10%ポイント還元は10%割引ではない件(江頭教授)
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「○○カメラ」というお店の主力製品がカメラではなくなったのはいつの頃からでしょうか。家電製品からパソコン関係、携帯スマホと広がって今では化粧品やおもちゃ、一般的な家庭用品まで売っているお店がたくさんあります。この手のお店のサービスで特徴的なのがポイント制度。昔のように「三割四割引は当たり前!!」ということはなくなりましたが、今では8%や10%のポイント還元が当たり前になっています。
最近、乾電池やらFAXリボンやら細かい買い物を頼まれてふと思い出したのがのがこのポイントのことです。そう言えばいくらか溜まっていたはずだ。これを機会にポイントで買い物をしよう。
そう思ってお店に行ってポイントを使って気がついたのですが「ポイントでの買い物にはポイントがつかない」というルールがあるのですね。それはそうか。別に不満ではないのですが、これだと「10%ポイント還元」は「10%割引」とは微妙に異なる。ハッキリ言うと少し損、というか「10%割引」ほどお得ではないということになります。
どういうことか。たとえば1個100円の、えーっと、例えば一袋100円の割り箸を1万円分買ったとしましょう。(料理屋でも始めるのでしょうか。)普通のお店なら割り箸100袋を手に入れて終わりです。でも10%ポイント還元のお店なら、同時にポイント1000円分がもらえます。このポイントでさらに割り箸を買ったとするとあと10袋。全部で110袋の割り箸を1万円で買うことができました。普通のお店で買った場合に比べて確かに10%多くの割り箸を手に入れることができています。やっぱり10%割引と同じことでしょうか。
ここで本当に10%割引のお店があったと考えてみましょう。このお店では割り箸一袋が90円です。110袋を購入したとするとその費用は9千9百円。一万円を払うと100円のおつりがきました。同じ1万円で「10%ポイント還元」の店では110袋の割り箸が。「10%割引」のお店では110袋の割り箸と100円のおつりが手元に残ります。この100円の分だけポイント還元は割引に及ばないのですね。
では10%ポイント還元は本当には何%割引に相当するのでしょうか。1万円で110袋の割り箸が手に入る、という計算から割り箸の単価は90.909090...円となります。つまり9.0909...%割引に相当するという計算になりました。10%ポイント還元、実は9.1%割引なのですね。見かけより割引率が0.9%ポイント小さい、あるいは10%割引の91%程度の割引効果しかなく9%分は見せかけだ、という言い方もできるのです。
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