「サステイナブル工学」の授業いろいろ(江頭教授)
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本学工学部の特徴のひとつ、それが「サステイナブル工学」です。「サステナブル」という言葉はそれなりに知られている言葉ですし「工学」はもっと一般的な言葉ですが、両者を併せた「サステイナブル工学」は実はかなり新しい用語でしょう。実を言えば「サステイナブル工学」という言葉は、まだいろいろな人がそれぞれにこの言葉から連想する以上の内容、共通の語義のある言葉とは言えないと思います。
本学の工学部が設立された際に「サステイナブル工学」を我々なりに定義し、イメージが先行する「サステイナブル工学」に具体的な内容を与えたい、そう考えてカリキュラムが編成され、個々の授業の内容が決定されました。本学工学部のカリキュラムの中には「サステイナブル○○」という呼び名の講義はたくさんあるのですが、ここではダイレクトに「サステイナブル工学」と題した授業、具体的に「サステイナブル工学」を教えている授業をまとめてみたいと思います。
まず最初は「サステイナブル工学基礎」。いかにも最初の授業、というタイトルですね。この授業は2年生の前期におこなわれます。応用化学科を含め、工学部の三学科が合同で受ける授業となっています。基本的には講義形式の授業ですが時には学内の施設見学やグループワークなども織り交ぜています。教科書は「サステイナブル工学基礎」。そのものズバリにタイトルですが、それは当然。この教科書、我々がこの授業のために書き起こしたものなのです。
続いては「サステイナブル工学実習」です。
「サステイナブル工学実習」は3年前期におこなわれています。この3年前期、応用化学科の学生諸君はコーオプ実習で学外での8週間の就業体験をしますから、この「サステイナブル工学実習」はその裏番組に相当する授業となります。授業回数は他の授業(15回+試験1回)と同様に16回となるので週2時間のペースでの授業となります。
教科書は「演習で学ぶLCA「演習で学ぶLCA -ライフサイクル思考から、LCAの実務まで-」。「サステイナブル工学実習」の内容はLCAの具体的なやり方を学ぶことです。「サステイナブル工学」はLCAそのものではありませんが、LCAが「サステイナブル工学」の主要なパーツであることは間違いない。学生諸君にまずはLCAができる様になってもらうための授業です。
三つ目は「サステイナブル工学プロジェクト演習」。
これは本学工学部の3年生によるグループワークを中心とした授業です。この授業の特徴は3学科合同の授業である、という点ですが、異なる学科の学生が集まってグループをつくる、応用化学の学生さんであれば機械や電気電子の学生さんと同じグループで活動する、という場になります。
グループワークの内容は前半ではいろいろな工業製品について、そのライフサイクル全体での環境負荷をLCAを使って評価し、どのようにして環境負荷を小さくするか、そのための改善方法を提案する、というものです。後半ではその改善が機能に与える影響を含めてその製品の環境負荷と価値をバランスさせるための指標を提案する、という内容となっています。環境と利便性、経済性などのバランスを如何にとるか、グループワークでの議論を通じて「サステイナブル工学」の主軸のひとつなるテーマの一端を知ってもらおう、という授業です。
以上、3年生までの三つの授業が本学の「サステイナブル工学」の中心となっています。もちろん、これに続く4年生での卒業研究も「サステイナブル工学」のカリキュラムの重要な一部です。
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