置換プロピルケトンとアリルエステルによる置換ベンゼンの形成」という題目でポスター発表を行い、準優秀賞を受賞しました。

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2018.12.11

「サステイナブル工学」の授業いろいろ(江頭教授)

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 本学工学部の特徴のひとつ、それが「サステイナブル工学」です。「サステナブル」という言葉はそれなりに知られている言葉ですし「工学」はもっと一般的な言葉ですが、両者を併せた「サステイナブル工学」は実はかなり新しい用語でしょう。実を言えば「サステイナブル工学」という言葉は、まだいろいろな人がそれぞれにこの言葉から連想する以上の内容、共通の語義のある言葉とは言えないと思います。

 本学の工学部が設立された際に「サステイナブル工学」を我々なりに定義し、イメージが先行する「サステイナブル工学」に具体的な内容を与えたい、そう考えてカリキュラムが編成され、個々の授業の内容が決定されました。本学工学部のカリキュラムの中には「サステイナブル○○」という呼び名の講義はたくさんあるのですが、ここではダイレクトに「サステイナブル工学」と題した授業、具体的に「サステイナブル工学」を教えている授業をまとめてみたいと思います。

 まず最初は「サステイナブル工学基礎」。いかにも最初の授業、というタイトルですね。この授業は2年生の前期におこなわれます。応用化学科を含め、工学部の三学科が合同で受ける授業となっています。基本的には講義形式の授業ですが時には学内の施設見学やグループワークなども織り交ぜています。教科書は「サステイナブル工学基礎」。そのものズバリにタイトルですが、それは当然。この教科書、我々がこの授業のために書き起こしたものなのです。

 続いては「サステイナブル工学実習」です。

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2018.12.10

入学準備ガイダンス(江頭教授)

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 昨日の日曜日(12月9日)には入学準備ガイダンスが行われました。

 入学準備って、気が早くありませんか?なんと言ってもまだ年内、入学試験もまだ始まっていないのに。

 いえ、こちらは指定校推薦の合格者向けの入学準備ガイダンスです。

 すでに合格が決まっている学生の皆さんに本学について知ってもらい、来年の4月までにどのような準備をすれば良いのか、について説明するためのガイダンスとなります。4月に入ってから行われる入学後のガイダンスに比べると参加人数は少なくて小規模なのですが、本学八王子キャンパスの全ての学部が一斉に行うため会場の準備や教室の移動は結構複雑なことに。担当された教務の先生が事務の皆さんは大変だった様子。本学の学生さんもアルバイトとして協力してくれました。

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2018.12.07

乗っていた電車で人身事故に雄遇しました。(片桐教授)

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 12月1日土曜日の夕方から24年前にやめた会社の医薬・バイオ研究所の「同窓会」へ参加するため都心へ行きました。ついでに新宿でお昼を食べてから神田神保町の古書店街や渋谷の東急ハンズにも行こうと思い立ち、午前中に家を出ました。

 橋本駅始発の京王相模線の準特急に幸いに座れました。この日は乗客も比較的多く、車内はざわざわとしており、話し声や若い人の笑い声が聞こえていました。

 10時50分頃に千歳烏山駅を出てから電車の速度がだいぶ上がったところで、突然アナウンスがありました。

「緊急停車します、おつかまりください」

すぐに減速し、電車は止まりました。続けてショッキングなアナウンスを聞きました。

「ただいま、この電車は人身事故をおこしました。」

一瞬、車内がざわつきましたが、すぐに静まり返りました。

私の前に立っていたオバサンがひとこと

「マジか?!」

とぼそっとつぶやきました。

 私は5両目におりました。幸いにこの踏切事故による衝撃や音を聞くことはありませんでした。5分ほどして線路脇を制服の駅員さん(?)が前方から後方へと駆けて行きました。さらに5分ほどして、何種類かのサイレンが聞こえ、消防車が一つ後ろの車両の横の駐車場にやってきました。その消防車の回転灯を見て、先のオバサンがまた、

「マジか?!」

とつぶやきました。

 事故現場は私の座っている所から、数両後ろの踏切のようです。電車はその踏切から止まるまでに数百メートルほど走ったようです。

 比較的混んでいた車内でした。しかし、事故発生時から車内は異様に静かでした。

 車内放送の情報は十分ではありませんでした。情報不足はパニックを引き起こす原因のひとつ、と社会心理学の教科書には挙げられています。それでも、ざわざわとした雰囲気も、怒りの声もまったく聞こえません。ときどき遠くから携帯電話かメールの着信音が聞こえるだけです。奇妙な緊張感のある静寂です。

 私は『ああ、良くも悪くも日本人特有のレジリアンスだなあ。冷静なのか?,思考停止なのか?。』といささか不謹慎ですが、周囲の人の行動を観察していました。前の方で立っている人は皆,スマホを食い入るように見て操作しています。ある意味、外界への興味を失っているようにも見えます。恒常性バイアスのようなものでしょうか。それとも、騒いでもどうしようもないというあきらめ=大人の対応なのでしょうか。いずれにせよ、日本人は逃げ後れることはあっても、パニックを起こしにくいのでしょう。安全工学で教えたことを再確認しました。周りが静かにおとなしく事態が終息するのを待っている様子を見ていると、すこしイライラしている私自分を恥ずかしく感じました。これは多数派同調バイアスのようなモノでしょうか。

