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グラフの原点はどこにとるべきか(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 以前、アル ゴア元アメリカ副大統領の映画「不都合な真実」について紹介した記事で、ゴア氏が地球温暖化についての説明を「大気中の二酸化炭素濃度の上昇についてのグラフ」から始めている点を強調して、「わかっているな」と感じます、と述べました。

 このグラフの説得力、そしてこのデータを起点として地球温暖化に対して語り始めるゴア氏の視点の鋭さについては全く異論はないのですが、実は私は少しだけこのグラフに不満があるのです。

 このグラフの縦軸の原点、0になっていません。このグラフから

ここ60年で大気中のCO2の濃度は約4/3倍に膨れ上がった

などと結論づけることができるのですが、グラフを一見するともっともっと大きな変化を表している様にみえてしまいます。

 視覚的なインパクトを狙ってこのような書き方をしているのかもしれませんが、そういう姑息なやり方は返って内容への信頼感を下げるのではないか、などと思うのですが如何でしょうか。

Chart01_05_img01

出典)気象変動監視レポート2014

全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より

 えっ、このグラフは横軸の原点も0じゃないって?

 確かにそうですが...。西暦の0には特別の意味はありませんよね。べつに西暦0年が宇宙の始まりではありません。もし本当に意味のある時間の原点をとるとしたら地球の誕生した46億年までを起点にすべきでしょうか。あるいは宇宙の寿命の150億年とか。あえて言えば実験を開始した時を原点とすべきなのでしょう。

 0に特別な意味がない、という点で似たものとして温度「℃」もあります。0℃にも特別な意味はありませんから、本当に意味のある0をとりたいなら絶対零度を原点にするべきでしょうね。

江頭 靖幸

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