湿度3%の世界(江頭教授)
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オーストラリアの内陸部にフィールドワークに行ったら気温が43℃だった!という話はこちらに書いています。余りのことにいろんな人にこの画像を送っていたのですが、そのうちのお一人からこんな感想をもらいました。
43℃も凄いですが湿度3%というもものすごい環境ですね!
なるほど。
まず一つ断っておかなくてはならないのはこの温湿度計、実は湿度を3%まで正確に測定はできない仕様だそうです。このタイプのデジタル温湿度計では湿度が低いと「Lo」という表示になってしまうものもありますよね。
さて、それを前提としてこの「湿度3%」という値を信じるとしましょう。この湿度はどのくらいの値なのでしょうか。例えばこの写真を撮った2019年2月23日11時、東京の気候は温度10.7℃、湿度 38% でした。(これはアメダスのデータです。)と言うことは「大気中の水は13分の1程度」ということなのでしょうか。
詳しい人は既にお気づきかも知れません。いわゆる湿度という値は一般に「相対湿度」が用いられていますから、大気中の水蒸気の量が同じなら温度が高いほど湿度が低い、という傾向があるのです。
この辺の事情については、こちらの記事で紹介していますが、そこでは具体例として
これは25℃で湿度100%だった空気を30℃まで暖めると(空気から水の出入りがないのに)湿度が変化する、具体的には76%程度まで小さくなってしまう、ということを意味しています。
と説明しています。では43℃で3%という空気の温度が下がっていって東京と同じ10℃程度になったとしたら湿度はどのくらい上がるのでしょうか。
下のグラフにその計算結果を示しました。温度10℃で湿度は約20%程度に上がります。東京の湿度は約40%だったので、絶対湿度でもオーストラリアのレオノラは東京より半分程度の湿度だった、ということが分かります。温度が高い、という状況を考慮してもやっぱりかなり乾燥していた、ということです。
さて、この「湿度3%」の世界、どんな状況なのでしょうか。今回の調査に出発する前、「オーストラリアの内陸部では気温が高くても湿度は低いので、いざとなれば水をかぶれば良い。気化熱であっという間に冷えて涼しくなる」と言われていました。
この日こそ、まさにこの「気化熱クーラー」を試してみるべき所ですよね。その結果は...。驚かないでください。この日の私は「気化熱クーラー」のことを完全に忘れてしまっていたのです。"Don't trust yourself ...." これぞ「気温が43℃」の世界の恐ろしさです。
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