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2018.12.06

見たことありますか?四角い電池(江頭教授)

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 さて皆さん、写真の様な四角い電池を見たことがあるでしょうか?これは6Pとか006Pと呼ばれる形式の電池です。昔はラジオなどに入っていたものですが、最近はあまり見なくなった様に思います。でも実験で使う温度計やテスターには今でも利用されているので、私の研究室では少し買い置きをしています。

 この電池、一番の特徴は9Vという高い電圧を持っていることです。子どもの頃、大人が電池が生きているか(起電力が残っているか)を確かめるために電極をなめているをまねていろいろな電池をなめていたのですが、この電池をなめてひどい目にあったことをよく覚えています。+と-の電極が並んでいるので両方の電極を一緒になめることになってしまいます。9Vの電圧ですから普通は感電ショックは感じない程度なのですが、ぬれている上にきわめて敏感な舌でこれに触れたのですから堪りません。しばらく舌が引きつっていた記憶があります。

 ではこの電池、どうやって9Vの起電力を実現しているのでしょうか。起電力の大きな化学反応にはどんなものが...。種を明かすと実は簡単。この電池は1.5Vの普通の電池を6個直列つなぎしたものなのです。6Pの6はそういう意味だったのですね。この電池は「角形(積層形)」と分類され、マンガン乾電池を積層したものは「6F22」、アルカリ乾電池を積層したものは「6LF22」という記号がつけられています。

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2018.12.05

暑い!12月だというのに...(江頭教授)

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 きっと今日(12月4日)ブログを書く人は皆このネタを一度は心に浮かべたのではないでしょうか。いくら何でも今日は暑い。もう12月なのに…。

 私もキャンパスで建物間を移動する際には余りの暑さにジャケットを脱いで肩にかけて歩いていました。ふと「これって真夏のサラリーマンのスタイルの様だ」と思って少し笑ってしまいました。

 さて、暑い暑いと言っていても主観的に過ぎるので客観的なデータを見てみましょう。こんな時に頼りになるのはアメダス。今日、2018年12月4日のデータが既に閲覧可能です。以下の図はアメダスによる午後八時までの観測データのまとめです。最低気温は変わるかも知れませんが最高気温はこれで確定で良いでしょう。実に24.5℃。こんなことは観測史上始めてではないでしょうか?

 違います!

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2018.12.04

グラフの原点はどこにとるべきか(江頭教授)

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 以前、アル ゴア元アメリカ副大統領の映画「不都合な真実」について紹介した記事で、ゴア氏が地球温暖化についての説明を「大気中の二酸化炭素濃度の上昇についてのグラフ」から始めている点を強調して、「わかっているな」と感じます、と述べました。

 このグラフの説得力、そしてこのデータを起点として地球温暖化に対して語り始めるゴア氏の視点の鋭さについては全く異論はないのですが、実は私は少しだけこのグラフに不満があるのです。

 このグラフの縦軸の原点、0になっていません。このグラフから

ここ60年で大気中のCO2の濃度は約4/3倍に膨れ上がった

などと結論づけることができるのですが、グラフを一見するともっともっと大きな変化を表している様にみえてしまいます。

 視覚的なインパクトを狙ってこのような書き方をしているのかもしれませんが、そういう姑息なやり方は返って内容への信頼感を下げるのではないか、などと思うのですが如何でしょうか。

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出典)気象変動監視レポート2014

全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より

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2018.12.03

「45°の線に乗る」という表現(江頭教授)

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だから、○○の実測値を横軸、縦軸を計算値でプロットしたとき「45°の線に乗る」かどうかでしょ!

というような議論を以前からやっていたような記憶があるのですが、はて今の人に通じるのでしょうか。

「45℃の線」ってなんですか?

ぐぐれ!

いや、Googleで検索してもでてこないと思います。(「45°」じゃなくて「45℃」ならなおさら。)

 このお話、一つの物理量の予測値と実測値のように、本来等しくなると期待されるもの、が本当に等しくなっているか、を確認するような場合、両者を縦軸Xと横軸Yにプロットしたグラフで

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の関係が成立しているかを確認するという作業についてです。グラフ上のY=Xを表す直線を指して「45°の線」と呼んでいるのですが、この呼び名は縦軸Xと横軸Yが同じスケールになる場合にだけ当てはまるものなのです。

 昔は、具体的にはパソコンを使ってグラフを書くことが一般的になる以前には、グラフを書くために「グラフ用紙」を買ってきて、そこに印刷された目盛りにしたがってグラフを書いていたものです。一般的な市販のグラフ用紙は縦方向も横方向も同じ間隔の目盛りが入っているので、普通にグラフ用紙を使っている限りY=Xを表す直線の傾きは45°、つまり「45°の線」になるわけです。

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