オーストラリアの物価は高い?安い?(江頭教授)
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私(江頭)は研究の関係でオーストラリアによく出張するのですが昔(20年くらい前)はオーストラリアはすごく物価が安いと感じていたのですが、最近はオーストラリアの方が物価が高いと感じています。
とまあ、これは感覚のお話。少しデータに基づいて検証してみよう、ということで以前紹介した購買力平価で計算してみました。
購買力平価は二つの異なる国の通貨の価値を換算する指標。同じ商品が同じ量だけ買える、という基準で二つの通貨の換算レートを定めるものです。本当はそれぞれの商品ごとに購買力平価を計算できるのですが、簡単のためにすべての商品の平均値を用いて計算された値が用いられています。
OECDの主要統計をまとめたサイトでは購買力平価は米ドルを基準として計算されています。オーストラリアドルと日本円の米ドルに対する購買力平価のデータを使って日本円基準でのオーストラリアドルの購買力平価の経年変化を計算したのが下図の青いマークのデータです。これはオーストラリアドル1ドルで買えるものを日本円で買ったらいくらになるか、つまりオーストラリアドル1ドルの商品を買う力、購買力、の指標です。
一方、私たちがオーストラリアに行ってお金を使う場合、まずは為替レートに準じたレートで円をオーストラリアドルに交換しなければなりません。
要するに、為替レートはオーストラリアドル1ドルの値段です。日本円でオーストラリアドルを購入してオーストラリアで商品を購入する場合、購買力平価と為替レートが一致していれば損得なし(実際は両替手数料がかかりますが...)です。為替レートの方が高ければ「高いお金を出して買ったオーストラリアドルで値段ほどのものが購買できない」ことになって旅行者の損。購買力平価の方が高ければ「安く手に入れたオーストラリアドルで値段以上のものを購買できる」ので旅行者が得をすることになります。
OECDの統計には為替レートのデータもありますから、円とオーストラリアドルの為替レートを計算し同じグラフにオレンジのラインで示してあります。
1985年ごろまではオーストラリアの方が物価が高かったのですがその後日本の方が物価の高い状態となります。ちょうどバブル景気のころでしょうか。日本の方が物価が高い状態は2005~10年あたりには解消され、現在はオーストラリアの方が少し物価の高い状態が続いています。
なるほど、私がオーストラリアの植林プロジェクトにかかわりだしたのは1990年代の終わりころ。バブル景気が終わったすぐ後くらいでしたから、「昔は物価が安かったのに今は…」という感覚は当たっているのですね。
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